行方不明事件?
……とうとう海まで着いた。
遠くに見えるのは魔獣か、って魚だからやっぱり魔魚?
どーでもいいことを考えながら海辺に向かう。ちなみに一般的には海にいても魔獣らしい。
海辺は岩礁となっていて、魚が多そうな感じ。蟹とかもいるかなー。
その岩礁の先に人魚たちの集落がある……ってあれ? なんか不穏な空気が……。
「どうかしたのか?」
トキワの問いかけに、はっとしてこっち向く人魚さんたち。
ここで人魚さんについての説明を。
まず、見た目のシルエットは人とあんまり変わんない。
首もとにエラがあって、手足に鱗がある。体は水蜘蛛の糸っていう水を弾く糸で作った、体にピッタリした服を着てて、その上にちょっと大きめな、体型を隠すような上着を着てる。戦士らしい人は鎧だな。で、大きな違いが足。足の平ってのがヒレになってて、人よりもかなり大きい。泳ぎ方が両足閉じて魚のヒレみたいに動かすから、水中では足が魚のヒレに見えたりする。
半水中に町を築いてて、こっからも水上の建物と水中の建物、通りが透き通って見えてる。風光明媚ってやつだね。
水上では火も使えるから、けっこう料理とかのバリエーションもあるそうな。
以上、ギルドで聞いた人魚さんについてでした。
ーー閑話休題ーー
あたしたちが近づくと、人魚さんたちが駆け寄ってきた。
「あの、キキョウ様たちですか⁉」
「そうだが……」
迫力に押されぎみ。
「あの、子供たちがいなくなったんです!」
「なに?」
……詳しく訊くと、なんでも最近子供たちがソワソワしてたらしい。あたしたちが来るって連絡があったから、そのせいだろうって思ってたそう。
ところが、2、3日以内に来るって連絡があった昨日の午後、子供たちが居なくなったそうだ。
連絡については、ハンターたちが行ってた模様。
ギルドの監視つきの旅路だったな……。
それはともかく、居なくなったのは10才から12才くらいの子供たち。他の子供に訊いてもわからないそうで……。
ふむ。
「ちょっと調べてみよっか」
「え?」
あたしは魔術を唱える。
……全力でやれば、範囲は一国分入るからな。
っと、見つけた。場所はこっから北に5キロほど。
「北、ですか?」
「うん。なにか心当たりは?」
「……もしかして」
何かあるよう。
「行ってみる?」
「おう、行くぞ! なにがあるか楽しみだ」
遊びじゃないんだけど……。さすがにマリーとシオンも呆れてる。
「……移動、どうすんの?」
「キキョウとシオンの魔術で歩いてきゃいい」
「ムリ」
波があっとこでふつうに歩ける訳がない。
(なら、我らがお運びしましょう)
へ?
見てみると、何体かの海馬が……。まるでどこぞで見たよな風景ってか……。
「いいの?」
(はい。キキョウ様と、その眷族というべき方々ですから)
……家族も眷族なのかなー。まあいいか。今は甘えちゃおう。
「みんな、この子たちが乗っけてくれるって。
「え、神の眷族が僕たちを乗せてくれるのかい?」
「うん。……なんかみんなはあたしの眷族あつかいみたい……」
「……」
「と、とにかく今は乗せてもらって行きましょう」
そうだね……。
そして3人は海馬に乗っかった。あたし? あたしは黒羽だよ。こういう時は分散してた方が安全だろうしね。
しばらく、といってもかなりのスピードで移動したから、10分で目的地に到着。人魚さんたちも泳ぐの速いよね。黒羽や海馬さんたちはそのスピードに合わせてたんだけど。
そして着いたのは、美しい珊瑚礁の海。
この近くから温泉が湧いてて、海が温かい。そのせいかな……。なんでここだけは向こうと同じなんだろう……。
っと、それで、子供たちは色とりどりの珊瑚を採って、アクセサリーを作ってるみたい。
「これって……」
「申し訳ございません! おそらくキキョウ様に差し上げる物を作ろうとここに来たんだと……!」
原因がわかって、わざわざあたしに足を運ばせたことを気にしてるよう。だけど。
「すごくきれいだわー」
「なんか温かくて、いごごちいいな」
「珊瑚の間に、小魚もいるんだね」
「アッタカイー」
珊瑚礁のある場所の近くの浅瀬で、みんなで海に入ってみてた。
足湯状態で心地よい。
「あ、おかあさーん」
子供たちが気づいて、駆け寄ってきた。
「もう、心配かけて……!」
抱き締められてたり、叱られたりしてる。
「心配させちゃ、ダメだよ」
「……おねえちゃん、キキョウ様?」
「そう」
「あのね、これみんなで作ったんだ!」
……珊瑚のネックレス、ブレスレット、リング、などなど……。
「うん、ありがとう。だけどね、いっぱいもらっても困っちゃうから、1個だけもらうね」
あたしは蒼を基調とした、ブレスレットを手にはめる。
「あとは心配してくれてた、お母さんにあげてね」
「はーい」
子供たちは素直に頷いてくれた。
……こんな貴重なものをいっぱいもらってもね。
おそらくここは、人魚さんたちが陸の人々と取引のためにある場所なんだろう。
魚介や魔獣と違って、特定の場所にしかない特産物は、彼等にとって重要だろうし。
「……この位置については忘れる」
「……ありがとうございます」
そうしてまた、元の海辺に戻った。
人魚たちにとっては、桔梗および仲間たちは神の眷族あつかい。
なので、秘密の場所に案内することも抵抗はないです。
連絡事項
実はインフルエンザになってしまいました。
そのため、しばらく更新をストップさせていただきます。
皆さんも、体長管理にはご注意を。




