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俺のダチは幽霊!?  作者: 読門太一
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2/8

やっぱり君は……

【俺のダチは幽霊!?】次話投稿です!ゆっくり見ていってくださ~い!

――次の日――


 月日が経つのは早いということに今更ながら気づいた。ついさっきまで日下部水月(くさかべみつき)と名乗る人物と話していたはずなのに……。気づいたら俺の寝室で清々しいほどの朝を迎えていた。


「もう朝か……」


 吐息をはきながらもいつも通りに身支度を済ませ学校へ向かった。

 徒歩10分程度の平凡な道のりを今日もひたすら歩くのである。めんどくさい……。


――5月19日 8時4分 校門前――


 入学したての頃、まるで俺たちを歓迎してくれるかのように咲き誇っていた満開の桜は5月に入ってから徐々に散っていき、今では平凡な木々に移り変わっている。

 そしてこの時期になると、大体の新入生は五月病という新入生ならではの症状にかかると言われている。あくまでもらしいが。

 しかし俺はその病にかかる奴の気がしれない。なぜなら俺はその症状にかかったことがないからだ。まあもともとこのような性格だからかもしれないが……。

 お、そうこうしてる間に校門が見えてきた。……ん? あれは――

 校門を見ていた俺だが、突然、一人の女性に目が釘付けになってしまった。


・他の女性をはるかに圧倒しているつやがかった顔。

・ほどよく髪を後ろでくくっている通称 ”ポニーテール” 。

・そして俺のドストライクな外見。


 間違いない! この条件が一致するということは……。


――俺はその女性のもとへすぐさま駆け寄る――


「あの……おはよう。もしかして水月さん?」


 一瞬の沈黙が二人の空間を流れ……。


「はい。そうですけど。……あっ! そういう君は……だれだっけ?」


 二人の間をこの時期の温暖な気候とは裏腹な冷たい風が勢いよく流れていった……。


「バキバキッ……!」

 あれ? 今かすかに心の折れる音が……。


「って、おいおい! もう忘れたのかよ! 昨日助けてもらったばっかりなのに……」


 こういうのは男の身として結構心に来るものなのだ。激しいひび割れのようなものが。


「思い出した。たしか……結城……」

「うんうん! 結城?」

「結城……はpi97f hmlくん? だっけ?」

 今すぐ死にたい。 ”は” しか合ってないよ……。しかも途中から異星人がしゃべっているような感じがしたし……。分からないなら分からないとはっきり言ってくれればいいのに。

「ごめんなさい。君の名前分からないわ」

(はっきりいわれた! 言われたら言われたで約半分以上のダメージが。がはっ!)

「じゃあ、君の名前は羽衣(はごろも)くんにきめた!」

 あーあ、分からないのをいいことに勝手に名前決められちゃったよ。俺ってそんな安っぽい男なのかな……。

「羽衣くんがいやなら名無しってことでもおっけーだよ!(ニヤッ)」

「俺は漫才でも見ているのかな?」


 いつの間にか声にまで出ている始末であった。


「フフフッ。冗談だよ、冗談! 冗談というより茶番だね!」

 どっちも変わんねえよ!

「ちゃんと覚えてるよ。結城晴彦(ゆうきはるひこ)君!」


 名前を覚えていてくれたことに俺は正直嬉しく思い、顔がほてっているのがよくわかった。


――照れくさかったのだろう――


「晴彦でいいよ。いちいちフルネームはどちらにしてもめんどうだからな」

「そうだね。改めてよろしく! 晴彦君!」

「お、おう!」


 普通に話しているとやっぱり話しやすいし、いい人なんだなと強く感じた。やはり”命の恩人”だけのことはある。他の生徒の不思議そうな視線を気にしながらも俺は会話を続けた。


「そういえば水月さんってここの生徒だったんですね」

「うん。そうなの。晴彦君と同級生だね! クラスが違うのは残念だけどね」

 何組なんだろうか。聞いてみよう。あ、ちなみに俺は2組だ。

「ちなみに何組なんですか?」

「んー。今はな・い・しょ!」

 ……? なんで内緒にする必要があるんだろうか。まあいいか。水月さんにも事情があるのであろう。

「そうなんですか。また教えてくれよな」

「うん。またいつかね……」


 少し悲しげに聞こえたのは気のせいだろうか? 俺の考えすぎかな……。


「って、やば。もうこんな時間!」


 学校の最上部の中央にある時計を見ると、もう時計の針が6の数字、いわゆる30分の位置をしめそうとしていた。と、その瞬間高々と予鈴が広々と鳴り響いた。


「まずい。俺たち早くいかねえと遅刻扱いにされちまうぞ!」

「ほんとだ! じゃあ走り抜けよう!」

「おう!」


 そう言うと、俺は無意識に水月の手を握り、走り抜けた。


「ッ!」

 急いでいたからあまり気にはしなかったが、水月の手を握った瞬間、なにかよくわからない違和感を感じた。なにか、握っているようで握っていないような感触……。


――「まずい。 ”俺たち” はやくいかねえと~~~」――


「”俺たち”か……。本当は私――――なのになあ」




【学校案内】

 ここ光明学園(こうみょうがくえん)はどこにでもあるごく普通の学園である。今年でちょうど創立50周年らしく、11月中旬には50周年を記念した祭り、 ”光明50祭(歳)” が行われる。つまり、今年の光明学園は文化祭の ”光明祭” との二大祭りイベントが待ち構えている。入学して早々忙しくなりそうだ。

 改めてここ光明学園は1学年6クラスあり、このクラス分けに特に意味は……ない! 何かしらと理由があるはずなのだが ”ない” のだ! 俺がいる2組も特に優秀な人材が揃っているわけでも、アホな小学生並みの神経を持っている集団がいるわけでもないのだ。とはいってもfifty-fiftyくらいなんだけどな……。

 っと、ここらへんで学校案内は終わらせておこう。ではでは……。




――8時30分 1年2組教室内――


「いやぁ~、間に合った間に合った! ほんっとギリギリだぜー!」


 その言葉を発した瞬間、学校中にチャイムが響きわたった。こんなギリギリなら間に合ったも遅刻も変わりねえか。


「よう、遅かったじゃねえか。晴彦!」

 お願い、せめてあいさつである 『おはよう』 くらい言って……。


 そうだそうだ、紹介しないとな。こいつは小林佑太(こばやしゆうた)だ。俺と同じ1年2組の仲間だ。小学生の頃から常に同じ道を歩んできた切っても切れない腐れ縁なのだ。まあ佑太は小学生の時に転校してきた瞬間からなにかあるなとは思っていたんだけどな。


「晴彦? なにゴニョゴニョと独り言言ってんだ?」

 おっとっと、声に出てたか……。

「ごめんごめん。でも一応説明しとかないと……だろ?」

「?」

「それに、説明しとかないとそれこそお前が名無しになっちゃうだろ?」

「??」

 いっけね! また声に……。

「まあいい。それより今日は一限目から日本史の確認テストだぞ? ちゃんと覚えてきたのか?」

「……え? マジ……?」

「マジだ。昨日日本史の西村先生が散々言っていただろうに」

「……」

 あ、思い出した。たしか……。


――昨日――


西村先生『よし、今日の日本史はここまでにしておこう。あ、そうそう。明日は確認テストを行うぞ』

生徒一同『えーーーっ!?』

    『まじかよー!』

    『今日は徹夜だなー』

西村先生『静かにしろ! いいか? 言ったからな? もう一度言う。明日は確認テストだぞ!!』


 ……うん。ほんとに散々言っていた……。

「どうしよか……。佑太?」

「忘れたお前が悪いんじゃねえか」

「しょうがないだろ!?」

 昨日あんなことになって忘れるな! という方が無理だ。

「お前さあ、今日変だぞ」

「え? そ、そうかなあ」

「先生の話したことはめったに忘れないお前が忘れるなんておかしいだろ」

 佑太? 同じことを二回言わせる気か、コノヤロー!

「それと、今日の朝に……」

「?」

「校門前で ”誰” と話してたんだ? お前の横には ”誰一人” いなかったぞ?」

 ……。


「え?」


 その瞬間、俺の中で時間がきっぱりと止まった。それと同時に頭の中の思考回路が見事に砕け散った。一言でいうと頭の中が真っ白になったのだ。


 ちょっと待てよ……。いま佑太が放った言葉、 『”誰”と話してた?』 『”誰一人”いなかった?』

「冗談じゃない! 俺はちゃんと人と話してたぞ!」

「嘘つけ! 教室の窓越しから見てたけどよぉ、どう見てもお前一人だったぜ」

 嘘だ……じゃあ俺は……誰と……ん? 誰と? ……そうだ!

「佑太!」

「ん? わかったのか?」

「日下部水月って知ってるか?」

 そうなんだ! 話していた相手、つまり水月さん。名前を出せば何かわかるかもしれない。それに佑太は学級委員だから学年の全生徒の名前の大体は把握しているはずだ!

「……聞いたことないなあ」

「えっ……」

「俺も全生徒の名前という名前は覚えているが、日下部水月という名前は初耳だ。」

「……」

「どこかの身内か何かか? ……おいっ! どうした。顔色が悪いぞ!」

 俺はその時、佑太が俺になにか問いかけていたことはなんとなくわかったがその一つ一つの単語が頭に入ってくることはなかった。でも、佑太が言っていることが本当なら俺は誰と話していたんだ? それなら、日下部水月というのはなんなんだ?


 考えていてもしょうがないので、いったん朝にあった出来事を瞬時に整理した。


 水月さんとは昨日と今日で2回会った。その2回で共通して感じたこと……。

 はっ!! 思い出した。一つは、


・気配はあるが、何か妙な気配。まるで ”人の気配じゃない” ような……。


 そしてもう一つは、


・手を握ったが ”握っているけど握っていない” ような感触。


 これを導き出した瞬間、俺は一つの ”答え” に戸惑いを隠せなかった。正直信じたくない……。だってあんなに仲良く話してくれていたのに……。すぐそこにいたのに……。


――水月さんは――



『幽霊』 なのか……?






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