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見えない魔王——歪みきった征服ゲーム  作者: 純白
【第二部】 第四十九章――黒環決戦
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417 お願い……少しだけでいい。奇跡を起こして!

両軍のプレイヤーのHPバーが、二つの強大な力に引っ張り合われていた。一秒前には5%減少し、次の瞬間には6%回復、そのまた次には8%減少する。それが延々と繰り返される。


ニフェトが仲間に加速の恩寵を与えれば、次の瞬間にはパーカーがその恩寵を蝕み、鈍足へと変える。


ドイツ人プレイヤーも本サーバーのプレイヤーも、寒気と熱気に交互に襲われ、力が増したかと思えば弱まった。誰も目まぐるしく変わる戦況についていけない。


だが、パーカーの足元に広がる黒い環は徐々に大きくなり、対するニフェトの聖光は弱まっていった。


パーカーは歴戦の猛者だ。実力も大規模戦の経験も、ニフェトを遥かに上回っている。


ニフェトはもはやパーカーの呪いを抑えきれず、対抗スキルの発動も追いつかなくなっていた!


「聖母の頌歌!」


パーカーが赤い杖を地面へ突き立てると、Kanatheonの半数が黒い瘴気に覆われ、防御力が30%低下した。


パシュスはすでに全身を血に染め、輝いていた鎧にも無数の斬痕が刻まれていた。


そこへ突然、防御力まで低下した。隙を突かれたパシュスは、二人のドイツ人狙撃手から至近距離で撃たれ、太腿と下腹部に銃弾を受けた!


負傷したパシュスは膝をつき、片手剣で身体を支えた。


この防衛線を突破されれば、Kanatheonの本陣は狼隊によって中央から分断され、各個撃破されてしまう。


周囲の重装兵は死ぬか負傷するかして、折り重なるように倒れていた。まだ立っている仲間たちは、倒れた者の生死を気にする余裕もない。仲間の頭を踏みつけてでも敵と戦わなければ、次に倒れるのは自分だった。


ガンッ!!


【システムメッセージ: フレンド パシュス HP残り20%】


パシュスはミスリルの盾で大斧を受け止めた。片膝をついたまま死力を振り絞ってわずかな空間を守り、背後の仲間たちを庇う。


ニフェトの視界にも、パシュスのHP警告がはっきり表示されていた。だが、ニフェトがわずかでも退けば、その分だけパーカーの呪いが強まる。Kanatheonのために……今回ばかりは、パシュスを助けに行けなかった。


ガンッ!!!


ガンッ!!!


ガンッ!!!


ガンッ!!!


ミスリル製の防具は最高の魔法耐性を誇る。だが……狂戦士の大斧は容赦なく、それを粉々に叩き割った。


パシュスの籠手も切り裂かれ、青いマントは自らの血で紫色に染まっていた。もはや抵抗する力も残っておらず、その場に倒れ込む。


「死ね、土人!!!」


狂戦士が大斧を振り上げ、そのまま一気に振り下ろした!


「うおおおっ!!」


ずっとパシュスに守られていた前衛が過負荷を発動し、掌底を叩き込んだ。敵をボウリングの球のように吹き飛ばし、その後方にいた十数人までまとめてなぎ倒す。


「俺たちの……サーバーのために……」


その直後、前衛は意識を失って倒れ、狼隊にとどめを刺された。


Kanatheonの前衛部隊は全滅し、残ったのはパシュス一人だけだった。


狼隊が空いた戦線を埋め、パシュスの前でゆっくりと大剣を振り上げる。


「ハァ……ハァ……ハァ……」


地面に倒れたパシュスには、もう立ち上がる力すら残っていなかった。


「パシュス! 立って!!! 諦めないで!!!」


パシュスはニフェトのわずか十数メートル先にいた。だが、ニフェトはパーカーと命懸けの神術戦を繰り広げており、その場を離れられない。


「私たちは……こんなところで死ぬわけにはいかないのよ!!」


ニフェトは怒りと悲しみに満ちた叫びを上げた。


なぜ、本サーバーのプレイヤーはどれほど努力しても、ドイツ人プレイヤーに勝てないのか!?


こんなことが公平なのか!?


いったい何の意味があるのか!?


ニフェトは自らに問いかけ、怒りを燃え上がらせて過負荷へ入ろうとした。


過負荷を引き起こすには、死を拒むほど強烈な生への執着が必要だった。だが、ニフェトの心にはすでに、ここで戦死する覚悟が根を下ろしていた。


狂戦士が大斧を振り下ろす――


「お願い……少しだけでいい、奇跡を起こして!!!」

ニフェトは天を仰いで絶叫し、絶望の涙をこぼした。


「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」

突如、リオの小屋から獣のような咆哮が轟いた。


ドイツ人プレイヤーたちは一斉に動きを止めた。また誰かが戦闘へ乱入してくるのではないかと怯え、密かに後ずさる。


その咆哮には、たった一人で世界と向き合う孤独と、無力感に押し潰されそうになった魂の底から迸る、生への叫びが込められていた!


バンッ! リオは分厚い鉄扉を蹴り開け、ショットガンを手に坂下のドイツ人プレイヤーへ突進した。


「Kanatheonは絶対に――うわっ!」


意気揚々と叫んでいたリオが、突如、濡れた草に足を滑らせた。


ドンッ!


転倒した拍子にショットガンを一発暴発させ、大の字になったまま斜面を滑り落ちていく。


「……」


その瞬間、敵味方を問わず全員が戦闘を止め、リオを見つめた。


強大なるリオは、敵味方を問わず戦場全体の動きを止める強力な範囲CCを決めた。リオは身体についた草屑を払い、尻にべったりついた泥を叩き落とした。


「俺はKanatheonの防衛長、リ――」


ドゴォォン――!!!


黒衣をまとったカミコの砲撃が、リオの背中を直撃した。


【システムメッセージ:フレンド リオ HP残り20%】


カミコは山上から駆け下り、複数の分身を召喚してリオを小屋へ引きずり戻した。


「失礼しました」カミコはドイツ人プレイヤーと味方の双方に頭を下げ、そのまま鉄扉を固く閉ざした。


「………………?」


「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」


何事もなかったかのように戦闘が再開された。パーカーの呪いによって大勢が倒れ、古志も、押し寄せる状態異常を吸収しきれず、何度も血を吐いてHPが危険域に陥った。


狂戦士が大斧を振り上げた……


その瞬間、その場にいた全プレイヤーの心臓に鋭い痛みが走った。パーカーは顔色を変えた。その痛みが何を意味するのか、よく知っていた――


ゴゴゴゴゴッ!!! ドイツ人プレイヤーの背後にある山腹が、突如として砕け散った。


爆風が戦場を薙ぎ払い、パシュスへ大斧を振り下ろそうとしていた狂戦士も地面を転がった。


真子が蝙蝠獣を従えて山肌を突き破り、そのままドイツ部隊の後方へ襲いかかった。


堕落した判官ウルとゴリアが空から舞い降り、二本の黒い十字架をパーカーの近くへ叩き込んだ。


「万魔結界!」


二本の黒い十字架から黒い血が滲み出し、周囲の大地を染め上げる。地面に倒れていたドイツ人の負傷兵たちは、地中から伸びた幽鬼の手に握り潰され、肉塊となって血を吸い尽くされた。


パーカーは慌てて宝血の神杖を、さらに深く泥へ突き刺した!


パーカーの黒い邪気と判官たちの邪気が激しく食い合い、ぶつかり合う境界では、青白い幽鬼の手が無数に現れて互いにつかみ合った。


「真子……」


ニフェトは漆黒に染まった真子を遠くから見つめ、呆然とした。


「頑張って」真子は遠くから親指を立ててみせると、蝙蝠獣と共にドイツ部隊後方の遠距離職を追い始めた。


「奇跡? 違う……私たちはまだ負けていない……諦めるわけにはいかない! 創聖の日輪!!!!!」

ニフェトは、真子が最後に残した「まだ成長しなければならない」という言葉を思い出し、瞬く間に闘志を取り戻した。


神杖を捻じ込むように地面へ突き立てると、白光が一気に膨れ上がり、パーカーの邪気を押し返し始めた。


「まずい……真子の呪いとニフェトの神恩を同時に抑えるなんて、私には無理だ……」

パーカーの顔に焦りが浮かぶ。


「立ち上がれ、友よ! 私たちは――必ず勝つ!!」

ニフェトは聖なる涙を流し、枢機卿のロザリオを引きちぎって地面へ投げ捨てた。そこに蓄えられていた神恩が、一気に解放される。


ドォン――眩い白光が迸り、本サーバーのプレイヤー全員のステータスが急上昇した。パーカーの呪いはニフェトに押さえ込まれ、残りの効果時間も数秒まで削られた。


白は影の旅団を率い、真子に続いて反撃へ転じた。Kanatheonも燃え上がるような雄叫びで応じる。二つのギルドは一つの奔流となり、ドイツ人プレイヤーを窪地の一角へ押し込みながら、数メートル、また数メートルと前進した。


本サーバーに、長らく失われていた鬨の声が戻った。


反撃を告げる戦鼓が、ついに鳴り渡った。

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