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閑話 やっぱ祭りには浴衣だね

「そういえば」

甲板で海を見ていると、不意にマリーが話し出した。

「ガーネットに到着する頃って、ちょうど火の祭りのころよね」

祭りだと!?

詳しく聞くと、各月の1日目は祭りの日らしい。トパーズでは地の月の初日、地の月の次は火の月だから、ガーネットに到着する頃がだいたい祭りの日らしい。

「ね、祭りってどんなの?」

「うーん。直接言葉で説明するのはむずかしいんだけどね。一晩中お店が開いてて、子供たちも夜更かしして騒いでいい日、かなぁ」

……ひょっとして、故郷のお祭りとおんなじみたいのだったり。

ここは、スマホの出番だ!

検索結果ーー自分達を守護する神様の月がきたことを祝う祭り。本神殿での祭事と、各町での祝祭。

目的地でもやる。

……ふーん。気候なんかはちょっと高めで、服装なんかもトパーズとは違う。太めの糸でざっくりと編んだ布を薄手の服の上に着る、と。

……これはあれかな?祭りだし、浴衣着ちゃってもいいかな?

マリーに確認。

「え、キキョウちゃんの故郷の服⁉どんなの⁉着てみたい!」

はい、けってー。持ってきた布で作りましょー。


そして、港待ちに到着ー。

ちょうど祭りはあした。ということで、あたしたちの出発はあさって。宿をとった後、祭り準備中の熱気を感じながら町の様子を眺めた。宿の人に聞いたら、戦争の噂はあっても、実感はないってかんじ。ただ、王都に王様お気に入りの大魔術師がいるという噂。……聞きたくなかったかも。

にしても、この国ってちょっと暑いかな。初夏の陽気が年中続いてるって感じ。なんとなく子供の頃の夏祭り、思い出すな。

窓辺で黄昏てると、マリーが呼びにきた。

「そろそろ夕飯よ。この宿、魚介類が美味しいって」

「ホント?それは楽しみ」

あたしたちは食堂に向かった。


明けて翌日、祭りの日。

町の人たちは大騒ぎ。ほんっとにたのしそーだな。

あたしたちも朝から観光にしゅっぱーつ。

カッコは作ったら浴衣。といってもかなり変則的なのだけど。

まず、シオンはオーソドックスな紺色の浴衣。柄はなし。黄色の帯で締めている……とはいえ、下に薄手のシャツといつものズボン穿いてて足はブーツだけど。ま、これはしゃーない。こっちの風習だしね。

トキワは黒い大きめの浴衣を羽織ってる。帯はなし。金糸の真竜の刺繍をいれた。見本は目の前にあっからね。

ちょっと変わり種のマリーの衣装は、ピンクのふわふわの重ね着。濃いピンクの透けるほど薄い浴衣の上に、少しずつ色の違っているピンクの浴衣を重ねている。帯は水色。通気性もいいからけっこう涼しいっていってた。

そしてあたし。萌木色の浴衣にピンクの桜の刺繍を入れました。けっこー自信作。

ピンクの帯も締めて、気分は上々。さー遊ぶぞー。

ちなみにヤマブキさんはいつもの法衣……だと暑いんで、こっそり『適温』の刺繍が刻んであったり。

あと、黒羽にも白いハッピ作っちゃった。スッゴくカワイーわ。


そんなあたしたちはものスッゴく目立ってた。トーゼンだね。祭りで着飾ってる人も多いけど、あたしたちはみんな変わった格好してるわけだし。おまけに全員、じつは見目もいい。

というわけで、注目を集めて、この浴衣について知りたいというここの服飾関係の人たちと交流しちゃった。

新しい、というか懐かしいものをつい流行らせたくなっちゃって。

みんな笑ってくれてたけどね。


その後、祭りの時には浴衣を着ることが世界中で流行ってくれた、っつーか普段から着る人も出てきたとさ。

浴衣、次の祭りでも着よう♪

祭り、別の意味で楽しんだ模様。

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