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見えない魔王——歪みきった征服ゲーム  作者: 純白
【第二部】 第四十九章――黒環決戦
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416 一歩も退かない!


「自軍66人、敵軍は約90人。距離1211メートル。地形は丘陵」

カミコは200枚の小盾をすべて展開し、星々のように味方の上空を守らせた。


「ニフェト、こちらには近衛兵が二十数人いる……全員、火野良が直々に選んだ者たちだ」

白はすぐにニフェトと作戦を話し合い始めた。


「私のギルドの戦術部隊はとっくに壊滅した……残っているのは、職業構成もばらばらのメンバーばかりよ」

ニフェトはギルド画面を開いた。


「ニフェトギルマス、影の旅団に主攻を任せ、こちらは守りに徹しませんか?」

古志が提案した。


その間にも、ドイツ人プレイヤーはすでに陣形を整えていた。前列には整然と並ぶ大剣使い、その後ろには聖職者、最後尾にはパーカーの魔導士団が控えていた。


「こちらは人数で劣りますが、四次職の割合は高い。攻撃タイミングと着弾位置の同期誤差を8.03%未満に抑えれば、最初の二波で敵戦力を大きく削れます」

カミコは再びレンズを使い、さらに多くの情報を集めた。


「もう分析している時間はない。ご武運を!」

ニフェトは白の肩を叩き、Kanatheonを右翼、影の旅団を左翼に配した。


「ふん……主力と別働隊に分けたか。こちらの隊形を引き裂くつもりだな? 左翼楔形陣!」

パーカーが黒環旗をひと振りすると、ドイツ人プレイヤーの左翼が即座に突き出し、Kanatheonへ鋭い先端を向けた。


「鶴翼陣!」古志は即座に陣形を変え、Kanatheonの部隊を左右へ展開させた。戦線全体が長く伸び、その分だけ薄くなった。


「ふん……前進!」パーカーは冷笑し、左翼楔形陣を維持したまま部隊を進軍させた。


ドイツ人プレイヤーは起伏の激しい丘陵地を進み、窪地を利用して姿を見え隠れさせながらKanatheonへ迫った。そのため、Kanatheonは火力をまとめて反撃できなかった。


「待て……敵は陣形を変えないのか!? 急いで横陣に戻せ!」

古志はドイツ人プレイヤーが何の反応も示さないのを見て、かえって焦り始めた。


Kanatheonが慌ただしく陣形を組み替える一方、影の旅団は一斉に透明化して姿を消していた。


パーカーは眉をひそめ、ドイツ人プレイヤーの進軍速度を上げた。


丘陵一帯に砂塵が激しく巻き上がり、ドイツ人プレイヤーの精巧な鎧が立てる金属音が間近に響いた。


黒い旗は次第に大きくなり、Kanatheonの本陣との間に残るのは丘一つだけとなった。


Kanatheonがようやく横一列の陣形を組み直したところで、古志は再び考えを変えた。


「これほど戦上手なドイツ人プレイヤーが、こんなミスをするはずがない。必ず何か隠している……方陣! 神官を中央へ!」

古志が土壇場で陣形変更を命じたその瞬間――パーカーの黒環大旗が、ちょうど向かいの丘の稜線に立ち上がった。


「稜線を狙え。照準を二目盛り上げろ。準備!」


Kanatheonの狙撃手たちは一斉に銃を構えた。ドイツ人プレイヤー前衛の兜が、ついに地平線から姿を現した。


一樹は掌を開いて目を閉じ、自分だけの世界を作り始めた……。


両軍の間の空気を、小さな青い電光の虫が這い回り、景色が歪み始めた――


「イオン・カーテン!!!」

一樹は声の限り叫び、両手を打ち合わせた。青い稲妻が一瞬で上空へ駆け上がった!


空中で青い光の花が一斉に弾け、滝のように地面へ降り注いだ!


「何だ、あれは!?」ドイツ軍がどよめいた。


半秒遅れて、低く響く衝撃波が上空で炸裂した。


ヴォン――


「撃て!」狙撃手たちが一斉に叫んだ。放たれた弾丸は青い滝を通過した途端、爆発的に加速し、青い光条を引きながら、丘の頂へ飛び込んだ!


キンキンキンキンキンキン!


何人ものドイツ人プレイヤーが銃弾を受けて倒れ、丘の斜面を滑り落ちた。さらに数本の黒環旗まで倒れた。


Kanatheonから熱狂的な歓声が爆発した!


「パーカー様! 敵は魔法弾を使っています!」

聖職者が慌てて叫んだ。


「いや、空気中の分子を電離させて電磁加速路を作り、弾丸を一気に加速させているだけだ。だが、あれだけの自然力を消耗する術を、続けて撃てるはずがない。突撃しろ!」

パーカーが黒環旗を前へ突き出すと、全軍が一斉に突撃した!


緑に覆われた丘は瞬く間に灰色の鎧の海へ呑み込まれ、ドイツ人プレイヤーが津波のごとくKanatheonの陣地へ押し寄せた。


「チュートンの悲歌!」

パシュスは残された近衛兵たちを率いて盾の列を組み、ドイツ人プレイヤーの攻勢を最前線で迎え撃った。全員が大盾を地面へ突き立て、身体を横に向けて肩で盾を支えた。


「一歩も退かない!」

ニフェトが神杖を天へ掲げると、盾列を組んだ者たちは幾重もの被ダメージ軽減効果をまとい、第一波の攻撃を待ち受けた。


「うおおおっ!!」

わずか40人のKanatheonは士気高く、武器を掲げて雄叫びを上げた。


ドイツ人プレイヤーは丘と丘の間にある窪地へ到達し、そのまま丘を駆け上がり始めた。


突然、火花が飛び散り、雪が空を覆った。両軍の魔導士が遠距離から魔法を撃ち合い、双方に死傷者が出た。


「狼旗が消えた!」カミコが叫び、ニフェトはすぐに緊張を走らせた。


案の定、後方にあった狼旗は跡形もなく消えていた。


「天虹衝撃!」

「天虹衝撃!」

「天虹衝撃!」

「天虹衝撃!」

「天虹衝撃!」

「天虹衝撃!」

「天虹衝撃!」

「天虹衝撃!」


ドイツ軍の翼騎兵が真上に出現し、Kanatheonの中央へ垂直に突っ込んだ!


ズドォン!!


着地した翼騎兵たちは、すぐに騎獣を鉄皮のサイへ乗り換えた。大盾を取り出し、Kanatheonの陣内を荒らし回った。


「早く倒せ!!!」

古志は焦って叫んだ。最も防御力に優れた方陣を敷いたにもかかわらず、敵が中央へ飛び込んでくるとは予想もしていなかった。


しかし、何本の矢を受けようと、炎にどれほど焼かれようと、ドイツ人プレイヤーの翼騎兵たちは痛くも痒くもない様子だった。その一方で、攻撃力だけは不自然なほど低かった。


「体質極振りの騎兵……こちらを足止めするためだけに!? まずい!」

古志は顔面蒼白になり、正面の丘を振り返った――


【システムメッセージ: ギルドメンバー xxx HP残り20%】

【システムメッセージ: ギルドメンバー xxx HP残り20%】

【システムメッセージ: ギルドメンバー xxx HP残り20%】

【システムメッセージ: ギルドメンバー xxx HP残り20%】


ズドン!!


ドイツ人プレイヤー前線の大剣部隊が、すでにKanatheonの陣内へ突入していた。


パシュスと前衛たちは岩のように踏ん張り、戦線の崩壊を必死に食い止めた。しかし人数が少なすぎたため、ドイツ人プレイヤーが両翼からKanatheonの陣内へ流れ込んだ。


前衛たちは後方へ押し込まれ続けたが、ドイツ人プレイヤーの重装翼騎兵に退路を塞がれた。そこへドイツ軍の大剣部隊が追いつき、前衛は甚大な被害を受けた。


「うおおおっ!!」


ドイツ人プレイヤーの後方から突然、雄叫びが上がった――影の旅団が動いた。


「絶対君臨!」「絶対君臨!」「絶対君臨!」


宙に浮かぶ何本もの巨剣が、後方に残っていた狼隊の本隊へ切っ先を向けた。


「大地の聖歌!」ドイツ人プレイヤーの聖職者たちは、先んじて回復スキルを発動した。


「神の嘆息!」全身に黒い邪気をまとったパーカーが腕を掲げて吠えると、目隠しをした巨大な白髪の修道女が召喚された――


「絶対…………なっ!?」


影の旅団のほかの暴君たちは、突然身体の自由を失い、でたらめにスキルを発動しながら四方へ散り始めた。


【警告:混乱――スキル制御不能 残り30秒】


黒枢機卿の固有能力「逆算神術」によって、本来なら範囲内の敵を沈黙させるはずの神術が反転し、強制詠唱へと変質していた。影の旅団のプレイヤーたちは、意思に反してスキルを乱発させられた!


影の旅団はたちまち統制を失い、踊らされる道化師のように、有効な反撃ができなくなった。


ドイツ人プレイヤーはその隙を突き、Kanatheonの前線を一気に崩した。パシュスは孤島のように敵の大軍から幾重にも包囲された。


【システムメッセージ: ギルドメンバー xxx HP残り20%】


【システムメッセージ: ギルドメンバー xxx HP残り20%】


【システムメッセージ: ギルドメンバー xxx HP残り20%】


【システムメッセージ: ギルドメンバー xxx HP残り20%】


【システムメッセージ: ギルドメンバー xxx HP残り0%】


【システムメッセージ: ギルドメンバー xxx HP残り0%】


【システムメッセージ: ギルドメンバー xxx HP残り0%】


「Kanatheonはもう脅威ではない。反転して影の旅団を潰せ!」

パーカーが命じると、ドイツ人プレイヤーは一斉に踵を返した。


「神の嘆息!」


キィン――


ニフェトが金色の翼を持つ女天使を召喚すると、天使は敵を金色の光で照らした。


【警告:沈黙――スキル使用不可 残り30秒】


ドイツ人プレイヤーはその場で声を奪われ、三十秒間、スキルを使えなくなった。


「絶対に……十倍にして返す!」

ニフェトは積もり積もった恨みをまとめて吐き出し、神杖を地面へ突き立てた。


「応えてください! シスター・エリード!」

ニフェトは天へ腕を掲げ、さらに背の高い白衣の修道女を召喚した。


「鏡体変換!」

【システムメッセージ:フレンド カミコ HP残り20%】

カミコは最大HPの八十%を消費し、白衣の修道女の掌へ巨大な銀球を召喚した。


「森羅万象!」

カミコが指を鳴らすと、銀球は、実体に近い密度を持つ十体のカミコの鏡像へと変化した。


「森羅万象」

修道女が同じ言葉を繰り返すと、銀光がひらめき、さらに十体の鏡像が何もない空間から現れた。


パーカーは怒りでこめかみに青筋を浮かべたが、ニフェトの術で沈黙状態に陥っているため、声を出せなかった。


カミコは瞬時に狼隊の四次職を標的に設定した。


「演算……完了」

カミコが指を鳴らすと、二十体の鏡像が目を焼くような紫光を放ちながら、ドイツ人プレイヤーの陣中へ降下した……。


ズドドドドォン!!!!!!


【Warnung: Gildenmitglied XXXXX――HP auf 20 % gefallen】

【Warnung: Gildenmitglied XXXXX――HP auf 20 % gefallen】

【Warnung: Gildenmitglied XXXXX――HP auf 20 % gefallen】

【Warnung: Gildenmitglied XXXXX――HP auf 20 % gefallen】

【Warnung: Gildenmitglied XXXXX――HP auf 20 % gefallen】

【………】


カミコはドイツ人プレイヤーに残された最後の数秒の沈黙を逃さず、敵へ大打撃を与え、さらに二人を仕留めた。しかし、HPはすでに二十%しか残っていない。カミコは急いでリオの小屋へ退いた。


「戦況はどうだ!?」

リオは顔面蒼白になり、震える両手で散弾銃を握っていた。


「およそ50対70。依然としてこちらが不利です」

カミコは壁に手をついて休みながらHPポーションを一気に飲み、眉をひそめた。


…


カミコの一撃によって、両軍の戦力差は一気に縮まった!


ドイツ人プレイヤーは丘の斜面から窪地へ押し戻された。だが影の旅団も、パーカーの逆算神術で隊列をばらばらにされ、有効な陣形を組めないまま、再びドイツ人プレイヤーに崩され始めた。


一方、パシュスは重装部隊を率い、ドイツ人プレイヤーの大剣使いたちを相手に死力を尽くしていた。激戦の末に攻勢を食い止め、Kanatheonの中央戦線を守り抜いた。


白は戦死する仲間が増え続けるのを見て、これ以上戦線を維持できないと判断し、敵との距離を取って部隊を立て直すことにした。


ドイツ人プレイヤーもその好機を逃さず、遠距離部隊を前へ出し、一気にKanatheonの部隊を打ち破ろうとした。


緑の山並みは鮮血に赤く染まり、本サーバーの死神は今日も大量の命を刈り取っていた。百人を超えるプレイヤーが窪地で互いに殺し合っていた。


しかし、影の旅団には聖職者が少なく、奇襲にも失敗した。そのため、勝利の女神の天秤は少しずつドイツ人プレイヤーへ傾き始めた。


勝敗の行方は、二人の主将に委ねられた。


「大地の哀歌!」


「大地の聖歌!」


赤と緑、二つの神術が正面から激突した!


堕ちた黒枢機卿パーカーと、大枢機卿ニフェト――サーバーの命運を懸けた神術の決闘が、ついに幕を開けた!

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