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帰れない

大切だから、帰れない。

「ごめんなさい。あなたが来た当初に言っておけば良かったのかもしれないけど、あたしはあなたにこの世界を好きになってほしくて」

「……ううん。どちらにしろ、結果は変わらないから。あたしが帰れなくなるのは、当然のことだから」

そう。原因はこの世界にあたしを呼んだというやつらだけ。

神様たちのせいじゃない。あたし自身のせい。

「だから、気にしないで。あたしは、たぶん大丈夫、だから」

気にしてくれてるのは分かるけど、きっと大丈夫。

「あたしには、もう、家族がいるから」

トキワ、マリー、シオン。3人がいてくれてるから。

ちゃんと、受け入れてくれるから。だから。

「大丈夫」

「……わかった」

ダイヤモンド様が静かにうなずく。他の神々も取りあえず納得してくれたよう。

「キキョウ。君が気にしていた魔力の暴走についてだが」

……ああ、感情が負けて、世界を滅ぼしてしまう可能性は、あたしもあいつと変わらないか……。

「真竜である黒羽が一緒なら問題はない。黒羽がある程度の魔力を制御するだろうし、世界を滅ぼしかねない時には、私が感じとることも出来る。君の暴走は止められる。だから、君は好きなように生きればいい」

……そっか。ひとつ懸念はなくなったか。

「ありがとう。出来るだけ手をわずらわせないようにするよ」

「そなたなら大丈夫じゃろ」

「そうだな」

……神々に認められてしまった。

「それで、君に渡したいものがある。頼み事の報酬と思ってほしい」

手渡されたのは、スマホ?

「コレって……」

「これでいつでもあたしたちに連絡できるし、知りたいこともできる範囲で教えたげれるから」

……神様直通電話に、百科辞典代わりか。

「いちおーもらっとく」

「うん。おいしーもの作ったら、連絡してね♪」

うんうん、っておい神様!

はあ、

「まーいいけど」

「それでは、そろそろ戻るか?」

「うん」

あたしは神々に見送られて、もとの場所に……ってあれ、黒羽?

……テーブルの上でまだお茶飲んでる。

話、全然聞いてなかったか。

「……黒羽、帰るよ」

「ハーイ」

パタパタと飛んで定位置のあたしの肩に乗っかる。

「じゃ、行くよ。またね」

「おう」

「またなのじゃ」

「待ってるわ」

「スマン、頼む」

「気をつけて。私達は、元気な君とまた会えることを楽しみにしているから」

それぞれに挨拶してくれる神様達に別れを告げ、来た所(ゲート、かな)から、もとの神の間に戻った。


「……お話は終わりましたか」

シュンランさんの確認に無言で頷く。どうやらあたしが向こうに行ってから、数分程度しかたってないよう。

あたしにの様子に何を思ったか、無言で応接室まで案内してくれた。


「キキョウちゃん、どうだったの?」

……あたしにを見たとたん駆けよってきたマリーと、心配そうにこっちを見てるトキワとシオンの顔を見たところで限界がきた。

「……っ」

あたしはマリーにしがみついて泣いた。

ただ、帰れないとだけ言って。

それで理解したのか、マリーはずっと抱き締めてくれて、トキワとシオンは頭や背中を撫でてくれてた。

ーー神様が教えてくれた帰る方法。

必用なのは、神々の許可、向かう場所と時間、大きな魔力、……そして、この世界の全てを捨てること、未練を無くすこと。

……あたしにとってこの世界、正確にはプレナイトの町はもうひとつの故郷になってる。トキワ、マリー、シオンの3人は本当の家族も同然。そして、それを望んだのは、あたし自身……。

だから、帰れない。帰りたいと思うことも出来ない。


あたしは故郷と、もとの世界との別れを想い、泣き続けた……。

桔梗は次回で復活予定。

桔梗のいう”彼”についても、多少は出るかと。

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