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見えない魔王——歪みきった征服ゲーム  作者: 純白
【第二部】 第四十三章——漂流する教会
383/450

382 血の代償は、血で払ってもらう

プクッ……

プクッ、プクッ……

プクッ、プクッ、プクッ……


泡は次第に増えていき、洞窟に残ったプレイヤーたちは粗末な武器を手に入口を取り囲んだ。


一人のドイツ兵が突然水面から飛び出し、床一面に仕掛けられた魔法の罠へ自ら飛び込んだ!


ドゴォン!!


ドイツ兵は一瞬で粉々に吹き飛んだが、すぐにその場で復活した。


洞窟内の泥水が瞬時に蒸発する。


同時に、洞窟の入口が突然金色の障壁に覆われ、近くにいた守備隊を弾き飛ばした。


「Vorrücken!(前進)」数人のドイツ軍近衛兵が盾の壁を組み、洞窟内へ押し入ってきた。


「攻撃!!」守備隊は一斉に火力を集中させた。


激しい砲火が洞窟内を照らし出したが、近衛兵たちは防波堤のようにすべての攻撃を受け止めた。


「前進!」パーカーも洞窟へ入り、神術で仲間の進軍を支援した。


近衛兵たちは盾を構えたまま大きく一歩踏み込み、陣地を押し広げて後方の味方を洞窟内へ引き入れた。


「攻撃を集中させて! 必ず突破口を開くのよ!」

女のプレイヤーは声を張り上げたが、周囲のプレイヤーたちは統制が取れず、攻撃は次第に分散していった。


「創世の日輪!」

ソフィアは苦しそうにまばゆい小さな太陽を生み出し、ドイツ人プレイヤーたちの目をくらませた。


しかし――


「Vorrücken!」


ドイツ軍は混乱の中でも号令だけで一斉に動き、占領範囲をさらに一回り広げた。


「戦況はどうなっているのですか!? 私には見えません!」

ソフィアは焦ることしかできなかった。


「敵は攻撃力のない近衛兵だ! 恐れるな、仲間たちよ! 突撃しろ!!!!!!」二人は声を揃えた。


怖いもの知らずの初心者たちは、まだ二次職にすぎないのに少しも怯まず、ドイツ軍の陣形へ突撃していった!


「狂戦士を先に行かせて道を開け! このままでは入口で身動きが取れなくなる!」パーカーは眉をひそめて命じた。


狂戦士たちが次々と洞窟へ飛び込んでいく。


両軍は入口で激しく斬り結んだ。近衛兵たちは岩のように一歩も退かなかったが、守備隊の攻撃が豪雨のように盾へ降り注ぎ、剣を振るって反撃する暇すら与えなかった。


「聖天使の加護」「奇跡の光」「神こそ最後の盾!」


ソフィアは両目が見えなくても、音を頼りに仲間の位置を捉え、次々と加護を与えていった。


ドイツ人プレイヤーは数で劣るものの装備で勝り、守備隊は実力にばらつきがあるものの教皇の加護を受けている。双方はそれぞれの指揮官のもと、戦況は拮抗していた。


そのとき、ソフィアは魔力の異変を感じ取った。


「ラロの栄光!」

パーカーが神砲を放ったが、ソフィアの金羽の盾が受け止めた。


「ラロの栄光!」ソフィアも叫び返し、反撃した!


先ほどより五割も太い神砲が、ドイツ軍めがけて一直線に放たれた。


神砲はパーカーの金色の障壁を打ち砕き、近衛兵の陣形の中央を貫いた。


「殺せ!!!!」守備隊はすぐさま突破口へ殺到し、猛攻を仕掛けた。ドイツ軍は次第に押し戻されていく。


「Vorrücken!」パーカーは激昂し、全軍に突撃を命じた。


近衛兵たちの盾が突然赤く染まり、受けた攻撃を反射して大勢の初心者をなぎ倒すと、そのままソフィアへ迫った!


「ソフィア様!!」守備隊はたちまち浮き足立ち、崩れ始めた。


ドイツ軍は猛烈な勢いで攻め込み、次々と洞窟内へなだれ込んでくる。


萌僧は守備隊の一部を率いて侵入者を食い止めたが、それでも二人が包囲をすり抜け、ソフィアの目の前まで迫った!


「危ない、ソフィア!!」守備隊から悲鳴が上がった。


目の見えないソフィアに聞こえるのは、激戦の轟音に近衛兵の足音までかき消され、ソフィアには敵がすぐ目の前まで迫っていることが分からなかった。


【システムメッセージ: フレンド 松美 ログイン】

【システムメッセージ: フレンド カミコ ログイン】

【システムメッセージ: フレンド ニフェト ログイン】


「ソフィア! 早く――」

松美が人形から元の姿へ戻った、その瞬間。ちょうどソフィアの目の前まで攻め込んでいたドイツ兵が剣を振り上げ、石の玉座へ飛びかかり――振り下ろされた長剣が松美の尻に突き刺さった。


「ひぎゃあああああああああああ!!!!!!!!」


絶望、驚愕、怒り、痛みが入り混じった松美の地獄のような咆哮が、すべてのプレイヤーを震え上がらせた。パーカーもソフィアのそばに何か神獣が潜んでいるのかと思い、驚いて顔を上げた。


「すまない……」そのドイツ兵も驚き、律儀にも慌てて謝った――そして長剣を引き抜き、松美のお尻に二度目のダメージを与えた。


「うがああああああああああああ!!!!!!!!」


ドイツ軍は立て続けに起きた予想外の出来事に混乱し、攻撃の勢いを緩めた。


松美は痛みに耐えながらソフィアの前へ這い進み、血が噴き出すお尻を押さえて膝をつくと、ドイツ軍を怒りに満ちた目で睨みつけた。


「松美、どこにいるのですか!? 私が回復します!!!」

ソフィアは神杖を白杖代わりにして周囲を探り、杖先で松美の傷口を突いてしまった――


【システムメッセージ: フレンド 松美 HP残り20%】


「いらない! 痛すぎて……最高に気持ちいい!!!」松美は奮い立ち、狂ったように笑いだした。


金色の光が松美を包み、石の玉座の周囲にいた敵を弾き飛ばした。


Kanatheonの大旗が突然、石の玉座の上に立ち上がった。


「えっ?」ソフィアは、怒濤のような膨大な魔力が自分の周囲を包むのを感じた。


「位相シフト!」「鏡像反射!」「黒雷!」

「瘴気!」


近くにいたドイツ人プレイヤーたちは、立て続けに浴びせられた魔法によって入口まで押し戻された。


守備隊はその隙に後退し、ソフィアの玉座の周囲でを組み直した。ドイツ軍も全員が洞窟内へ入り、両軍は互いに睨み合う。


「Kanatheonの本隊が翼騎兵を限界まで飛ばし、こちらへ向かっています、救援に向かっています。あと三十分、持ちこたえてください」

カミコは戦闘態勢を取り、得意げに言った。


「みんな……」ソフィアは嗚咽を漏らし始めた。


「ふん、虫けらどもめ。陣形を組め! 敵を討ち破るぞ!」パーカーが怒鳴ると、ドイツ軍はすぐさま陣形を整えた。


「古志、三十分も守り切れると思う?」松美は不安そうに尋ねた。


「何人まで死なせていいかによる」

古志はすでに周囲の地形を観察し、泥壁にある複数の弱点を見抜いていた。


「始めろ!」パーカーが命じると、ドイツ軍の魔砲がすぐさま放たれた。


魔砲の威力は凄まじく、カミコでさえ正面から受け止めようとはしなかった。


ドゴォン!!


ソフィアが再び神盾を展開し、砲撃を受け止めた。


一方、守備隊の火力は水鉄砲のように弱く、敵軍の前進を止められない。


Kanatheonの特別救援隊が加わっても、依然として一方的な戦いだった。ソフィアの仲間たちは容赦なく殺されていくが、彼女にはどうすることもできなかった。


「カミコ! 撃て!」古志が叫ぶと、カミコは八十枚の銀星盾をすべて展開し、天井の弱点へ砲撃を浴びせた。


巨大な岩塊がドイツ人プレイヤーたちの頭上へ落下する!


ドイツ軍の源魔師が岩を制御しようとした、その瞬間――


「神の嘆息!!!」

ソフィアは機転を利かせて広範囲に沈黙効果を発動し、ドイツ軍全員のスキルを封じた!


ズドォン!!!


崩れ落ちた岩がドイツ人プレイヤーたちをいくつもの小集団に分断した。


「枯れゆく意志!」「枯骨の地!」古志はついに天秤を発動し、ドイツ軍の近接職にかかっていた強化効果を相殺した。


沈黙を受けたパーカーは怒鳴ろうと口を開いたが、声を出すことすらできない。本来、枢機卿には弱体効果を解除するスキルがある。しかし、教皇であるソフィアの効果のほうが強く、解除できなかった。


守備隊は絶体絶命の窮地から反撃に転じた。新米も古参も一斉に襲いかかり、剣や斧で斬りつける。仲間の援護を失ったドイツ兵たちは次々と倒され、命を落とした。


しかし、好転した戦況は再び覆された。


ソフィアは突然めまいに襲われた――神恩が障壁を維持できないほど低下し、障壁を維持できなくなっていることに気づく。


「博識の聖賢!」パーカーは源魔師の攻撃力を上昇させた……。


ドゴォン!!!!!!!!!!!


「うわあっ!!!!」ソフィアは攻撃をまともに受け、壁まで吹き飛ばされて叩きつけられると、そのまま地面へ落下した。


「早く彼女を早く助けろ!」

古志は焦って叫び、複数の分銅を放ってドイツ人プレイヤーたちを食い止め、松美と萌僧がソフィアを救出するための隙を作った。


源魔師が岩をどかすと、ドイツ軍は再び前進を始めた。


両軍は石の玉座の周辺で死闘を繰り広げる。


一人の狂戦士が古志の目の前まで攻め込んだ。古志がさらに分銅を加えると、相手の武器を持ち上げることすらできなくなった。


しかし、分銅の負荷は古志の肉体の限界も超え、鼻血を流しながら吐き気を催し始めた。


カミコは一人で複数の敵を迎え撃っており、ほかの者を助ける余裕はなかった。


「あと……二十分、持ちこたえろ!」古志は体を支えながら声を張り上げた。


パーカーは自ら前線へ出て、治癒のオーラで攻勢を維持した。守備隊は甚大な被害を受け、わずかに残った者たちも石の玉座がある小山から追い落とされた。


突然、すべてのプレイヤーが胸を締めつけられ、一斉に頭痛に襲われた。


その痛みに覚えがあったパーカーは、顔から血の気を失い周囲を見回した。


ドイツ軍の後方にある岩壁が突然崩れ落ち、源魔師がすぐさま重力で落石を制御した。


土煙がもうもうと立ち込めるその裂け目は、まるで洞窟に開いた一つの窓のようだった。


土煙の中から一本の黒い鞭が飛び出し、ドイツ人プレイヤーを一人さらっていった。


「うっ……うわあっ!!」


土煙の中で突然、赤い霧が弾けた。直後、血まみれになったドイツ兵の死体が投げ返されてきた。


ドイツ軍の後衛たちは驚愕し、たちまち混乱に陥った。そこへ一本の黒い翼が横薙ぎに振るわれ、さらに一人をさらっていく。次の瞬間、その体は血の滝と化し、びちゃびちゃと地面へ降り注いだ。


「まさか……全軍、私のもとまで退け!!!」

パーカーはソフィアへの追撃を中断し、全軍を自分のもとへ呼び戻した。


黒衣をまとった少女が血の滝をくぐり、血の跡を引きながらゆっくりと洞窟へ入ってきた。


その両脇には、銀色の十字架を担いだ二人の審判官が付き従っている。


土煙が晴れていく……巨大なコウモリが翼を広げ、少女を守りながら姿を現した。


「堕落魔獣!? あり得ない!」パーカーは巨大なコウモリを見ると、全身を震わせた。


「誰だ!?」古志は驚いて尋ねた。


「敵の敵は味方でしょう!?」松美は現れた第三勢力を見て叫んだ。


二人の審判官が十字架を逆さにして地面へ突き立てると、身にまとっていた銀白の法衣が突然黒く染まり、法衣から血が滲み始めた。銀の十字架は逆十字へと変わって炎を上げ、表面から山羊の目が次々と生えてくる。


すべてのプレイヤーを襲う痛みが、再び激しさを増した。


「装備を替えろ! 全員、聖属性装備に切り替えろ! あいつらは煉獄の怪物だ!」パーカーが慌てて命じると、ドイツ人プレイヤーたちはすぐさま装備を切り替えた。


「我ら罪人、赦されざる大罪を犯せり……」左の審判官が静かに唱えた。


「ただ闇と化し、光を示さん……」右の審判官も静かに唱えた。


「血の代償は、血で払ってもらう」

真子は人骨の杖に体を預け、静かな声で告げた。


コウモリが翼を広げて甲高い叫び声を上げると、ドイツ人プレイヤーたちは思わず半歩後ずさった。


「真子!?」松美は驚きのあまり、近くにいる敵の存在すら忘れてしまった。


「チッ!」パーカーは怒りに歯ぎしりしながら、得体の知れない少女――真子を睨みつけた。

…

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