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見えない魔王——歪みきった征服ゲーム  作者: 純白
【第二部】 第四十一章——暗黒時代
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365 暗黒時代

ハゲグ陥落から一か月。森へ逃れたKanatheonが再起を図る一方、本サーバーではドイツ軍による支配が急速に進んでいた……

一か月後――


本サーバーでは広大な森林が伐採され、所狭しと工場が建ち並んでいた。


鉄鉱石や石炭を積んだ馬車が、絶え間なく工場の間を行き交っている。


「よし! 今日の基本生産ノルマは精鋼弾四十万発と火属性弾十二万発だ! 付与石を一箱追加生産するごとに、報奨金四千竜貨だ! 気合いを入れろ!」


野球帽をかぶった現場監督が木箱の上に立ち、百人を超えるドイツ人労働者たちへ声を張り上げた。


「おう!」


労働者たちは意気揚々と鉱石を工場へ運び込み、煙突からは轟々と黒煙が立ち上り始めた。


ドイツサーバーのプレイヤーたちは資源を略奪すると、馬車に積んでプラムスへ運んでいった――双頭の鷲の大旗が翻るプラムスへ。


大通りは相変わらず人々で賑わっていたが、そのほとんどが金髪で彫りの深い外国人プレイヤーに変わっていた。


歌も、会話も、NPCの言葉さえもドイツ語だった。まるで並行世界へ入り込んだかのように――本サーバーのプレイヤーなど、初めから存在しなかったかのようだった。


御者は街角の瓦礫の下に、ぼろ布が挟まっているのを見つけると、すぐに馬車の列を止めて駆け寄った。


「おい! 時間を無駄にするな。ルスを怒らせたら、俺たちを監禁する権限だってあるんだぞ!」馬車に乗っていたドイツ人労働者が焦った声を上げた。


「待てよ。こいつはお宝かもしれないぞ!」


御者は瓦礫をかき分け、ゴミの山から血に汚れたぼろ布を引っ張り出して掲げた――銀色の竜紋が描かれた旗だった。


「はっ!」


御者は宝物でも見つけたかのように破れた大旗を抱え、馬車へ走って戻ると、再び先を急いだ。


「またゴミ拾いかよ。まったく」労働者は呆れたように吐き捨てた。


「ゴミだと? このサーバーで最強と呼ばれた二つのギルドの紋章が、銀竜のトーテムと二翼の魔導書だって知らないのか? この大旗は銀竜トーテムの遺物に違いない。コレクターなら大金を出して買うぞ」御者は不満げに言い返した。


「二翼の魔導書……」


別の鉱夫が腰帯に結んでいた布を外した。それはKanatheonの小旗だった。


「どこで見つけたんだ?!」


御者はすぐさま馬車の上へよじ登り、驚いて尋ねた。


「ハゲグの南だ。鉄耳山へ向かう途中、道端の木の枝に引っかかっていた。汗拭きに使おうと思ってたんだ。これ、いくらになる?」鉱夫は喜びに目を輝かせ、ただのぼろ布にしか見えない小旗を眺めた。


「銀竜の旗の数倍はするぞ! 百賢の旅の団員に知り合いがいるんだが、そいつの話じゃ、百賢の旅はハゲグとヴィニフ宮殿を攻略した直後に住民を皆殺しにしたらしい。Kanatheonのメンバーはほぼ全員が戦死した。一方、銀竜はプラムスを放棄したそうだ。百賢の旅がプラムスを攻めたとき、抵抗したのはわずかなNPCだけだった。銀竜はどこかに身を潜めているんだろうな」


御者は羨ましそうにKanatheonのギルド旗を見つめながら、馬車をプラムス塔へ走らせ続けた。


かつて威風堂々とそびえていたプラムス塔は、いつも塵一つないほど清潔に保たれていた。階段には深紅の絨毯が敷かれ、正面の大扉は各地から訪れる客を迎えるために開け放たれていた。通りかかった新米たちは決まって、銀色の竜紋が輝く大広間を遠くから眺め、ギルドに加入したあとの生活に憧れを抱いた。


現在のプラムス塔には蔦が至るところに絡みつき、大扉の半分を覆い隠していた。周囲の庭園には大勢のドイツサーバーのプレイヤーが歩哨に立っている。彼らは百賢の旅のような厳めしく目立つ外見ではなく、下品で卑しいネズミのような顔つきをしていた。本サーバーのプレイヤーはもちろん、ドイツサーバーのプレイヤーでさえ、必要がなければプラムス塔には近づきたがらなかった。


馬車の一団が庭園へ入ると、プレイヤーたちは両脇の芝生に並べられた、光を放つ巨大な金魚鉢から一斉に目をそらした。金魚鉢の中でちらつく白い光を恐れているようだった。


青白い肌をした二人のNPC屍人衛兵が長槍で馬車隊を止めると、ネズミのように卑しい顔つきの高級将校が近づいてきた。


ドイツサーバーのプレイヤーたちはすぐに敬礼したが、将校は手を軽く振って適当に応じただけだった。


「輸送隊番号SE41、ルス総統への物資を輸送中です!」御者が声を張り上げて報告した。


「SE……ハゲグ周辺か……」


将校は好奇心を掻き立てられ、馬車へよじ登った。


帆布をめくると、そこには目まぐるしく色を変える大魔石が数千個も積まれていた。だが、将校は嫌そうに眉をひそめた。彼が調べたかった荷物は魔石ではない。


「上物は?」将校が眉をひそめて尋ねた。


馬車隊のプレイヤーたちはたちまち固まり、冷や汗を流した。


「閣下……彼女たちの名前は全員、輸送名簿に載っています。一人でも足りなければ、ルス総督がお怒りに……」御者が驚いて訴えた。


「上物は何台目だ?」


将校はすぐに剣を抜いて御者の喉元へ突きつけ、黄ばんだ目を細め、黙って従えと威圧した。


「四台目……」御者は仕方なく答えた。


将校が白い帆布を跳ね上げると、目隠しをされ、両手を縛られた十数人の本サーバーの女性プレイヤーが馬車の中で身を寄せ合っていた。口を布で塞がれているため、くぐもった悲鳴を上げながら隅へ逃げていく。


将校はいやらしく唇を舐め、馬車の中へ飛び込んだ。


直後、女性プレイヤーたちの悲鳴が響き渡り、車体が激しく揺れ始めた。


御者が困り果てていると、ちょうど黒いローブをまとった三人の将校が馬車隊のそばを通りかかった。御者はすぐに背筋を伸ばして敬礼した。


ガンガンガン――黒衣の将校が四台目の馬車を力任せに叩いた。


「何だよ? えっ……?!」


将校は苛立ちながら立ち上がったが、黒衣の将校を見るや慌てて馬車から飛び降りた。


「し、失礼しました! 宮本大佐!」


「ずいぶん楽しんでるみたいだね……」


和也は微笑みながら人差し指を伸ばし、空中で二度くるりと回した。すると、将校の顔についていた唾液が凍りついた。


「荷物を検査していただけです」将校は唾をのみ込んで答えた。


「名簿」


和也が静かに言うと、御者はすぐに輸送名簿を差し出した。


和也は捕虜名簿のページを開き、加奈の名前がないことを確かめると、ほっと息をついた。


「行動を慎め」


和也は数人の大賢者と共に、ゆっくりと塔の中へ入っていった。


「ふん、よそ者のくせに偉そうにしやがって。荷物を中へ運べ!」


将校は不機嫌そうに立ち去った。


……


廊下には数歩おきに衛兵が立ち、要所ごとに見張り所が設けられていた。


道中の衛兵たちは次々と和也や大賢者たちに敬礼した。だが、彼らは険しい表情のまま衛兵たちを無視し、領主の大広間へ上がっていった。


三人はすぐに、濃い煙草の臭いを嗅ぎ取り、女の甘い喘ぎ声を耳にした。


鉄扉を押し開けた途端、濃い煙が一気にあふれ出した。


宝石や黄金がゴミのように部屋の隅へ山積みにされ、辺りには煙が立ち込めていた。


広間の奥に、肥え太った男の後ろ姿が見えた。背中には脂肪が幾重にも盛り上がり、脂ぎったラザニアのように何十段も重なっている。


その巨漢は露出の多い服を着た二人の女プレイヤーと口づけを交わしており、和也が訪れたことにも気づいていなかった。


和也が二度咳払いすると、男はすぐに手を止めた。


「誰だ?」


地鳴りのように低く響く声が、聞く者をぞっとさせた。


「宮本和也です。ビスマルク総統が、このサーバーの生産報告を求めています……ルス閣下」


ルスを前にしては、和也も低姿勢で話すしかなかった。


「興醒めだな……可愛いお嬢さんたち、先に行っていてくれ……」


ルスは頭を掻きながら手を振った。二人の女プレイヤーは顔を覆い、隠し扉の奥へ駆け込んで姿を消した。


ルスはゆっくりと振り返り、領主の玉座まで歩いて腰を下ろした。体には服を一枚も身につけていなかった。


「生産報告は……来週のはずだろ?」


ルスの膨れ上がった顎は、まるでカエルの喉のようだった。


「はい。ですが、新世界で中東勢力との武力衝突が発生しました。大元帥から、軍備の生産を急ぐよう命令が下されています」和也は答えた。


「面倒だな……」


ルスは綺麗に整頓された机から一枚の書類をつまみ上げた。和也はゆっくりと歩み寄り、両手で受け取った。


「ビスマルクには、生産量を二十四%引き上げられると伝えろ。鉄耳山脈の開発を手伝わせる現地人を見つけた」ルスは言った。


「ビスマルク総統は……現地人を見つけ次第、皆殺しにせよと命じています」和也は眉をひそめた。


「俺に仕事のやり方を教えるつもりか? 子ウサギちゃん」


ルスは頬杖をついた。その手は首回りの脂肪の中へ、すっかり埋もれていた。


「滅相もありません……ただ、私の立場が苦しくなります」和也は慌てて釈明した。


「絶望を植えつけ、現地人が過負荷状態に入るのを防ぐ。だが、締めつけるだけでは駄目だ。現地人の管理も女奴隷の扱いと同じで、追い詰めすぎて反抗されたら面倒だからな。俺には俺のやり方がある。ビスマルクには黙っていろと伝えろ」ルスは答えた。


和也は拳を握りしめたが、反論する勇気はなかった。


「ほかに用は?」ルスが尋ねた。


「ありません。すぐに新世界へ向かい、ビスマルク総統に報告します」


和也は頭を下げ、広間をあとにした。


「従者! 俺の子ウサギちゃんを連れてこい! 青髪のほうだ! ははははは!」


鉄扉が閉ざされたあとも、ルスの笑い声は廊下に響き続けていた。


敗者たちの暗黒時代が……幕を開けた。


……


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