王都へ向かって
あのあと、何とか落ち着いてもらって、今夜はここで一泊となりました……。聖女、神様扱いは勘弁して……。
現状をガーネット様に連絡したところ、つらそうに唸ってた。どうにかしたくても、どうしようもない状態、だからな。
そのあと許可をもらってこの村に浄化の結界を張った。
四方に簡易的な魔道具うめて、この村全体を覆う結界。
この中で命を失った場合、自然と完全浄化ができる。とはいえあたしの魔石の力が尽きるまでだから、せいぜい今月いっぱいくらいだけど。ま、そんなに長くかける予定もないしね。
一泊して、すぐに村を出た。そして同じような状態の次の村にいくことにした。
街くらい大きければ、神殿あったりするから、取りあえず完全に危険と思われる場所をまわった方がいいだろう、と意見が一致したしね。
そうして王都にだいぶ近づいた今日この頃。
現状を確認するためトキワとマリーが近くの大きな町へ偵察に行った。……夫婦設定で違和感なしっと。
「ね、シオン」
「なに?」
「あのふたりって……」
突っ込んでいいのかなー。
「ああ、前はエリカがいたから結婚できなかったんだよ。今なら問題もないし、ことがすんだら式を挙げてもいいかもしれないね」
「なら、そんときはあたしが衣装を作る!」
「ボクは式を執り行おっか」
「きっと、ふたりも喜ぶよ」
久しぶりにまったりとした時がすごせました。
ーーー
「町の中はだいぶ落ち着いてるわね」
「神殿もあるし、なにより見捨てられていない、からな」
「……」
ふたりとも、どうしてもたどってきた小さな村のことが気になってた。町は活気があまりないが、それでも平穏な雰囲気だったから。
「取りあえずハンターギルド、だな」
「ええ」
ふたりはギルドに向かうことにした。
「……だよな」
「うん、会ってみたいね。だけど、国の方で探しても見付からないんだろ?だったら会うのは難しいかもね」
「えー!そんなのつまんないー」
「……そういう問題かよ……」
中に入ったとたん聞こえてきた噂話。
思わず顔を見合わせると、話をしている3人組のテーブルに向かう。
「何の話かしら?」
こういうとき、小柄で人当たりのよいマリーがまず話しかけた。
男ふたりはマリーを見てデレッとしてる。
それを気にせず、女性が内容を口にする。
「何って聖女様よ、聖女様。南方の町で現れた、美しい歌声で悪人を浄化するんですって!おまけにすっごい美人なんだって!きっとこの国の新しい神様になってくれるために来たのよ!」
「……そうなの?」
「そうに決まってるわ!この国から神様が居なくなって、もう十数年だもの、新しい神様が来てくれてもいい頃でしょう?」
「神様が居なくなって十数年、だと⁉」
どう言うことだ、とトキワが問いかける。
マリーに見とれていたうちのひとりが、ようやく我にかえってこたえた。
「アンタ、知んないのか?神殿が神様に見捨てられたって言ったのがそれくらい前だろ?」
「……神殿が言ったのね?」
「おう。王様が直接神様に伺ったそうだぞ。「面倒だから、神を辞める」って言ったそうだ」
「それ、みんな信じたのか?」
「?だって神殿が言ったならそうなんだろ」
(なるほどな)
これでこの国で神の力が届かない理由が判明した、といえるかもしれない。
ふたりは、さらに詳しい情報を求めて、カウンターに向かった。
ーーー
「……と言うわけだ」
翌日の早朝、戻ってきたふたりからの報告に呆れるしかなかった。
取りあえず一言言いたい。
「だれが聖女だ!」
そんなもの、なった覚えはないっ!
「……それについては、諦めた方がいいわ」
「うー」
……唸ることしかできないと……。
「実際キキョウがやっていることは、神々の業と言えるものだし」
「そっちは仕方ないよね」
「問題は、神殿と王家の関係だな。ヤマブキ、なにか聞いてるか?」
「うーん。それがね。ガーネットの大神殿は、話すことはない、の一点張りで。トパーズ様からの伝言も受け取ろうとはしなくてね。崇める神様が違うから、手も口も出すなって言ってる。他の神殿の方も手出し出来ないって連絡はきてたしね」
つまり、
「自分達が神になる、もしくは神などいてもいなくても変わらない、さて、あの連中の考えはどっちだろうね」
まったく。
「……もうひとつあるよ」
「シオン?」
「自らの手で、自分達が好きにできる神を作る」
「……ありうる、か」
なにしろ、あたしを呼んだのはそいつらだしね。
「……キキョウ、王都の方は……」
「うん。そろそろ根回しも終わる頃だって」
「……なら、いくぞ」
頷きあって、腰を上げた。
さっさと終わらせないとね。
次回はちょっと休憩。
トキワとマリーを待ってる間のちょっとした出来事。




