↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見えない魔王——歪みきった征服ゲーム  作者: 純白
【第二部】 第四十八章――大反攻の日
410/441

409 待ち受けていた者

加奈は一歩下がって床を見回した。辺りには厚さの異なる本が散乱していたが、表紙の色はすべて同じだった。


表紙には数字かアルファベットが一文字だけ記されていた。


寧々が手近な本で試そうとすると、加奈がすぐに制止した。


「気をつけて。暗号を間違えたら、扉が数時間ロックされるかもしれない」


「見せて」寧々は地図を借り、地図の外縁にある余白に走り書きされた小さな文字が数行あることに気づいた。


「雨間君、この地図を折ったことはある?」


「ない。地図を傷めるのが怖かったんだ。小さな文字が暗号だと思うのか? 十数組もある。どこをどう折れば、文字同士が正しく重なるのからない」

雨間刻は焦った様子で答えた。


「私にやらせて」加奈は地図を奪い取ったが、左右から折り重ねたり、対角線に沿って畳んだりしたが、小さな文字から手掛かりを組み上げることはできなかった。


「この折り目だけ、ほかの線をすべて横切っている。最後に折った線じゃないか?」雨間刻は中央の折り目を指さした。


「そうよ! それなら筋が通る!」加奈は顔を輝かせた。


「あっ! 見える……星形?」寧々は地図の中央を指さし、くっきりした折り目をなぞって放射状の星形を描き出した。


「それなら……」加奈は寧々が示した線に沿って折り、大きな地図を、すべての辺がぴったり重なる小さな正方形に畳むことに成功した。


「明かりをつけるよ!」加奈が慌てて告げた。


松美、キティ、マイロ、雨間刻、寧々は、すぐに黒い布で近くの窓を塞いだ。


加奈は指先に小さな炎を灯し、折り畳んだ折り畳んだ地図の背後から炎をかざした――


「C68E!」


小さな暗号が一組浮かび上がり、地図上で彼らのいる小屋の位置に重なった!


小隊はすぐに本の山からC、6、8、Eと記された四冊を探し出し、本棚に残された唯一の隙間へ順番に差し込んだ。


ゴゴゴゴ……


本棚がゆっくりと横へ動き、その奥に地下へ続く階段が現れた。


一同は顔を輝かせ、地下道へ駆け込んだ。


雨間刻は内心、柑々の知恵に感服していた。たとえ地図が他人の手に渡っても、すぐには解読できない仕掛けだった。


「……」キティが不意に足を止め、脇の壁へ手を触れた。


「キティ、早く来い!」マイロが焦って呼んだ。


「うん……」キティは考え込みながらも、急いで仲間に追いついた。


先ほどの壁がどうしても気になった。


そこだけ煉瓦の色が周囲の石より鮮やかで、汚れもついていなかった。


おそらく……最近になって塞がれたのだ。


ここまで来た以上、もう引き返せない。キティはそのまま先へ進むことにした。


小隊は狭く薄暗い地下道を進み、地図に示されていたとおり、やがて分かれ道へたどり着いた。


雨間刻が左の通路を覗くと――大きな扉があった!扉の隙間から、まぶしい昼の光が差し込んでいる!


雨間刻が松美へ二つの合図を送ると、松美はうなずき、姿を消して大扉の向こうへすり抜けた――向こう側に誰もいないことを確認すると、小隊は一歩ずつ慎重に階段を上った。


螺旋階段は果てしなく上へ続いているようで、五分近く登っても終わりが見えなかった。


突然、松美とキティが同時に、壁の向こうから聞こえるかすかなドイツ語の話し声に気づいた。


「この壁……薄い」

二人は、その一角だけ声が大きく聞こえることに気づいた。


「向こうへ抜けてみる?」松美が尋ねた。


「いや、まずは上まで行ってみよう」

雨間刻は危険を冒したくなかったため、先に上を調べることにした。


小隊はさらに上へ進んだ。何周したのかも分からなくなった頃には周囲から人の声が消え、通路内の気温も急激に下がっていた。やがて、チチチという鳥の声が聞こえ始めた。


ようやく最上部へたどり着くと、再び本棚が行く手を塞いでいた。


だが、こちらの本棚には仕掛けがなかった。松美は難なく向こう側の部屋へすり抜け、中を確認した。


安全を確かめた松美が本棚を動かすと、小隊は明るく清潔な円形の広間へ入った。


「鐘はどこよ?」加奈は眉をひそめた。

ここが鐘楼ではないことは明らかだった。


中央には赤みを帯びたチーク材の机が置かれ、その上の書類や本はすべて整然と並べられていた。


「仕事部屋か……?」雨間刻が周囲を見上げると、円形の広間には十二の大きなアーチ窓があり、プラムスの街並みを一望できた。


キティは木製の机へ近づいて調べた。花瓶に生けられた青い花は色鮮やかで、花びらにも張りがあり、水仙の香りを漂わせている。誰かが手入れしているのは間違いなかった。


「目印になる建物は見えるか? 噴水や塔、教会みたいなものだ」

雨間刻はそっと窓から顔を出して外を調べた。


全員が窓辺に身を伏せ、周囲をくまなく探した。


「おかしい……」マイロは違和感を覚えた。


東側にあったはずの駐屯地が丸ごと消え、平屋の住宅街さえ跡形もなかった。


代わりに広がっていたのはにぎやかな大通りで、ドイツ人プレイヤーが蟻のようにひしめいていた。


「あった!」加奈が声を上げた。

南側に、翼を広げた大鷲の噴水が見えた。


雨間刻はすぐに地図を確認した。


「ギルド塔は左前方……大鷲の噴水は左後方……」

雨間刻は二つの地点の方角と距離を地図上で照らし合わせ、現在地を割り出した。


「つまり、ここは南側……」雨間刻は驚いた。

やはり地図が間違っていたのだ。


「南側?! 東の鐘楼にいたんじゃないの?!」加奈は目を見開いた。


「ここが南側なら……」

雨間刻はすぐに地図上を目で追い、南西側の窓へ駆け寄った――プラムスの監獄が目と鼻の先にあった。


「こうなったら、このまま突っ込もう。一階にはドイツ人プレイヤーが大勢いる。ここから監獄の二階か三階へ飛び移れない?」

松美が窓から顔を出して確認した。部屋は地上六階ほどの高さにあった。


「できる。まずは正面の扉からこの部屋を出て、慎重に――」雨間刻がうなずいた、そのとき――


ガチャッ。円形の広間の大扉が開いた。


青緑色の巻き髪をした少女が広間へ入ってきた。小隊を目にした瞬間、その体は硬直し、頭の中が真っ白になった。


七人は離れたまま見つめ合った…………。


キティは一言も発さず、一気に間合いを詰めて少女の喉へ短剣を突き立てた。


「うあっ!!」緑髪の少女が悲鳴を上げた。


キンッ!!


少女の肌は鋼鉄のように硬く、キティの刃は刺さらなかった。


「何事だ?!」三人のドイツ人プレイヤーが階段を駆け上がり、武器を抜きながら叫んだ。


小隊はすぐに大扉の左右にある死角へ身を隠し、全員が武器を構えた。


キティは短剣の切っ先をわずかに動かし、凍るような目で緑髪の少女を脅した。


「な……何でもありません。虫を見つけただけです」

緑髪の少女は嘘をつき、ドイツ人プレイヤーたちを追い返した。


少女は突然、責めるような目でキティをにらむと、キティを非難するようににらみ、室内へ押し戻した、扉に鍵をかけた。


「黒衣を着ていないあなたたちでは、私にダメージを与えられません」

緑髪の少女は本サーバーの言葉で話した。


一同は驚いた。そのとき、雨間刻は少女の顔に見覚えがあることに気づいた。


「お前……誰だ……?」雨間刻は眉をひそめて記憶を探った。


「あなたたち……ようやく来てくれたのですね」

緑髪の少女は感極まったように涙をこぼした。


全員がぎょっとした。いったい何者なのか――!?


雨間刻は、ぼんやりした記憶の底から少女の正体を思い出した。


「まさか、あんたまでドイツ人プレイヤーに寝返ったとはな……イミギルマス……」


イミは黒い布で窓を塞ぎ、扉の外にドイツ人プレイヤーがいないことを何度も確かめてから、ガチャンと鍵を掛け直した。


「プラムスを奪い返しに来たのですか?」イミは声を潜めて尋ねた。

その瞳には希望の光が差していた。


「どうして私たちがあなたの塔にいるの? 地図どおりなら、東側の鐘楼にいるはずでしょ」

加奈はたちまち警戒心を強め、敵意のこもった目でイミを見た。


小隊はすぐにイミから距離を取り、警戒を強めた。


イミは小さくため息をついた。


「柑々の地図は、私が書き換えました…………」


小隊は一瞬で静まり返った……


「何だって?!」

…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。