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見えない魔王——歪みきった征服ゲーム  作者: 純白
【第二部】 第四十五章——昨日までの親友が、明日には他人になる
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394 打ち破れない規則

アンドリアは、ドイツ人プレイヤーのために本サーバーの新米を狩ることに耐えられなくなり、自らを差し出すことを決意した。だが、事態は彼女の望みどおりに進むのだろうか?

アビルたちの受け入れ手続きをドイツ軍へ任せ、柑々は帰還の報告をするため、すぐにルースのもとへ向かった。


「ルースはどこ!?」柑々が怒鳴った。


「ギルド塔の中ですが……何かあったのですか?」ドイツ人プレイヤーが驚いて答えた。


柑々は螺旋階段を駆け上がり、扉を押し開けた瞬間、その場で凍りついた――


「やめてえええええ!!!!!!」アンドリアが泣き崩れながら叫んだ。


由里は服をぼろぼろに引き裂かれ、全身を痣だらけにされ、床に倒れていた。何人ものドイツ人プレイヤーが、由里を殴り、蹴り続けている。


「慈悲の涙」一人の司教が由里のHPを回復させると、再び暴行が始まった。


イージ、ブラミィ、そして銀龍の刻印の幹部二人が宙吊りにされていた。全員、体中が傷だらけで、滴り落ちる血が床を赤く染めている。


「名前を言え」ルースが厳しい表情で尋ねた。


「私だって言ってるでしょ! アンドリアよ!」


「アンドリア、君はまだ理解していない。取り決めを交わした瞬間から、君はすでに制度の一部になったのです。仕事を与えられた者が全員自殺したら、私がどうやってサーバーを管理するのですか? 人数を差し出せないなら、君のギルドから選ぶ。それが罰です。自殺して責任から逃れるための制度ではありません」

ルースが大柄な兵士へ静かにうなずくと。


大柄なドイツ人プレイヤーが由里の髪を掴み、人形のように持ち上げた。


ドイツ人プレイヤーは長いランスを取り出して由里の腹部へ向けると、膝を曲げて力を溜めた……。


「やめ……やめて……やめてええええええええ!!!!!!!!!」アンドリアは怒りで胸が張り裂けそうになり、目を真っ赤にして咆哮した。


ズブッ!


ドイツ人プレイヤーがランスを突き出し、ぐったりした由里の体を貫いて、そのまま宙へ持ち上げた。


由里にはもう叫ぶ力すら残っていなかった。ランスに串刺しにされたまま、血を失って死ぬのを静かに待っていた。


アンドリアは自分まで内臓を抉られたように顔を歪め、口を開いたまま声も出せず、その場に膝をついた。


「アンドリア、私は君を拘束していません。ランスを手に取って抵抗してもいい。私に向かってきて、殺せばいい……。それでも君は攻撃しなかった。第四帝国に逆らっても無駄だと分かっているからです。そんなことをすれば、さらに多くの仲間が命を落とすだけだ」

ルースはアンドリアの前に立った。


「さあ、私を見なさい」

ルースはため息をつき、杖の先でアンドリアの顎を持ち上げた。


アンドリアの目は死んだ魚のように虚ろだった。かつての闘志はおろか、怒りさえ消え失せている。


「君はこれまで真面目に務めてきました。それに、その目を見れば、もう十分に懲りたことも分かります。君が一人を選ぶなら、残りの者にはこれ以上手を出さないと約束しましょう。これからは協力してくれますか?」ルースは丸い目を細めて尋ねた。


「します! 協力します! 何でもします!」アンドリアは犬のように何度も頷いた。


ルースは、尻尾を振る犬のように許しを乞うアンドリアを見下ろした。こうして見ると、思いのほか可愛らしい少女だ。小さな鼻、鮮やかな唇、なかでも哀れみを誘う眼差しが、たまらなくルースを惹きつけた。ルースはアンドリアの頬をゆっくり撫で、その体を起こした。


アンドリアはすぐにルースの意図を悟り、怯えて全身を震わせたが、身を引くことさえできなかった。


ルースの手はアンドリアの鎖骨へゆっくり滑っていき――そこで止まった。


「アンドリア嬢、私は君の立場を心から尊重しています。君が取り決めを破るまで、私は君のギルドのメンバーを髪の毛一本でも傷つけましたか?」

ルースは手を引き、苦笑しながら尋ねた。


「ありません! ありません!」アンドリアは気が気でなかった。由里の出血は今も止まっておらず、一刻も早くルースに話を終えてほしかった。


「私が約束を守る人間だということは理解できましたね。君にも約束を守ってもらいたい。いいですか?」

ルースが厳しい口調で尋ねた。


アンドリアはすぐに頷き、ルースも守衛へ合図を送った。


守衛は由里をランスから引き抜き、司教のもとへ抱えていって治療を受けさせた。


「一人選びなさい。それが我々の取り決めです」ルースが重々しく告げた。


アンドリアの希望は打ち砕かれた。ルースはどうしても一人を差し出させるつもりなのだ。


アンドリアが力なく振り返ると、銀龍の刻印のメンバーたちは悲しげにその視線を避けた。


「少し……みんなと話をさせてもらえますか?」アンドリアが尋ねた。


ルースは頷いた。


アンドリアはギルドの仲間たちのもとへ戻った。互いの眼差しには、言葉にできないほどのやるせなさが滲んでいる。


どれほど必死に探しても、ここにいるのは全員、忠実な仲間だった。


「私が行く」

キティが突然口を開いた。


アンドリアは首を横に振った。すでに両目から涙があふれ出している。


「あなたは正式にギルドへ加わったばかりなのに……私には、そんな資格――」


「気にしないで」キティは微笑み、親指でアンドリアの頬にそっと触れた。


アンドリアは何かを言いかけたが、どうしても決断できなかった。


「私はほかのみんなと親しくないから、ギルドへの影響も少ないでしょ」

キティは苦笑したが、その言葉は溶岩のようにアンドリアの胸を焼いた。


「駄目! 私が探す……私が探すから……」

アンドリアは唇を噛みしめ、犠牲にできる者を必死に探した。


「一人差し出せとは言われたけど……処刑するとは言ってないでしょ」

キティが突然耳元で囁き、アンドリアははっとした。


「プラムスから教皇都市までは遠いし、途中には森もある……自分の身はちゃんと守るから」キティが悪戯っぽく笑った。


「本当に……いいの? 私も……手を貸そうか?」アンドリアが小声で尋ねた。


「助けてくれる仲間がいるから、安心して。ギルマス」

キティは安心させるようにアンドリアの肩を叩いた。


「決まりましたか?」ルースが遠くから尋ねた。


「私よ」

キティは手を挙げ、しなやかな腰をくねらせながら、プリーツスカートの裾を揺らして前へ出た。


「はあ、君たちのサーバーは本当に美女揃いですね。実に惜しい」ルースが残念そうに言った。


「ルース様、銀龍の刻印の者たちはどうしますか?」副官が小声で尋ねた。


「監視しておけ……アンドリアは分かりやすい性格だ。何か企んでいれば、必ず大きな動きを見せる」

ルースは眉をひそめた。


……


柑々は両手を拘束されたキティが馬車へ押し込まれ、教皇都市へ運ばれていくのを見つめていた。何もできない無力感とやり場のない憤りが、胸の奥で爆発寸前まで膨れ上がっていた。


柑々は守衛を遠ざけ、自分で描いた地図を広げ、プラムス塔の地下牢を示す印に目を落とした。


螺旋階段の入口には、いつも一人の暴君が立っていた。柑々はこれまで一度も地下牢へ足を踏み入れたことがない。


柑々は思い切って中へ入ってみることにした。


「申し訳ありませんが、ここから先へは入れません」暴君が腕を伸ばして道を塞いだ。


「私は代理指導者よ。地下牢に利用価値がないか視察する必要があるの」柑々は勇気を振り絞って言った。


「申し訳ありませんが、ここから先へは入れません」暴君は同じ言葉を繰り返した。


「この下には何があるの? 政策を立てるうえで、とても重要なことなのよ!」柑々が不満げに問い詰めた。


「申し訳ありませんが、ここから先へは入れません」暴君は再び同じ言葉を繰り返した。


「わあっ、UFOだ!」柑々は慌てた様子で指をさし、暴君の脇の下をすり抜けようとしたが、片手で引き戻された。


「駄目です……」暴君は唇を噛み、笑いを堪えながら言った。


「もう! どうしても知りたいの! 女の子は秘密の話が大好きなんだから。中に入らなくてもいいから、この下に何があるのか教えてよ!」柑々は甘え始めた。


「駄目です」暴君が苦笑した。


「嫌! 知りたいの! 教えてくれないなら、ずっとつきまとってやるううううう!」柑々は妹のように暴君の腕当てを軽く引っ張った。


暴君は内心おかしくてたまらず、柑々をちらりと見たが、何も答えなかった。


「ねえ、教えてよぉ! もう怒った! あなたなんて知らない!!!」柑々は暴君の正面に立ちながら、わざと背を向けた。


「それは私には関係ありませんよね?」暴君は堪えきれず、柑々をからかった。


「おっ! 決まり文句以外のことを喋った! 告発してやる!」柑々はすかさず暴君を指さした。


暴君はたちまち表情を変え、柑々を無視した。


「怖いでしょ? 教えてくれたら、もう困らせないから!」柑々は脅したり甘えたりしながら、さらに畳みかけた。


「見せたら、私が面倒なことになるんですよ……」暴君が眉をひそめた。


「一目だけ! 本当に一目だけ!」柑々は暴君の両手を掴み、豊かな胸をその胸板へ押しつけた。


「はあ……」暴君は柑々を連れ、半階分下にある踊り場まで階段を下りると、さらに下層の奥にある黒鋼の大扉を遠くから指さした。


「もう十分でしょう?」二秒後、暴君が言った。


柑々は反応せず、ぽかんと大扉を見つめていた。


「ほら、もういいでしょう! これ以上、私を困らせないでください!」暴君が苛立たしげに言った。柑々はおとなしく階段を上り、踊り場の角を曲がった。


「本当に面白い子だ」暴君が笑って持ち場へ戻った直後、曲がり角に映っていた廊下の景色がわずかに揺らいだ。それは柑々が作り出した鏡壁だった。


柑々はその裏に身を隠し、足音を殺して階段を下りていった。


塔の最下層では、二人の暴君が黒鋼の大扉を守っていた。さらに一人の源魔師が扉に魔法をかけており、巨大な扉全体に青い光の紋様が絡みついている。


柑々は暴君に化けようとしたが、本物の人間に見えるほど精巧な人型の鏡像は作れず、ドイツ語も話せなかった。仕方なく、ひとまず引き返すことにした。


だが、柑々の胸には一つの疑問が何度も浮かんでいた。なぜ源魔師まで使って鋼鉄の扉を封印しているのか……その奥には、いったい何が隠されているのか?


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