王冠って重かった
そして迎えた戴冠式当日。
あたしは女性の大神官用の法衣を纏ってを、大神官の隣に座ってた。
トキワ、マリー、シオンは貴賓席。
ヤマブキさんはあたしの隣。
式は粛々と進んでくいく。
「……キキョウ様、戴冠をお願いします」
「……わかりました」
順番がきてあたしは立ち上がる。
そして壇上に置いてある王冠を手に持つ。
……か、な、り、重いぞ!
……こっそりと身体強化しとかんかったら、持ち上がんなかった。
……この際だ。王冠に軽量化の魔術かけちゃえ。
よし。振り向いて王子を見つめる。
そして言葉をかける。
「……この国から神の恩恵が消えたのは、人々が神を捨てたため。しかし、あなたの想いに答えて、神は戻ってこられました。
……この国に住む方々を慈しみ、神の心を信じれば、国は栄えるでしょう。
これからのあなた方の行いにより、それが決まるのです。
この王冠に恥じない行いを、あなたと、ここにおられる皆様に望みます」
「……あなた様の言葉を違わず、この国を守り行くことを、誓います」
……あたしはひとつ頷くと、王冠を王子の頭にのせた。
おや、って顔したからこっそりと合図する。
それで分かったのか、王子……いや、もう王か……は立ち上がり振り返る。そして人々を見回して宣言する。
「今、このときより私は王となる。だが、私一人のちからでは、この国を護るには足りない。この地に住む全ての人々が幸福を得られるよう、皆にも力を借りたい。これからよろしく頼む!」
……自らの未熟を語るのは、良くないことも多いけど、今回はそれが効をなしたみたい。みんな、新しい王の誕生を祝い、慶びの声をあげていた。
そしてその夜はパーティ。
こないだ作ったドレスを着ての参加です。
あたしは瞳の色と同じ紫のドレス。
マリーも同じく翠のドレス。
トキワは蒼の衣装で、シオンは白い魔術師のローブ着てる。
……それにしても、なんか食べるヒマもないくらい忙しいんだけど。みんなずっと人に囲まれたまんま。逃げる余裕もなし。どうしよ?
「……それで、キキョウ様はいつまでこちらにいらっしゃるんでしょうか? できればずっといて欲しいですわ」
「確かにそうですね。よろしければ、私の妻としてこの国に腰を落ち着けて頂きたいものです」
……はい?
「あら、ダメよ。あなたよりも陛下のお側で、お妃様になって頂かないと」
……これは、外堀埋められてんのか?
「ねえ、キキョウ様?」
答えは決まってるけどね。
「……わたしが王族、もしくは貴族に嫁ぐことはありえません。わたしは各国でなにかしらの異常があったとき、神々の代わりとして動ける状態でいなければならないのです。だからこそ、ハンターとして席を置いているのですから。
……申し訳ござませんが、この話はなかったことにしてください」
「……」
あっけにとられてるし。
ま、実際あたしみたいな規格外がひとつの国に縛られるのは良くない。場合によっちゃ、戦争の道具にされかねん。諦めてねー。
「それでは失礼します」
あー、ようやく逃げられたっと。
見ると、みんなも逃げてきたってか、お腹すいたみたいだね。テーブルに集まっちゃった。
のんびりと料理を食べながら、ゆったりする。
「なんっか、久しぶりにゆっくりしたかも」
「だな。特にキキョウは忙しかったしな。それにしても、二人ともよくにあってるな」
「そうだね。さっきから、自然とキキョウに視線が集まってる」
「あれ、マリーは?」
「わたしはたぶん実年齢より幼く見えてる、というか見せてるから」
……なるほど。可愛い系を選んだのは、男避けか。
「だけど、このクレープだったかしら。ほんとに美味しいわね」
先日料理長に教えたやつね。実際暑いときは特に美味しい。
「お、そろそろダンスの時間か」
中央のフロアが空いて、音楽が流れ出す。
と、王があたしのに近づいてきた。
「1曲、踊って頂けますか?」
「はい」
ま、これも義務だし。
王のリードで1曲踊る。
「……キキョウ様はダンスもお上手なのですね」
「体を動かすのは好きだし」
踊りながら話す。
「……いつまでこちらに?」
ああ、その事が知りたかったのか。
「たぶん、火の月が終わる前に」
次の場所へ異動だろな。
「そうですか。……また、お会いできますか?」
「それはもちろん!」
にっこりと笑うと、王も安心したもよう。
そこで曲も終わり、フロアからでる。
「キキョウちゃん、スッゴクキレイだったわ」
「そっかな」
「そうだ」
「そうだよ」
返事が重なった。
「よし、おれたちも踊るか」
トキワがマリーの手を取って、フロアに向かう。
「僕と踊ってもらえますか?」
ちょっと気取ったシオンの言葉に笑って、
「喜んで」
手を取った。
シオンと踊った後は、他の人の誘いを断り、あたしたちはホールをあとにした。
次は出発前、かな。




