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見えない魔王——歪みきった征服ゲーム  作者: 純白
【第二部】 第四十章——城破り
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362 大賢降臨

リオの砲台が被弾した……

黒と白の雷光が、リオの「小さな亀」へ襲いかかった。だが着弾寸前、六枚の金色の翼が砲台を包み込み、凄まじい爆煙を巻き上げた。


「第二射、命中……いや、失敗」和也は眉をひそめた。


薄暗い城壁が突如、金色の光に包まれた――ソフィアが片手で召喚した、伝説の最高位天使ミカエルの六神翼の盾が、ドイツ軍の合成魔砲を受け止めていた。


六神翼の盾は夜明けのような金色の光を放ち、ハゲグの城壁を照らし出した。


だが、ドイツのプレイヤーたちが放った魔砲は、六枚の翼のうち四枚を破壊していた。ソフィアも全身に冷や汗をかいた。


「思い通りには……させない!」


ソフィアは怒鳴ると、片手を地面につけ、聖徒ゴーヴァンを召喚した。


聖園の狙撃手たちが突如、外周の胸壁から姿を現した。一斉射撃を浴びせ、ドイツ軍の前衛を何人も倒す。


「教皇……やはり厄介だ。針を使え、前進しろ」ビスマルクは眉をひそめた。


ドイツ軍は再び自らの身体に錬金薬を注射し、ハゲグへ向けて前進した。


死の淵から生還したリオは、生き延びただけでもうけものだとばかりに、さらに狂ったように引き金を引いてドイツ軍を掃射した。


「うははははは! 来い!!! この弾丸を喰らえええええ!!!!!」


魔導士で構成されたドイツ軍は、ついに劣勢へ追い込まれた。技師たちが張る猛烈な弾幕の中を、強引に突撃せざるを得ない。弾丸が薙ぎ払った先ではたちまち血飛沫が舞い、死傷者が出始め、路上には十数人の死体が残された。


リオはふと思いつき、奴らの凸レンズを破壊することにした。


だが、ドイツ軍は急ぎ足で進軍しながらも、巨大な凸レンズを個々の鏡体へ分解し、幻像師たちを後方へ下げた。、少数の鏡盾で守りを固めた。守備隊の砲台では、すぐには傷一つつけられない。リオはほかの者たちを掃射するしかなかった。


「ソフィア! 早く下がれ!」ニフェトが焦って叫んだ。


聖園の部隊は城壁を放棄した――ドイツ軍が、ついにハゲグへ突入した。


...


敵軍が市内へ入った瞬間、ハゲグには再び土砂降りの雨が降り始めた。


「小賢しい真似を……」


城壁へ飛び乗ったビスマルクは、夜明けを迎えたハゲグに人影が一つもなく、大通りを埋めていたギルド旗もいつの間にか消えていることに気づいた。敵が街そのものを陣地として利用し、市街戦を仕掛けるつもりだと悟った。


豆粒ほどの雨粒が、拳で殴るように侵入者たちを打ちつけ、身体に鈍い痛みを与えた。


ビスマルクが手のひらをくぼませると、半秒も経たないうちに雨水でいっぱいになった。これでは火魔法は使えない。


「和也、氷陣に切り替えろ」ビスマルは城壁から飛び降りながら命じた。


「氷陣!」和也は即座に命令を伝えた。


「氷魔導士は前へ! 雷魔導士は中央に配置しろ!」


百賢の旅を率いる大将キャロルが、すぐさま陣形を組み替えた。


ドイツ軍が街路の奥へ進むにつれ、その陣形は蛇のように細長く伸びていった。前衛の周囲に降り注ぐ雨粒は、たちまち白く凍りついていく。


入り組んだ街路と騒々しい雷雨によって感知範囲が大幅に狭まり、彼らはすでに頭上を飛ぶ複数の無人機に監視されていることに気づかなかった。


ドイツのプレイヤーたちのぼやけた人影が、大通りをうごめいていた……パシュスと複数の守魂衛(ソウルキーパー)はすでに四隊に分かれ、両側に潜伏して合図を待っていた。


ニフェトがカミコにうなずくと、彼女は複数の鏡盾を召喚した。


「この一戦に懸かっている……ラロに栄光あれ!」


ハゲグの上空がきらきらと輝いた。


「うおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」


上空の合図を見た前衛たちが四方の路地から飛び出し、ドイツ軍をいくつにも分断しようとした、その瞬間――


「今だ!」キャロルが大声で叫んだ。


「複数詠唱!」「フロストウィンド!」


百賢の旅のプレイヤーたちは吹雪で自らを包み、接近する守備隊全員の移動速度を低下させた。全軍が一斉に全速力で駆け出し、大通りを突っ切っていく。


「食い止めろおおおおおお!!!!!!!!!!」


パシュスは寒さで歯をガチガチと鳴らしながら、大通りを走って侵入者たちを追った。


守備隊はドイツ軍の隊列の最後尾に食らいつき、たちまち激しい乱戦が始まった。


「総統、伏兵によって我が軍の40人近くが足止めされています」和也が即座に報告した。


「置いていけ。全速で市街地を抜けろ」ビスマルクは表情一つ変えずに命じた。


伏兵たちは総攻撃を開始し、加奈とカミコはそれぞれ攻撃大隊を一隊ずつ率いて、ドイツ軍の隊列中央へ猛攻を仕掛けた。


源魔師を主力とするドイツ軍はキルゾーンを強引に突破できず、両側の路地へ迂回せざるを得なかった。


「いらっしゃい……」


松美の暗殺部隊は、すでにそこで待ち構えていた。ドイツのプレイヤーたちは網にかかった肥えた魚のように、複数の影鬼から襲撃を受けた。


路地には黒煙が立ち込め、侵入者たちは何度もの波状攻撃にさらされた。通ったあとには血まみれの生き残った者たちの目だけは鋼のように前方を見据えていた。


「何があっても突っ切れ!!」


彼らは氷風や雷嵐などの大規模な行動阻害魔法を立て続けに放ちながら、全速力で走り続けた。


このとき、ドイツ軍の後方部隊はすでに散り散りになっていた。暗い路地では刃が激しく交わり、守備隊は数の優位を生かして孤立した侵入者を包囲し、圧倒的な優勢に立っていた。


だが、奇妙なことが次々と起きた。


桐司は死を覚悟してサイ騎兵を率い、敵へ正面から突撃した。ところが、戦闘の最中に全員が氷漬けにされただけで、ドイツ軍は一人も殺さなかった。


キャロル、オットー、パーカー、和也、ビスマルク、ヴェッカーの全員が、桐司のそばを通り過ぎていった。


「セラン! 加奈を戻して、前衛たちとともに足止めした侵入者を掃討させろ。パシュスには、前衛二隊を率いて内湖要塞へ大至急戻るよう伝えろ!」ニフェトは即座に陣形を組み替えた。


「了解!」セランは風のように駆け去った。


守備隊の目算は大きく外れた。彼らはドイツ軍と刺し違えるつもりだったが、敵が遅れた仲間を先に切り捨て、そのうえ交戦まで避けるとは思ってもいなかった。ドイツ軍は濁流のように街を駆け抜けた街を通り抜け、内郭の湖畔まで駆け抜けた。


「集合、回復!」


ビスマルクは部下たちを不利な外郭の戦場から脱出させることに成功した。湖畔で部隊を再集結させると、瞬く間に全員を万全の状態まで回復させた。


100人の守備隊が入り組んだ狭い路地から追いかけてきた。だが今度はドイツ軍が陣地を固めて即座に反撃し、一瞬で追撃部隊を撃破した。


「待ちわびたぞ!!! 死ねえええええ!!!!!」


リオが奮い立って咆哮すると、三基の砲台が街路からせり上がり、三角陣を組んでドイツのプレイヤーたちを包囲した!


ズドドドドドドドドドドドドドド!


ドイツ軍は素早く反応し、即座に分厚い円形の氷壁を築いて自軍を囲んだ。


ズドドドドドドドドドドドドドド!


技師たちは火力を全開にし、ドイツ軍は必死に氷壁の穴を塞ぎ続けた。


守備隊は技師たちの援護射撃を受けて外郭から飛び出した。同時に内湖要塞の大砲も一斉に火を噴き、ドイツ軍の円形氷壁にいくつもの穴を穿った。壁の内側では血と肉片が飛び散り、氷壁は瞬く間に赤く染まった。


「人数を数えろ!」ビスマルクが焦って命じた。


「残り180人未満。敵軍の人数は不明です」和也が答えた。


「守りに徹しろ。城外に残してある大賢部隊を市内へ入れろ」ビスマルはうなずいた。


...


分断されたドイツ軍は路地に閉じ込められ、守備隊の包囲網を突破できずにいた。


パシュスはドイツのプレイヤーたちが集団で固まったときの強さを知っていた。仲間を率い、死に物狂いで敵の間へ割り込んでいく。


両軍はまるですし詰めになりひしめき合い、多くの者が顔中血まみれになり、敵味方の区別さえつかなくなった。


ニフェトは範囲回復スキルを使うしかなかった。


そのとき、加奈が部隊を率いて屋根の上から飛び出し、高所から敵へ攻撃を浴びせた。


ドイツ軍が次々と倒れ、まさに潰走しかけた、そのとき――大賢たちが共同で操る一枚の継ぎ目一つない巨大な浮遊鏡が空を覆った。大通りや狭い路地に潜んでいた守備隊はすべて映し出され、もはやどこにも身を隠せない。


カミコは即座に偽装用の鏡体を作り出し、周囲の味方を隠した。


巨大浮遊鏡はすぐさま分裂し、それぞれがわずかに角度を調整した。直後、数百発の黒雷がパシュスの前衛部隊を正確に撃ち抜いた。


ドドドドドドドドドドドッ!


【システムメッセージ:ギルドメンバー XXX HP残り0%】

【システムメッセージ:ギルドメンバー XXX HP残り0%】

【システムメッセージ:ギルドメンバー XXX HP残り0%】


包囲網にたちまち穴が開き、遅れていたドイツ軍はすぐさま大賢たちのもとまで退いて合流した。


「その鏡盾を叩き割れ!!!!!」


加奈は小隊を率いて屋根へ上がり、大賢たちの鏡体が分かれた瞬間を狙って火力を全開にし、何枚もの鏡盾を打ち砕いた。


だが、周囲の鏡盾が一斉に向きを変え、加奈の部隊へ狙いを定めた。


「早く離れろ!!!」


加奈はそれを見るなり、すぐに部隊を率いて路地へ身を隠した。


入口一帯が、大賢たちの魔法によって跡形もなく吹き飛ばされた。


リオがドイツ軍の氷壁を撃ち破ろうとしていたとき、巨大浮遊鏡が内湖へ移動していくのが見えた。味方の死亡通知が画面を埋め尽くし、リオは迷わず砲身を旋回させ、鏡盾を掃射した。


「危ない!」通信機から叫び声が響いた。


ドイツ軍本隊は、リオの注意がそれた一瞬を見逃さなかった。突如として氷壁を開き、一斉に反撃を開始した!


幾筋もの雷が降り注ぎ、リオの小さな亀が描かれた砲台は、表面を覆っていた抗魔塗料が剥がれ始めた。


「早く逃げろ、リオ!!!!!」仲間たちは焦って叫び、猛射を浴びせてドイツ軍を再び守りに回らせた。


【警告:排熱システム故障】


「くそっ!!」

リオはどうにか逃げ切ったが、砲台は損傷し、発射速度が一気に低下した。


大賢たちは浮遊鏡を前進させ、砲台は二方向から迫るドイツのプレイヤーたちに対応しきれなかった。


ドイツ軍本隊は氷壁を使って反撃を始め、火力をリオへ集中させた。


【警告:給弾システム故障】

【警告:システム過熱】


小さな亀はすでに限界に達し、内部から火と煙を噴き出していた。


「ごめん……さよなら……小さな亀……」


警告灯の赤い光に包まれたリオは唇を噛みしめ、涙を浮かべたまま緊急脱出装置で射出された。直後、砲台は自爆した。


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