見捨てられた村
……旅のあいだ、盗賊が襲って来るたび、黒羽と天狼さんに確認をとる。だけど、穢れをおびた人たちにしかいなかった。だから、最初から、あたしたちは命を奪うために武器を振るった。
眠りの魔術も、抵抗する意志のある人にはあまり効かないから。
いつも通り浄化を終えると、マリーがしみじみとつぶやく。
「……ホント、キキョウちゃんって、聖女か女神様かってくらい、神々しいわね。浄化の時とかって」
……?神々しい?
「どーゆーこと?」
「まあ、もともと神具ーー神の力をお借りして行うことだしね。それを自力でしている以上、キキョウさんはほんとに神に近い方ってことだね」
?本人にはよくわからん。
「そういうものだし」
はあ。
「……取りあえず、先にすすむぞ」
王都に到着すれば、それでなにかも変わるはずだし。
「いこ」
あたしたちは歩き出した。
王都に近づくにつれて魔獣の数と強さが大きくなってきてる。神様に確認したところ、やっぱり王都近くは魔力が上手く循環してないから、だそう。焦って急いでも結果が変わらないそうだし、今は地道に進むか。
そうして進む途中、また盗賊がでた。
「そっ、その魔獣をおいてけ……」
あれ?確かにセリフはいつもと同じだけど……声は震えてるってか、全身震えてる?人数もそんな多くないし?
「そりゃかまわんが」
「!いいのか?助かる!」
盗賊?たちは嬉々として魔獣の解体を始めた。
「ところで、君たちどこの誰?」
「えっ!あ、あんた、神官か⁉」
「?一応、地の神官だけど?」
「なら、村に来てくれ!頼む!みんなを救ってくれ!」
あたしたちは顔を見合わせると、うなずく。
「かまわないわ。出来ることがあるかは、いってみないとわからないけれど」
「ありがたい。ならこっちだ」
先にあたし達を連れていくつもりらしい。解体中の人たちはおいて村に向かった。
到着、する前から妙な臭いがしてたけど……、これは……。
「頼む!こいつらを救ってくれ!」
……当然だな。魔物と化してしまっている、この村の死者たちを浄化するのは。
この村は、完全に国と神殿に見捨てられてるそうで、簡易浄化できる神官すら来ないらしい。
「……神殿、神様に見捨てられてる以上、どうしようもないことはわかかってる。だが、それでも……」
「見捨ててなんかいないよ。今の状態は逆、神様が見捨てられたから起こってるんだ」
「……神様が見捨てられた?」
あたしは前に出る。死者たちのそばで疲弊してる人たちがあたしを見上げてた。
……無理もないな。死者が魔物となったとき、彼らは魔物を死者に戻すため止めを刺す。それをずっと繰り返してたんだから。
だから、あたしは唄った。
死者たちの安らかな眠りと、村の人たちの安らぎを願って。
「聖女様……?」
「聖女様だ!」
……は?
「あーあながち間違っちゃいないか」
「浄化中のキキョウさんは、ほんっと神々しいからね」
「うん、スッゴクキレイだし」
うんうん。って本人無視かい!
「実際、神様たちと友人なんだし、間違いじゃないよね」
いや、確かに神様たちそーいってたけど!
「諦めた方がいいですよ……」
……天狼さんの言葉に、がっくりとうつむいた。
……村の人たちは、ずっとあたしに向かって祈り続けてた……。




