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見えない魔王——歪みきった征服ゲーム  作者: 純白
【第二部】 第五十二章――リオの歌
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431 どうして……どうして俺は、こんなに情けないんだ!


「急げ! 戦闘に巻き込まれて、安全にログアウトできなくなったら厄介だぞ!」

古志はメールアドレスを書いてもらうだけで、これほど時間がかかるとは思ってもいなかった。羊を追うように仲間たちを急き立て、山の斜面を登らせた。


そのとき、西の空は黒い雲に覆われていた。40人はすぐにリオの小屋へ駆け出したが、雷鳴はどんどん近づいてくる。


「もっと急げ! 間に合わないぞ!」危険を察した古志が叫んだ。


「危ないっ!!!!」パシュスは空から降ってくる光球を見つけ、盾を掲げてニフェトの前に立ちはだかった。


光球は流星のように群衆の中へ墜ち……白い閃光が走った。

バチバチバチィッ——山頂一帯を電光が這い回った。


「うわああっ!!」

全軍から悲鳴が上がり、全員が戦闘状態に引きずり込まれた!


和也と、黒衣をまとった大賢団の隊長3人が、全身に雷光を帯びて連合軍の中央に現れた……。誰も反応できないうちに——

「氷霜の彗星!」

和也たちは力を合わせ、巨大な氷の彗星を召喚して降らせた。


「爆炎術!」和也は空へ火球を放ち、氷の彗星の内部を爆破してくり抜いた。


氷の球はドンと地面に落ち、強固な氷の盾のように4人を守った。そのとき、森から何本もの鷲の旗が現れた。百賢の旅も到着したのだ。


連合軍の面々は自分たちの戦闘状態の表示を呆然と見つめ、やるせない面持ちで古志と白を見た。


「早く小屋に入れ!!」パシュスが力の限り叫んだ。


「でも、もう……戦闘状態に入ってしまった……」

古志は沈んだ声で言った。


「10分間攻撃を受けなければ、自動で解除される! 早く入れ!!」

パシュスは片手で鉄扉を引き開けると、仲間の襟首をつかみ、ひよこでも扱うように小屋へ押し込んだ。


強烈な光が閃き、百賢の旅による雷の砲撃が襲いかかった!

ドガァンッ! バチバチバチッ!

入口にいた何人もが爆風になぎ倒されたが、傷はなかった。パシュスが障壁を召喚し、その一撃を受け止めていたのだ。


「早く中へ下がれ!!!」それを見た古志は、倒れた仲間たちを急いで小屋へ引き戻した。


「お願いね……」

ニフェトは鉄扉をつかんでパシュスに告げると、勢いよく閉めた。


パシュスは雄叫びを上げ、銀翼の盾を土に突き立てた。盾はすぐに、一対の銀色の翼を広げた。


【システムメッセージ: 戦闘態勢「鋼の意志」を発動

*移動しない間、被ダメージが33%減少】


「10分……来い!」


ゴオオッ!!!

百賢の旅が巨大な火炎弾を放った。それはまるで地上の太陽のように、凄まじい熱を放っていた。


「我が魂の盾!」

パシュスは自身の最大HPの70%分の耐久値を持つ障壁を召喚し、恐れることなく火球を迎え撃った。


火球が激突した、その瞬間……

「憎悪の力!」

銀翼の盾が突如、黄金色に変わった——

ドゴォン!!!!

火球がパシュスの障壁の耐久値を一気に削った。直後、その火球は和也の氷のドームへ跳ね返され、ドームを粉砕して土砂降りの雨を降らせた。


ずぶ濡れになった和也はゆっくりと振り返り、たった一人で立つパシュスに言った。

「実に勇敢だな……加奈の友達」


...


リオの小屋の中では——


「リオ! あなたも早く逃げて!」

ニフェトはテーブルに突っ伏して泣いているリオを見つけた。ニフェトがリオを軽くたたくと、リオはニフェトを押しのけた。


「あとから来てね……」

ニフェトにはもう説得している時間がなかった。リオを残し、皆を地下道へ導くしかなかった。


「パシュスは……」古志は眉をひそめた。


「大丈夫。彼とは、前から約束してあるの」

ニフェトは静かに微笑んだ。そのとき、鉄扉からドンという轟音が響き、地下道全体が揺れた。


「急いで……」ニフェトは顔を曇らせ、一行をさらに深い地下へと導いた。


...


小屋の入口近くの作業台で、リオは千枚近い設計図を握り締めて泣きじゃくっていた。

「どうして……どうして俺は、こんなに情けないんだ!」


突然、怒りが込み上げ、リオは設計図をすべて床へ払い落とした。そして、六口弥生から譲り受けた護心石を取り出した。


「ギルドの財産の半分近くを、俺の研究に託してくれたのに……ごめん……俺……うわああっ!!」

リオは突然、小さな鉄のハンマーを振り上げ、護心石を叩き割った。その破片が、偶然リオの発明品の上に散らばった。


「せめて、ギルドの誇りだけは守らせてくれ!!」

リオは勢いよく跳び起き、ショットガンを手に鉄扉から飛び出した——


青々とした山頂は、すでに火の海に沈んでいた。青いマントがあちこち焼け焦げたパシュスは、静かに呼吸を整え、百賢の旅の次の砲撃に備えていた。


「パシュス! 俺に——」

リオは興奮しきった声で叫んだ。


パシュスは振り返り、リオが鉄扉を開けてしまったことに気づいて、ぎょっとした。和也はその隙を逃さず、稲妻のような速さで鉄扉へ突進した。


「胴鎖!」

パシュスは盾で和也を吹き飛ばし、続けて残る大賢団の隊長3人に青い魂の鎖を放った。パシュスと3人の隊長は、同時に身動きが取れなくなった。


隊長たちは必死にもがき、鉄扉へ突進しようとした——パシュスは全身の筋肉を限界まで張り詰め、震えていた。


「死ね!」リオはショットガンを構え、源魔師に狙いを定めて引き金を引いた。

ドン!

源魔師は左肩を撃たれ、2歩後ずさった。だが、攻撃の威力は大したことがないようだった。


「てめえ、俺までダメージを食らってんだろうが!」

パシュスは顔を真っ赤にして言った。


「なら……俺の高威力手榴弾を食らえ!!!!」

リオが投げようとした、その瞬間——


「クソが、ドアを閉めろ! いい加減、馬鹿やってんじゃねえ!」

パシュスは激怒し、口汚く罵った。


バン!

「くそ……くそ……」

リオは悔しげに小屋へ戻り、鉄扉を叩いた。涙が一滴ずつ床に落ちた。


ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。


「くそ! くそ! くそ!」

リオは拳を打ちつけ、また打ちつけて、悲しみも怒りもすべて鉄扉にぶつけた——だが、3発殴っただけで力を使い果たし、床に倒れて荒い息をついた。


ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。


「ん?」


...


同じ頃、サーバーのもう一つの激戦地、プラムスの塔では——


「爆破するぞ!!!!」

ドゴォン!!


【システムメッセージ: フレンド アンドリア HP残り20%】


地下牢が激しく揺れ、ドイツのプレイヤーも聖三位一体の連合軍も、強烈な衝撃波になぎ倒された。


地下牢の奥から冷気が吹きつけた。加奈は壁も天井も床も雪に覆われているのを見て、目を見開いた。粉々になった氷竜の亡骸が地下牢の至るところに張りつき、ゆっくりと光の塵になって消えていく。


だが、鋼鉄の扉は吹き破られていた!


「あれはブチャ?!」

加奈は鋼鉄の扉の向こうにいた巨大な生き物を見て驚いた。その両足には、黒い魔の蔦が絡みついていた。


【システムメッセージ: ギルドメンバー XXX オフライン】

【システムメッセージ: ギルドメンバー XXX オフライン】

【システムメッセージ: ギルドメンバー XXX オフライン】


「ん?!」加奈と松美は、はっとした。


【システムメッセージ: ギルドメンバー XXX オフライン】

【システムメッセージ: ギルドメンバー XXX オフライン】

【システムメッセージ: ギルドメンバー XXX オフライン】

【システムメッセージ: ギルドメンバー XXX オフライン】

【システムメッセージ: ギルドメンバー XXX オフライン】

【システムメッセージ: ギルドメンバー XXX オフライン】

【システムメッセージ: ギルドメンバー XXX オフライン】


「何が起きてる?!」

影の旅団の面々も異変に気づいた。

……


「さようなら……ニフェトギルマス」Kanatheonのメンバーたちは、ニフェトに手を振って別れを告げた。


ニフェトはメンバーのオフライン表示だけでは安心せず、その目で人形状態へ移ったのを見届けて、ようやく安堵した。


「ニフェトもログアウトしてくれ」古志が言った。


「みんなが先に行って。最後の1秒まで、もう少しだけギルマスの責任を果たさせて」

ニフェトは笑って言った。


「じゃあね」カミコは短く言い、あっさりとログアウトした。


【システムメッセージ: ギルドメンバー カミコ オフライン】


「もう少し、そばにいさせてくれ」桐司は眉をひそめた。


「みんながログアウトしたら、私はパシュスを助けに戻るから」

ニフェトは笑顔で断った。


「囲まれて攻撃されてるんだぞ! どうやって——」

桐司は驚きの声を上げた。


「無理よ。でも、やるべきことなの。ギルマスとして……恋人として。私にできるのは、彼のそばにいることだけ」

ニフェトは微笑んだ。桐司は絶望に打ちひしがれた。


「またな……」桐司は沈んだ声で別れを告げた。


【システムメッセージ: ギルドメンバー 桐司 オフライン】


「時間を無駄にするな! パシュスが命を張ってるんだぞ!」

古志が焦った声で急かした。


「みんな、さようなら。ありがとう。みんなのおかげで、このゲームはただのゲームじゃなくなった」

ニフェトは友人たちに深々と頭を下げた。


一同は胸を打たれ、地下道には別れを惜しむ思いが満ちていた。ゲームは虚構でも、


【システムメッセージ: ギルドメンバー 古志 オフライン】

【システムメッセージ: ギルドメンバー セラン オフライン】

【システムメッセージ: ギルドメンバー 翠 オフライン】

【システムメッセージ: ギルドメンバー 萌僧 オフライン】

【システムメッセージ: フレンド 白 オフライン】


「…………………………」

地下道の火明かりに、仲間たちの影が揺れていた。皆の姿はまだそこにある。けれど、別れを惜しむ囁きはもう聞こえなかった。


「私たちがいなくなって……このサーバーは、何か変わるのかな」

ニフェトは人形状態の仲間たちを見渡し、ひとり呟いた。


【システムメッセージ: フレンド パシュス HP残り20%】


「パシュスの馬鹿……絶対に、敵に私たちをなめさせないでよ!」

ニフェトは震える手で神杖を握り直し、地上へ続く階段を駆け上がった。

…

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