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見えない魔王——歪みきった征服ゲーム  作者: 純白
【第二部】 第四十一章——暗黒時代
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372 危険な取引

毒薬か、自白剤か――だが、ルスの狙いはそれだけではありません。

シモンは驚愕した。プレイヤーの精神を操る毒薬まであるのか!?


「どちらが欲しい?」ルスは薬瓶を揺らしながら尋ねた。


「できれば、どちらも遠慮したいな」シモンは微笑んだ。


ルスは薄く笑っただけで、なおも二本の薬瓶を手に選択を迫った。


「毒を選ぶ……だが最後に、プラムスを見て回らせてくれないか? もう護心石は持っていないし、やり直すつもりもない」シモンは苦笑した。


「それに見合う対価を差し出せるのか?」ルスが聞き返した。


シモンは必死に知恵を絞ったが、ドイツ人プレイヤーが興味を持ちそうな情報など思いつかなかった。


「自白剤を使って答えを吐かせてから、お前を殺せばすべて済むのではないか?」ルスの言葉には反論の余地がなかった。


シモンは紙片を必死に揉み潰し、毒殺される前に地図を破壊しようとした。


「だが……自白剤の材料は極めて貴重だ。これだけ多くのサーバーを征服してきた私でも、数回しか使ったことがない。もう使いたくはないんだ。おとなしくお前たちに残された二つの隠れ家の場所を教えるなら、こちらからは、お前のギルドの者を一人たりとも殺さないと約束しよう」ルスは薬瓶を置き、真剣な顔で告げた。


「お前の言葉など信じない。諦めろ」シモンは嘲笑いながら、血まみれの指先で紙片を擦り、書かれた手掛かりを潰していった。


「ハハッ! 勇敢だ! 私はこれまで多くの者を拷問してきた。そのほとんどが、拷問を始めるとすぐに――中には私が何も言わないうちから、待ちきれない様子で情報を吐いた者さえいた。なぜだと思う? 絶望したからだ――自分も仲間も逃げられないと悟ったんだ。お前に殺された男も、遅かれ早かれ私に見つかると分かっていた。だから降伏しようとしたんじゃないのか?」ルスはゆっくりと問いかけたが、シモンは何も言い返せなかった。


ルスは身を乗り出し、興奮した顔でシモンの胸元を指さした。


「教えてやろう…………希望など、最初から存在しない」


「どういう意味だ?」シモンは思わず尋ねた。


「数日前……我々はお前のギルドのプレイヤーを一人、生け捕りにした。私がまだ何も言わないうちに、そいつのほうから取引を持ちかけてきた――お前の潜伏先を教えるとな。だから我々は、お前を生け捕りにできたんだ」ルスは苦笑した。


「俺の居場所だと!? あり得ない! 俺のギルドの仲間が裏切るはずは……」シモンは言葉を止めた。先ほど、あの司教が危うくアンドリアの隠れ家を吐くところだった。


「お前のギルドではない。だが、お前たちにとって、仲間も同然の存在だ…………Kなんとかだったか?」ルスは眉をひそめた。


「Kanatheonか!?」シモンは驚愕した。


「忘れた。だから、勇敢なるシモンよ。時にはお前の勇敢な犠牲も、ギルドにとって何の役にも立たない。おとなしく命を大事にしたほうがいい」ルスは根気強く諭した。


「あり得ない! Kanatheonからはまだ何の連絡も来ていない! 俺たちを仲違いさせるつもりか!?」シモンは怒鳴った。


ルスが即座に目配せすると、背後の衛兵はシモンが漏らした情報を書き留めた。それからルスは冷静に言った。


「本当に忘れたんだ。だが、我が軍がお前たちの隠れ家を発見し、中にいた者を皆殺しにしたのは事実だ」


シモンは激昂したが、ふと思った……これではルスの思う壺ではないか? すぐに冷静さを取り戻し、平然とした顔を作った。


「続きを聞かせろ」


「そうか……」ルスは本サーバーの地図を取り出し、プラムスのそばに二つの印をつけた。それから地図をシモンの前へ押し出すと、シモンの頭は真っ白になった。


ルスはすでに、二つ目の隠れ家がおおよそどの辺りにあるのか把握していた――正確な場所までは突き止めていなかったが。


「捜索隊を送ったが、そこには何もなかった。連中は最後の隠れ家へ撤退したのだろう。最も規模が大きく、お前たちのギルマスであるアンドリアが自ら守っている場所へ。そうだな?」ルスは冷静に尋ねた。


シモンは両手を震わせ、薄ら笑いを浮かべるルスを見つめた。まるで丸裸にされたような気分だった。


「お前には犠牲になる覚悟がある。だが、盟友はどうだ? ギルドの仲間たちは?


お前が崇高な信念を貫いた結果、ギルマスが殺されるのを黙って見届けることになる。それに何の意味がある?


お前はただの普通の人間だ。私と同じだ。


私に手を貸せ……そうすれば、私もお前を助けられる」ルスは優しく語りかけた。


衛兵がシモンの手枷を外し、その手に一本のペンを握らせた。


シモンの両手は震え、涙が止めどなく溢れた。


ペン先がゆっくりと地図へ近づいていく――


「駄目だ!」シモンは突然激怒し、指の間に隠していた小さな紙片もろとも地図を引き裂くと、大声で叫んだ。


「毒をよこせ! もう時間を無駄にするな!」


ルスは頭を掻き、手を振って衛兵たちを退出させた。広間には二人だけが残された。


「結構だ、シモン殿。私はお前が実直で信頼できる人間だと確信した。


このギルドホールを、何一つ変えずに銀龍の刻印へ返す権限が、私にはある。


だが、お前にも相応の対価を払ってもらう。


銀龍の刻印は本サーバー屈指のギルド。このサーバーでも一定の影響力を持っている。


一つ、銀龍の刻印には私のために働き、私の指揮に従ってもらう。毎週五万竜貨を上納してもらう。その代わり、お前のギルドの者は一人たりとも殺さないと約束しよう。


二つ、大総統から受けた命令は、Kanatheonと銀龍の刻印を壊滅させることだ。だが、私はどちらか一方を滅ぼせば十分だと考えている。お前たちの最後の隠れ家にも、すでに見当はついている、私はお前のギルドの気風が気に入った。協力関係を築くこともできる。Kanatheonの情報を渡せば、お前のギルドは見逃してやろう。


以上の条件をすべて満たせば、我が軍の撤退後、プラムスをそっくりそのまま返還しよう。どうだ?」ルスが尋ねた。


銀龍の刻印が無事にプラムスへ戻れる!? 夢にも思わなかった。


シモンは呆然とし、その場で固まった。


「少し……考えさせてくれ。だが、ギルマスと相談する必要がある」シモンは答えた。


「結構……空軍に命じて、お前を街の外まで送らせよう」ルスは満足そうに笑った。


「俺は……もう行っていいのか?」シモンは驚いて立ち上がった。


「誰かがお前を縛っているのか?」ルスは腹の贅肉を叩きながら笑った。


「俺の仲間も、一緒に――」シモンは危うく影鬼のことを忘れるところだった。


「駄目だ」ルスの表情が一変し、再び凶悪な顔つきになった。


「お前は私の情報源を殺した。それは我が軍の兵士を殺したも同然だ。本来なら、お前自身に命で償わせるところだ。だが、今のお前には使い道がある。代わりに、あいつの命をもらう」ルスはきっぱりと言い放った。


「ふざけるな! そんなことは――」シモンは激怒した。


「これ以上、過ちを犯すな。シモン」ルスは淡々と告げた直後、顎の贅肉を震わせ、鐘を打ち鳴らすような大声で怒鳴った。


「衛兵! こいつを連れていけ!」


シモンはドイツ軍の翼騎兵によって、プラムスの北門で降ろされた。ルスが必ず誰かに自分を監視させていることは分かっていた。


「Kanatheonが……俺たちを売った? そんなはずはない。ルスが自力で銀龍の刻印の隠れ家を突き止めた可能性だってある……。


くそっ! 俺は何を考えてるんだ!?」


シモンの頭は混乱していた。ルスが植えつけた疑念の種は、すでに芽を出していた。


「二つ目の隠れ家から撤退したという話も、偽情報かもしれない。確かめに行くべきか? だが、尾行されていたら二つ目の隠れ家まで知られてしまう!」


シモンはその場にしゃがみ込み、考え込んだ。アンドリアへ暗号文を送りたかったが、尾行者に密書鳥を見つけられることを恐れた。


やがて突然立ち上がり、東の方角を見つめた。


「聞きたいことがある……Kanatheon。お前たちが俺たちを裏切っていないことを祈るぞ……」


シモンはKanatheonの行方を捜すため、東へ向かうことを決めた。


……


「はぁ~、本当に頑固な男だ」ルスは自白剤の瓶をつまみ上げ、何かを企むように笑った。


……


地下牢――


「シモン!」影鬼はシモンが助けに戻ってきたと思った。だが、入ってきたのは二人のドイツ軍兵士だった。


「待て! 俺をどこへ連れていくんだ!?」影鬼は驚いて叫び、翼騎兵に拘束されたまま教皇都市へ連行された。


教皇都市の大通りは、千人近いプレイヤーで埋め尽くされていた。


彼らは聖堂跡の前に設置された大きな黒板を見つめていた。そこには、まるで球技大会のような日程表が書かれていた。


「行け!」ドイツ人プレイヤーは影鬼を小屋へ押し込んだ。中には本サーバーのプレイヤーが八人座っていた。


そこへ、見知らぬドイツ軍将校が入ってきて、彼らに向かってうなずいた。


「まもなく、お前たちには死亡ダンジョンへ入ってもらう。殺される可能性は極めて高い。だが、生き残った者は名誉市民となり、今後はドイツ軍による制限を受けず、ドイツ人プレイヤーと同等の権利と自由を得られる。


死亡ダンジョンにルールは一切ない。生き残りさえすればいい。人を殺しても、隠れていても合格だ」ドイツ軍将校は説明した。


本サーバーの女性プレイヤーの一人が、手を挙げた。


「勝者は……何人ですか?」彼女は尋ねた。


「いい質問だ――勝者の人数に上限はない。自由にチームを組んで協力して構わない。この転移門がダンジョンの入口だ。二時間後に閉じ、中へ入った瞬間に開始となる。二時間後、まだダンジョンに入っていないプレイヤーは全員、私が殺す。以上だ」将校はうなずくと、その場を立ち去った。


本サーバーのプレイヤーたちは、部屋の中央にある紫色の転移門を一斉に見つめた。その向こうには、いったい何があるのか?


次回、歪んだ娯楽が始まります!

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