山菜摘みは楽しかった
お弁当持って~ピクニック~♪
宿屋の娘さん、ユリちゃんと手をつないで、即興の歌を歌ってみる。
ユリちゃんの背中には、可愛らしい小さなリュックが。
実はリュック、というか背中に背負う形のカバンが増えてた。特にハンターは必ずといっていいくらい、リュック背負ってる。
やっぱ両手が使える、荷物を落とす必要がない、ってのはおっきいらしい。……ほんとの強敵だと、荷物捨てた方がいいから、ワンタッチで外せるように細工されてるし。
で、ユリちゃんのリュックは子供用の普通のだったので、魔術で一時的にお弁当入れにした。ユリちゃん、嬉しそうだったし。
そうして歌いながら歩くこと一時間。山に到着ー。
「あのね、ここにね、いっぱいさんさいあるの!」
「そっかー。いっぱい採ろうね」
「それで、ユリのとこで旨いもん作ってもらわんとな」
と、食い気なあたしたちだった。
山を登りつつ、山菜摘んで二時間くらい。山頂は開けて見晴らしが良かった。
「よし、ここで弁当だな」
「楽しみー。今日はキキョウちゃんが作ってくれたのよね」
「キキョウは料理上手いからね」
「おかあさん、ぜっぴんだっていってたの!」
絶賛されてるけど、
「絶品か、食べてみてね」
そう言ってユリちゃんのリュックからお弁当を出す。
その間に、シオンがシートを広げてくれた。
あたしたちは直に座ればいいいけど、料理を地べたにはあんまり置きたくないし。
お弁当広げて、
「「いただきます」」
みんなで挨拶して食べ始めた。
「なにこれ、美味しい!」
「食べやすいし、味もいろいろあるし……」
「こっちのおかずも旨いぞ」
「すっごく、おいしーの!」
うん。絶品されました。
「あ、そーだ」
ちょっと思い付いて、採ったばかりのキノコ、まあとりあえず椎茸を、焚き火で焼いてみる。お茶淹れようと火は付けてたからね。
焼けたキノコにタレをつけて……。
「はい。熱いから気を付けて」
「これも美味しいわ!」
と、採りたてを楽しんでみた。
「おいしかったのー」
お茶を飲みつつ、しばらくまったりと風景を楽しんだ。
「そろそろ帰るか」
山菜も十分採れて、風景とお弁当も楽しんで、下山途中でそれが起きた。
「……あれは」
「Bランクの魔獣だね」
体長五メートルほどのイノシシの魔獣。
まあ、こんな山に全く魔獣が居ないわけないわな。
普段からこまめに退治して、そこそこの安全は確保してあるそうだけど。
「……こわい」
ギュっとしがみついてくるユリちゃんの頭を撫でる。
「大丈夫だよ」
「見たことか。最初からおれたちを連れてけば良かったんだ」
横合いから声がした。あいつらは昨日の二人組か。わざわざ追っかけて来たとしたら、よっぽど暇なんだな。
それと、相手を確認してんのを、怯えと勘違いしてんのか。
「こいつらはおれらに任せとくこったな」
「……」
トキワが1歩下がる。まあ、お手並み拝見ってとこか。
「うおりゃー!」
掛け声の威勢はいいが、あれ毛皮がかったいから口か目を狙うのがセオリーなんだけど。
「な⁉ 硬い⁉」
毛皮狙えばそうなるな。あと狙うとしたら、牙の付け根……。
「くっ!」
狙える技量もないか。
まあ、Bランクってことは、直接Bランクの魔獣とやりあうことは少ないはずだし。
とりあえず今回は、
「おれがやる」
「わたしもー」
と、この二人に任せよう。
「援護はいるかな?」
「こいつ相手に二人がかりなら必要ないな」
「そうよねー」
だな。というわけで、あたしはユリちゃんを抱っこ。シオンが1歩前に出た。
「はい!」
苦戦してる二人の横から、マリーは槍をつき出す。
穂先はあっさりと口内を貫通。
「そらよ!」
苦痛で暴れだしたイノシシの上に飛び上がり、首もとに剣を突き刺す。いくら固くても、トキワの剣の切れ味の方が上。あっという間に息絶えてた。
ポカンとする二人組はほっといて、さっさと解体、収納する。
そのまま、あたしたちは山を下りた。
「すっごいの! おっきなまじゅう、あっというまにやっつけちゃったの!」
興奮してるユリちゃんをなだめながら宿に戻る。
そして作ったよ。宿用の炊飯器。持ち帰った山菜類とついでに倒したイノシシ肉で、炊き込みご飯作成ー。
宿の人たちと、本日の宿泊客にも振る舞われて、おおいに盛り上がって宴会になった。
……そして翌日。出発予定は1日延びた。
トキワ……。いい加減飲みすぎは止めろって。
トキワは普段はそうでもないけど、宴会だと飲みすぎるようです。
ちなみにシオンは適度。マリーはザル。キキョウはワク……
というよりはクスリなどの悪影響は全く受け付けない体質。




