魚釣りって、狩りじゃないよね⁉
前話の数日後。
水の国って、森が少ない。木々は多少はあるけど、湿地が多い感じかな?
動物とかが居ることはいるんだけど、そういうのは灌木の林みたいなとこだけ。だから魚介を輸出して、肉類を輸入となるんだな。
そして本日、釣りをすることになった。
話は昨日に遡るんだけど、宿での夕飯時、トキワがある漁師さんと知り合って、意気投合しちゃったんだ。
それで、釣りしてみないか? よしやろう! で決まった。
まあそれはいいんだけど、ちょっと大きめの船で小さめの湖に進んでいくのに、けっこう揺れてる。
……今日は風が強めだった。言い出したトキワ……船酔いしてるよ……。
「大丈夫?」
「……」
……マリーが介抱してるけど、返事する気力もないよう。
漁師さんとふたりで遅くまで酒盛りしてっからだよ、まったく。
その漁師さんは平然と船を操ってるけど。慣れの差かね?
『快癒』
とりあえず、トキワは治して、
『安定』
船を安定させる。
「おや、揺れなくなったな? よし、とばすぞ!」
……安全運転で、お願いします……。
しばらく進んで、ようやく目指すポイントに到着したよう。
「よし、始めるぞ!」
それぞれ釣りざおと餌をもって、釣り開始。
ちなみに針はU字ではあっても返しはなく、餌は小魚。ひょっとして大物狙い?
「よし、釣れた!」
まずはやっぱり漁師さん。釣れたのは金目鯛……うん。湖だしね……。
「当たった!」
次はマリー。こっちは石鯛……って、このスポット鯛が釣れる場所なのか?
「いや、珍しいな。こんなにポンポン当たるってのは」
ポイントについてはそうらしいけど、当たりは多くて30分に一回くらいらしいんだけど……。なんか、いやな予感が……。
そうして釣り上げた魚類、一時間ほどで10匹釣り上げた時、あたしの竿に大物……って、これは……。
「な⁉」
「こいつは……!」
「主だ‼」
うん、体長十メートル、見た目はシャチ、かな……。
なんでこんなのが食い付く……。
「そんな……、終わりだ……」
絶望の表情をする漁師さん。
「……さっさと片付けていい?」
「そうね」
「頼むよ」
「任せた!」
ってなことで、
「黒羽!」
大きくなった黒羽の背を踏み台に、頭上から太刀を一閃。
……さっすが、ドラゴンの牙。切れ味バツグン。
頭切り落として、水上に立つ。主も水上でぐったり状態。
手早く魔術を仕込んだ魚籠に入れて、船上に戻る。
「……あの……?」
「あたしこれでもSランク。あんなの雑魚」
「はあ⁉」
「まあ、そろそろ帰るか」
「大物捕ったからね」
「というか、これじゃ釣りじゃなくて狩りよね」
なんか普段のこととあんまり変わんないよな。
「最初は釣り上げたから、釣りでいいだろ」
それはどうなんだか。
「はあ、いいです。戻ります……」
あ、漁師さん落ち込んでる。
フォローは大本の発案者であるトキワに任せた。
それで、町に戻ると大騒ぎ。どうやらあの主ってギルドの討伐依頼が出てたそうで……。
賞金もらってその日は大宴会になりました。メインは主の鍋。
……この国は涼めのせいか、暖かいもの、特に鍋類が好まれてるんだよね。簡単で美味しいから。
その他、新鮮な魚介を使った料理を楽しめた。
……うん。タレに浸けた串焼きもあったよ。
そして翌日。思った通り、トキワは二日酔い。
一日のんびりして、出発は翌日にしましたとさ。
やっぱり、主を倒しとかないと。
ボス倒して宴会という流れは、お約束、というやつですね。




