338 血塗られた大地
ドン!
城門が震え、門の後ろにいた百名以上の重装兵がびくりとした。
ドン!
また震動が走り、門を封じていた木の横木に何本もの亀裂が入った。重装部隊は恐慌に陥り始めた。
ドン! 横木が砕け、何人もの重装兵が飛び散った木片で負傷した。
彼らは後退し始めた。
ドン!
プラムスの城門が突き破られた。
二本の巨大なランスを手にした雨間刻が、先陣を切ってロシア軍の門守備部隊へ突っ込んだ。
彼らのほとんどは、ようやく二次職になったばかりのプレイヤーだった。防具は豆腐のように一瞬で雨間刻に無慈悲に破壊され、鮮血が春の野花のようにあちこちで咲き散った。
「刻! 火をつけるよ! 連鎖する星火!」白は軍に続いて城内へ入り、雨間刻の足元に火を灯した。
「暴力旋渦!」雨間刻は騎槍を大きくぶん回し、火の輪の上で回転した。いくつもの火球が弾かれるように守備軍の中へ飛び込み、ロシア軍の陣形は大きく乱れた。
「突撃!!」白は軍を率いてロシア軍の綻びへまっすぐ突き込み、敵陣を大きく崩した。
突然、巨大な大剣が雨間刻へ横なぎに振るわれた。彼は慌てて騎槍を立て、受け止めた。
ガン、と音が鳴り、彼の手の付け根が痺れた。
カルロフは魂喰の大剣を手に、凶悪な眼光で雨間刻を見つめていた。
それを見た他のロシア軍はすぐに足を踏みとどめ、叫び始めた。
「カルロフ! カルロフ! カルロフ!」
彼らはカルロフの背後に集まり、声を張り上げた。
白は手を上げて味方を止め、前方の空間を空けた。両軍は暗黙のうちに、二人の決闘を見守る形になった。
雨間刻とカルロフは互いの周囲を回るように対峙した。ちょうど一面の砂煙が流れ、二人の視界を覆った。
ガン!!! 火花が閃いた。
大剣と騎槍が激しく打ち合い、現場には刃と剣光が飛び交った。両軍は声をそろえて叫び、それぞれの主将へ喝采を送った。
……
剣と槍が交錯し、二人の戦いは激しさを増していった。カルロフの圧倒的な耐久力と恐るべき魂喰の大剣は、上位レベルの雨間刻にさえ優勢を許さなかった。
雨間刻はロシアサーバーにこれほどの人物がいるとは思わず、正面からぶつかるのを避け、後退して距離を取った。
「根性があるなら逃げるな!」カルロフは狂ったように雨間刻を追って斬りかかったが、傷を負わせることはできなかった。
百メートルも進まないうちに、雨間刻は相手が守魂衛で、攻撃技能に乏しいことに気づいた。自分が強力な攻撃で押さえ込めば、必ず勝てる!
ヒュッ!
彼は突然足を止め、振り返って騎槍を鋭く突き出した。
「はあっ!」カルロフは避けるどころか、身をひねって大剣を振るい、正面から打ち返した。
ドン!!!!!!!!
雨間刻の騎槍は、まさか、魂喰によって粉砕された。ロシア軍は一斉に歓声を上げた!
だが、雨間刻のほうが一枚上手だった。彼はすぐにもう一本の長槍を振り回し、攻撃へ移った。
カルロフの重い身体は避けきれず、騎槍を腰にまともに食らった。凄まじい力で十メートル先まで弾き飛ばされる。雨間刻にここまでの力があるとは思わず、肋骨を何本も折られたカルロフは、痛みに耐えて立ち上がった。しかし次の瞬間、雨間刻がすでに頭上へ跳び上がり、再び騎槍を投げ放っていた……。
「臆病者が!」カルロフは激怒し、飛んできた騎槍を一刀で払いのけた。だが前方に銀光が閃き、雨間刻の大剣がすでに目の前まで斬り込んでいた!
ガン!!!!!!!
カルロフは間一髪で雨間刻の重い斬撃を受け止めたが、相手の力の凄まじさと身のこなしの速さに内心驚いた。
だが雨間刻の力はまだ尽きていなかった。彼はさらに強い力で押し込んでくる。今度ばかりはカルロフの頑丈な身体も耐えきれず、片膝をついた。
ガン! ガン! ガン! ガン! ガン! ガン! ガン! ガン! ガン! ガン! ガン! ガン!
暴君である雨間刻の攻撃速度と筋力が、ついに本領を発揮した。カルロフは完全にそのリズムについていけず、一方的に打ち込まれる段階へ入った。
雨間刻は斬れば斬るほど勢いに乗り、突然、逆方向から、下から刃を跳ね上げた!
カルロフは反応が間に合わず、魂喰の大剣はギィンと音を立てて弾き上げられ、正面が大きく開いた。
雨間刻のもう片方の手には、すでに別の大剣が握られていた。振り下ろされる刃。
ザシュッ!
胸元を深く切り裂かれ、カルロフは肩から腰まで斬り開かれて血だまりの中へ倒れた。
彼は血を吐きながらも、まだ力の残る腕で魂喰の大剣へ手を伸ばした。だが、雨間刻に手首を踏みつけられた。
「終わりだ、友よ。見事な戦いだった……」
雨間刻は首を振り、銀の槍を抜くと、カルロフの腹へ垂直に突き刺し、彼を地面に縫いつけた。
カルロフは痛みに身体を弓なりに反らせたが、苦痛の悲鳴は上げなかった。
雨間刻は周囲のロシア軍を見つめた。
彼らは黙ったままだった。だが、退く気配はなかった。重い表情で戦いを見届けている。それはカルロフへの敬意だった。
カルロフは血だまりの中で歯を食いしばり、腹に刺さった銀の槍を引き抜くと、再び立ち上がった。
雨間刻はカルロフの気概に敬意を抱き、大剣を担いで迎え撃った。
「来い!」カルロフは血まみれの口で狂ったように吠えた。
雨間刻はカルロフの覚悟に応えることにし、正面から突撃して、双剣を突き出した。
ザシュ、ザシュ――。
大剣は腹を貫き、カルロフは静かになった。
ロシア軍の多くが涙を流した。だが、誰一人として顔を背けず、カルロフを見つめ、最後の敬意を送った。
「ナスティア……様、先に行きます!!!」カルロフは突然咆哮し、両手で雨間刻の喉を締め上げ、全体重をかけて彼を地面へ押し倒した。
「死ねええええ!!!!!!! 侵略者めえええええええ!!!!!!!!!」カルロフは雨間刻の顔に張りつくほど近づいて咆哮し、歯から滴る血が雨間刻の兜に落ちた。
雨間刻の首鎧は締めつけられてミシミシと音を立て、口の中には血の味が広がり、胸は窒息するほど苦しかった。
意識を失う寸前、柑々の姿が脳裏をよぎった。
彼がロシアサーバーへ来たのは、まさに愛する人のためだった……。
カルロフは突然、雨間刻の力が爆発的に増したのを感じた。彼は狂暴状態に入り、全身が黄金色のオーラに包まれていた。雨間刻は両腕でカルロフの両手を締めつけ、その力は凄まじく、カルロフの指をほどかせた。雨間刻はその隙に抜け出し、勢いのままカルロフの腕を背後へねじり上げ、細い銀の槍をカルロフの後頭部へ向けた。
「さよならだ」
雨間刻は力を込めて突き刺した。
カルロフの身体は力を失い、瓦礫の山に倒れて死んだ。
雨間刻は地面に落ちていた魂喰の大剣を拾い、軽く振るった。その大剣が羽のように軽いことに驚き、自分の攻撃力が激増していること、さらに吸血能力があることにも気づいた。
【システムメッセージ: 浄化された 伝説の大剣・魂喰 を獲得しました】
彼は試したくてたまらない様子で、前方のロシア軍を見つめた。
「カルロフのために、死んでも屈しない!!」名もなき一兵卒がカルロフに決意を奮い立たされ、ロシア軍の陣営から走り出た。
「はああ!!!」ロシア軍の一団が、まさか、自ら攻め込んできた。
「進攻!!!!!」白は影の旅団の精鋭を率いて迎え撃った。城門はすぐにこの世の地獄と化し、死体が野を埋めた。
【システムメッセージ: フレンド カルロフ HP残り0%】
「カルロフ…………」ナスティアはカルロフが戦死したのを見て、城門がすでに陥落したことを悟った。
「また来た! ナスティア!」ニーナが警告した。
彼女とニーナは砲台を全力で守っていた。火野良は、二人と砲台の火力連携を突破できないことに気づき、ずっと外側を旋回していた。
その時、一体の石竜が高塔へ飛んできた。
「ナスティア、早く乗れ!」プラムスの指揮官が慌てて言った。
「どこへ逃げろって言うの……? 私たちは、もうおしまいよ……」ナスティアはすべてを諦めたように言った。
「俺たちは獣人と約束している。今のハゲグは安全だ!」指揮官は急いで言った。
「いいえ、私にはそんな資格――」ナスティアは逃走を拒もうとしたが、ニーナの魔力で身体を浮かされた。
「ニーナ!!!」ナスティアは怒鳴った。
ニーナも一緒に石竜へ乗り、彼女の手を押さえて言った。
「信念を貫いて、ナスティア」
「行け! 飛べ!!!」指揮官が叫び、石竜は数名の残兵を乗せてハゲグへ飛んだ。
ニーナとナスティアの援護を失った砲台は、すぐに火野良に包囲され、破壊された。
翼騎兵団は対空火力を壊滅させると、大規模な殺戮を始めた。火野良は一人で二百名のロシア軍の中へ突っ込み、彼らを一人残らず斬り伏せた。
城門は陥落し、影の旅団の五百名の連合軍がプラムスへなだれ込み、街を血で洗った。
守備軍は全員、羊のように追い立てられて殺された。大通りも路地も血の川となり、烈火は天を衝いた。膨大な光塵が上空へ舞い上がり、プラムスを昼のように照らし出す。それは背筋が凍るほど凄惨で美しい光景だった。
……
ロシアサーバー攻城戦の最終日、守備軍はついに本サーバープレイヤーの猛攻に耐えきれず、すべての拠点を失った。大量の難民がハゲグへ押し寄せた。
「ニフェト、残るはハゲグ拠点だけです」カミコが報告した。
「私たちも動きましょう。必ず領主の鍵を手に入れる。六口を失望させるわけにはいかない……」ニフェトは紙切れ一枚の約束を破り、次の攻城戦で出兵し、ロシア軍最後の要塞を攻めることを決めた。
……
「ソフィア……私たちはロシアサーバーへ遊びに行かないの?」コリンは眉をひそめて尋ねた。
「いいえ! あなたたちだけで行って。私は忙しいの」ソフィアはロシアサーバーにまるで興味を示さず、聖典に没頭していた。
「じゃあ、俺たちは行くぞ。お前は一人で本の虫でもやってろ!」コリンは聖なる園の者たちを連れて教皇都市を出た。
ソフィアは菓子を持って教会の地下室へ向かった。
「老修道女、また会いに来たよ!」ソフィアは菓子を掲げて笑った。
「子供よ、本当に勉強熱心だね」老シスターは菓子を置き、温かくソフィアに挨拶した。
「前回は二文字教えてもらったけど、今回はまた一文字読めないのがあるの」ソフィアは苦笑し、書き写した紙を手に老シスターのもとへ歩いた。
「子供よ、こういう古語は心で感じるものだよ。ラロの教典を本当に信じた時、自然と分かるようになる。ラロを生きなさい、子供よ」老シスターは笑って言った。
ソフィアは眉をひそめて苦笑した。偽りの信仰を、どうやって本気で信じろというのか?
彼女は鉄門をくぐって収蔵室へ入り、血を滴らせる日本刀をもう一度確認した。
「妖??正 ?狐?石」
【システムメッセージ: ア??ティ??言??程?-31%】
…
ずっと支え合ってきた仲間さえ……最後は、救えないというのか……




