337 溢れ出す血潮
血の手形が描かれた大旗は、すでにロシアサーバーのヴィニフ宮殿正面に立てられていた――。
「早く撃て!!」守備軍の銃弾が、草原の侵入者たちを横なぎにした。
彼らはリスのように身軽で、銃弾はまるで当たらなかった。
「攻城梯だ! 奴らの攻城梯を狙え!」
狙撃手たちは敵を撃ち殺すのを諦め、照準を攻城梯へ合わせた。
ドン、ドン、ドン!!!!
「うああ!!!」
何人もの教徒が撃たれて倒れたが、その位置はすぐに別の者たちが埋めた。
「火魔法で攻城兵器を壊せ!」守備軍が叫んだ。
雪白の城壁から炎が噴き出し、いくつもの攻城梯に火をつけた。だが、それでも侵入者の半数以上は城壁の下へ到達した。
「重装部隊、出撃準備!」守備軍は城門に前衛職のプレイヤーたちを集めた。彼らは無言で盾を握りしめ、近くの聖職者から祝福を受けた。互いに目を向ければ、外へ出たあと生きて戻れる可能性が低いことは、誰もが分かっていた……。
重い城門が、ギィギィと音を立てて開いた……。
彼らはすぐに、門の隙間から城外の野に燃え上がる攻城器具と、悪鬼のような羅刹教徒たちを見た。
「栄光は我らのサーバーにある! 突撃だ、同志たち!!」ヴィニフの指揮官は黒獅子の大旗を掲げ、数百の部隊を自ら率いて出城し、迎撃した。
「うおおおおおおおおおおおおお!!」彼らは声をそろえて叫び、互いに恐怖を押し殺しながら、指揮官に続いて突撃した。
羅刹教は、ロシア人がまさか包囲を破って反撃してくるとは思っておらず、一時不意を突かれて切り崩され、攻勢が鈍った。
その時、羅刹教の中から黄金の光が閃いた。西城勇が全身の力を振り絞って高空へ跳び上がり、瞬時に全員の視線を奪ったのだ。
西城勇は空中で止まり、深く息を吸い、身体を折り畳んで球のようになってロシア軍の陣中へ墜ちていった。
「早く撃ち殺せ!!!」
ロシア軍は次々と銃を構えて撃ったが、ダメージはすべてレナへ転移した。
西城勇の腕は純粋な青へ変わり、彼はすべての魔力と疲労度を使い果たして、地上のロシア軍へ拳を打ち下ろした。
「天魔焚城!」
一本の細い青い光が、静かに群衆の中へ落ちた……。
次の瞬間、夜明けのような明るい青光が、すべてのプレイヤーの視界を焼いた――。
【システムメッセージ: ギルドメンバー XXX HP残り0%】
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巨大な円形の青い火柱が、百メートルの高空へ一直線に噴き上がった。その範囲内にいた低レベルのロシアプレイヤーは、すべて一瞬で灰に焼かれた。
青い炎が消えると、残っていたのは装備のよい少数の守備兵が地面で呻く姿だけだった。
「いったい……奴らはどれほどの力を持っているんだ……」自分の部隊がほぼ全員、一撃で葬られたのを見て、重い無力感に襲われた。彼は手にしていた武器を投げ捨て、呆然と西城勇を見つめた。
西城勇は舞い上がる骨灰の中で立ち上がり、周囲では何人もの信徒が虹色の光をまとって彼のそばに立っていた。
「ヴラジより強い…………」
「勝てるわけがない……」
ロシアサーバーではプレイヤーが異端者になることを許されていないため、彼らはこれほど強大な狂信者を見たことがなかった。西城勇の実力は、五次職のヴラジに匹敵するとさえ思えた。
恐怖は疫病のように爆発し、一瞬で守備軍全体へ広がった。彼らは戦意を完全に失った。
「想像以上に弱いわね」レナは微笑み、薔薇の大盾を掲げてロシア軍を見つめた。
「一人も生かすな……」西城勇は怯えきったロシア軍に告げた。
「ずっと待ってたんだよ!!! ははははは!!!」
信徒たちは同時に姿を消し、敵陣の中へ閃くように入り込んで敵を素手で引き裂いた。
「早く門を閉めろ!」指揮官は城内へ逃げ込みながら、慌てて言った。
「ですが、門の外には百名以上の仲間が……」衛兵はためらった。
「早く閉めろ! でなければ間に合わない!!」指揮官が怒鳴った。
ドン…………
一人の羅刹教の狂信者が、ちょうど両腕を伸ばして門の隙間をこじ開けた。
「俺が押さえる!! 死ねえええ!!!」
近くにいたロシア側の狙撃手が、すぐに彼の胸に風穴を開けた。
「羅刹教が……来るぞ!!! ははははははは!!」狂信者は狂ったように笑い、身体の傷を無視して全身の力で門の隙間を押さえ続けた。そしてようやく、重傷で息絶えた。
閉まりかけていたその門の隙間は、さらに多くの侵入者に間に合うようにつかまれた。
「集中砲火であのクソどもを撃ち殺せ!!」震え上がった守備軍が慌てて叫び、城内の狙撃手たちが一斉に発砲した。
ドン、ドン、ドン、ドン、ドン!
羅刹教の信徒たちは仲間の死体を踏み越え、協力して腕力だけで、ロシアプレイヤーたちの城門を力任せに押し開いた。
「俺たちは……こんな城門なんかに負けないんだよ!!!」彼らはついに城門をこじ開けることに成功した。
「終わった……」指揮官は恐怖で心臓が一瞬止まりそうになった。
「城内の全員を殺せええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」
百名を超える修羅が突入し、城門の近くを守っていたロシア軍はすぐに肉片へと引き裂かれた。城壁の重装兵たちは、すでに敗北したことを悟り、城壁を乗り越えて逃げ出した。
「早く……早く逃げろ!!!」見捨てられた聖職者と後衛職の士気は即座に崩壊した。だが、彼らの逃げ道はすぐに塞がれ……最後の一人まで、城から逃げ出すことはできなかった……。
西城勇とレナは、空いっぱいの煙と火の中を抜けてヴィニフ宮殿へ入り、互いに微笑み合った。
……
同じ頃、ロシアサーバーのプラムス――。
「うああああああ!!!!!!」
城壁の狙撃手と魔導士たちは攻撃を始める前に、すでに火野良が率いる本サーバーの翼騎兵たちに、草を刈るように虐殺されていた。
「指揮しているグリフォンを狙え!」城内の数基の砲台が同時に火野良を砲撃した。
グリフォンの右翼が傷つき、速度が落ちた。
「俺についてこい!!!」火野良は大きく吼え、翼騎兵隊を率いて砲台へ攻撃を仕掛けた。
「黒死の呪い!」突然、空中に浮かぶニーナが彼らへ術を放った。
翼騎兵隊はすぐに全身から力が抜け、反応が鈍ったところを砲台に捕捉された。
「っ、引け……引くんだ!」これほど強力な広範囲状態異常を放たれるとは予想だにせず、火野良は焦燥の中で撤退を叫んだが――次の瞬間、翼騎兵たちはその場で肉片へと吹き飛ばされ、惨死した。
「ナスティア!」一樹は激戦地を迂回し、彼女のそばへ飛んできた。
ナスティアは振り向きざまに白の矢を放ち、彼を撃った。
「俺だ!」一樹は白い矢撃を受けた両腕の痛みに顔をしかめた。
「あなたは私を騙した……結局、力ずくで私のサーバーを侵略する道を選んだのね!!!」ナスティアは涙を流しながら怒りに叫んだ。
「俺は必死に止めた。君だって分かってるだろ」一樹は焦り、胸を痛めながら言った。
「見て!! これが私たちの約束なの?!」ナスティアはプラムスの高塔の上に立ち、周囲の凄惨な戦いを指さして言った。
影の旅団は盟友を連れ、総勢五百人でプラムスを攻めていた。
城内は一面の火の海となり、殺し合いの声が天を揺らしていた。
「俺は何度も説得した。でも、実は……六口弥生と君の協定では……銀K同盟の仲間はロシアサーバーを攻めないと明記されていたけど……俺たちのサーバーの他ギルドが君たちを攻撃することまでは制限できなかったんだ……」一樹は苦い顔で言った。
「は……カスター……あなたは完全に正しかったのね! 馬鹿だったのは私だ! ははははは!!」ナスティアは雷に打たれたような衝撃を受け、声を上げて笑った。
すべては、彼女の一人よがりだった。敵は最初から切り札を残していたのだ。
「白の脈衝!!!!!」
一樹は驚いて自分の身体に触れ、ナスティアがわざと外し、自分の耳だけを焼き潰したことに気づいた。
「行って!!! あなたの顔なんて見たくない!」彼女は怒りのあまり泣きながら、薔薇水晶の杖を掲げて咆哮した。
「早く逃げろ! さっきの翼騎兵は俺たちの軍の大将、火野良だ。俺たちのサーバー最強の前衛プレイヤーなんだ。君たちじゃ勝てない!」一樹は危険を冒してナスティアに警告した。
「関係ない。私は仲間と生き、仲間と死ぬ! 早く行って! 次は外さない!」ナスティアが再び一樹を指すと、前方の空中に黒い魔法陣が浮かび上がった。
「ニーナ……君は………」一樹はニーナの敵意に満ちた目を見て、胸を切り裂かれるような痛みを覚えた。
「ナスティアが消えろと言っている。私は容赦しない」ニーナは冷たく威嚇した。
「ナスティア、俺は本気で君が好きだ。一度も騙してなんかいない!」一樹は離れることを拒んだ。
「消えて!!! 嘘つき!」ナスティアは三筋の黒雷を放ち、一樹を城外まで弾き飛ばした。彼は重傷を負って地面に倒れた。
「永遠にさようなら……一樹さん」ナスティアは涙をこらえながら振り返った。
……
この結末は……一体誰の過ちだと言うのだろう……




