347 避けられぬ責任
ニフェトは何度も考えた末、ついに総動員令を下し、本サーバー最精鋭の戦力を集結させた。
……だが、魔王がそれを黙って見ているはずがあるだろうか?
本サーバーの主力ギルドの一つ、牧藍の歌の全メンバーが黒森を抜け、教皇都市で連合軍に加わろうとしていた。
前方の木影が揺らめく森の中に、突然無数の魔法陣が輝き出し、無数の魔法陣が突然輝き出し、黒森は紫と青の光が入り乱れる、妖しい夜市のような光景へ変わった。
「伏兵です!!!」斥候が急報した。
「何だと?! 魔王がどうして、我々がこの場所を通ると分かった?!」牧藍の歌のギルマスは大きく驚き、すぐに迎撃を命じた。だが、複雑な森の地形の中では隊列を広げることが難しかった。
「ふふ……一つ目のギルド……片づいたな……」オットーは双頭の鷲の大旗を握り、敵を見つめながら冷笑した。
……
本サーバー史上最大規模の戦力が、教皇都市外の草原に集結していた。
本サーバーはわずか一日のうちに、八百名近いプレイヤーと千名のNPCを緊急招集した。全軍は蟻のように空き地を埋め尽くしていた。
さまざまなギルドの大旗が、見渡す限りにわたって連なっていた。
「今回の戦いは規模が非常に大きい。私たちが直接すべてを指揮するのは難しい。各ギルドのギルマスが、自らギルドメンバーを率いて戦う必要がある」ニフェトはアンドリアとともに高台に立ち、軍容を検分していた。
「割り当てられた位置に従って隊列を組んでください。すぐに出発します」ノクスは高台から一枚の陣形図を垂らした。
Kanatheonと銀龍の刻印という二つの主力部隊が、それぞれ右翼と左翼を担当し、中央は影の旅団と電波舎が守る。残りの空白は大小さまざまなギルドが埋めた。
数十台の牛車が教皇都市から出てきて、軍の後方に止まった。パンの香りが一瞬で草原いっぱいに広がった。
「遠慮せず食べて! 疲労度を回復させなければ、まともに戦えないわ!」アンドリアはプラムスの食糧の半分近くを、一気に連合軍へ配った。
「最高だ!!!!!!!!」連合軍は腕を振り上げて歓声をあげ、思う存分食べ始めた。
「なぜ牧藍の歌がまだ到着しない……」古志はひどく不審に思った。集合時間を三十分も過ぎているのに、知らせ一つ届いていなかった。
数十人が突然、黒森の端から飛び出し、命からがら教皇都市へまっすぐ走ってきた。
距離が離れているため、連合軍は来た者たちの正体を確認できず、全軍が警戒した。
シモンは狙撃スコープを掲げて確認し、相手が松美の偵察小隊だと気づいた……。彼らは頭を抱えて腰をかがめ、まるで野獣に追われているかのように恐慌した顔で逃げていた。振り返ることもできず、ただ前へ走っている。
後方の森から三本の炎柱が撃ち出された。加奈は音を聞いて位置を見極め、振り向きざまに手を振って氷壁を呼び出し、防いだ。
ビスマルク麾下の二将――聖女パーカーと力王オットーが大旗を握り、二百名のドイツプレイヤーを率いて森から歩み出た。
和也が指を鳴らすと、空中から数十本の雷槍が撃ち下ろされ、逃げるプレイヤーたちへ降り注いだ。
「加奈!!!」一樹は急停止し、周囲の土を硬い岩泥へ凝結させた。
「重力歪曲!」加奈は目を動かし、岩泥を浮かせて盾にした。
ドン!!! 泥の盾は雷撃を防ぎきり、空中で泥雨となって弾け飛んだ。
和也は口の端を上げて微笑み、加奈という小柄な魔法職に感心していた。
何体もの石竜が松美小隊の前方へ緊急着陸し、彼らは手足を使って竜の背へよじ登り、無事に教皇都市へ飛び戻った。
「何が起きたの?!」アンドリアとニフェトが同時に問い詰めた。
「牧藍の歌のギルド全員が……教皇都市へ向かう途中でドイツプレイヤーに奇襲に遭った……全滅しました!」松美は息を切らしながら急いで報告した。
「全滅?!」その知らせは爆弾のように草原全体へ響き渡った。
「まずい!!!」シモンが突然叫んだ。
牧藍の歌といくつかの友好ギルドのギルマスたちが一列に並べられ、ドイツプレイヤーの前で跪かされていた。
【エリアアナウンス: 捕虜は一切認めない】
ドイツプレイヤーは全チャアイテムを使用し、強制システム音声をエリア全域に響かせた。
捕らえられたプレイヤーたちは全員、火魔法で燃やされ、恐ろしい絶叫を上げながら地面を転げ回った。
ドイツ軍はゆっくりと森から歩み出た。鋼鉄のように冷たい目が烈焔を貫いて本サーバーの連合軍を見つめ、まるで連合軍の末路を予告しているかのようだった。
まず羅刹教が数名の精鋭に敗れ……さらに、百名規模の有力ギルドが全滅した……
その衝撃的な知らせに、連合軍は不安に揺れた。
空には十五人の浮遊する少年が現れた――すべてのGMが同時に姿を見せた。
「来る……」
ニフェトは、決戦が始まることを悟った。
……
連合軍全体が、大聖堂のバルコニーに立つソフィアへ跪いた。
彼女は軽く喉を整えると、心から目を閉じ、下方の衆生へ温かな手のひらを開き、静かに唱えた……
【我ら無名の者、あなたの聖旗の下に集い、あなたの神威が大地に恵みをもたらさんことを願います。
天の聖光は我らの武器となり、地の黒岩は我らの鎧とならん。
黒夜、白昼、黄昏、黎明を問わず、我ら無名の者はあなたの名のために戦い、あなたの名のために死にます。
ラロよ、どうか我らを祝福し、あなたのために凱旋の歌を歌わせてください。
アーメン】
大聖堂の周囲から黄金の聖光が立ち上り、皆を包み込んだ。
【システムメッセージ: 聖天の加護 を獲得しました すべてのバフ効果時間+33%】
「教皇が来た……」質素な修道女服をまとったパーカーは、一目で教皇の聖光だと見抜き、冷たく言った。
「安心して。あの加護は私が食べる………」キャロルが静かに言った。
ドイツ軍は円陣を組み始めた。
連合軍は女エルフを長い防衛線として全軍の前方に並べ、左右には獣人騎兵を配置した。
その時、ニフェトの耳元に六口弥生の教えの声が響いた……。
「大軍が交錯する戦場、混沌としているように見える。だが実際は、どれほど変化しても根本は同じだ――混沌と秩序。敵の陣線を混乱に陥れ、こちらが秩序を保てば、それだけで勝ちはほぼ握ったも同然だ。兵は神速を貴ぶ。私たちの日頃の高圧的な訓練は、まさにこちらの攻撃のテンポを高め、敵を常に半拍遅れにして、受け身に追い込むためのもの………」
「前衛、前進。回復職は中央へ」ニフェトは最も保守的な鶴翼の陣形を取った。
Kanatheon陣内では、桐司とセランが左右の騎兵隊をそれぞれ率いた。魔法職はニフェト率いる聖職陣の後方に配置され、前衛はパシュスが指揮する。
「ふう……俺ならできる……」
彼は六口弥生に代わってKanatheonの戦闘指揮官となり、進撃と撤退のタイミングを決める立場にいた。ニフェトでさえ、彼の命令に従う必要があった。
銀龍の刻印は得意の形を取った。アンドリアが騎兵を率いて突撃し、ノクスが本隊を率いてそれに合わせる。
ソフィアは神託を発し、多数のプレイヤーを募って聖十字軍を編成した。彼らは影の旅団、電波舎、聖なる園を支援することになる。
「お願いします……」
そして教皇である彼女は祝福効果を維持するため、大聖堂の範囲内に残らなければならず、軍に同行して出陣することはできなかった。
「パシュス……私たちは必ず勝たなきゃ。六口を失望させないで!」ニフェトは拳を握りしめて言った。
「俺に任せてくれ……ニフェト」二人は軽く抱き合い、それぞれの持ち場へ戻った。
「敵、少なすぎるわね……」加奈はつま先立ちになってもドイツ軍が見えず、眉をひそめた。
「妙だ………相手の前衛はどこだ?」古志は最後までドイツ軍の重装部隊が見えず、不安になった。
……
連合軍は堂々たる陣形を整え、銀龍の刻印は全員で腕を振り上げ、準備完了を示して咆哮した。
中央の混成軍団も力いっぱい吼え、全陣がKanatheonを見つめた。あとは彼らの合図を待つだけだった。
加奈、一樹、松美、カミコ、桐司、古志、寧々、翠、セランたちが一斉にニフェトを見つめた。
彼女は静かに神杖を掲げた……。
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」
Kanatheonは熾烈な戦吼を爆発させた。それとは対照的に、ドイツ陣営は沈黙したままだった。
「前進!」連合軍はそのまま総攻撃を開始し、全軍が出陣した。
……
「敵左翼は銀龍の刻印、大量の突撃騎兵を擁しています。中央は複数ギルドの混成軍、右翼は前衛猛攻に特化したKanatheonです」和也が四将に報告した。
「典型的なアジア式ですね……私は後衛へ行きます」パーカーは質素なスカートを揺らし、背の高い身体の輪郭をかすかに浮かび上がらせた。
「私は前線へ行く。和也は左翼へ」キャロルは骸骨の杖を抜き、前線へ向かった。
二人の四将に無駄な言葉はなかった。それぞれが演習に臨むような平静さで、持ち場へ向かっていった…
……
装甲が鳴る音はますます大きくなり、両軍の距離は残り数百メートルまで縮まった。すでに互いの顔まではっきり見える。
「ヴィニフの姉妹たちよ、奮い立て!
蕾女王のため、私たちは再び魔王に勝利する!!
ヴィニフの姉妹たちよ、奮い立て!!」
エルフ部隊は突然、澄んだ森の歌を歌い始め、大盾を掲げて死の突撃を開始した。
パシュスは六口に代わり、この最も過酷な決戦を指揮しきることができるのか……!?




