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見えない魔王——歪みきった征服ゲーム  作者: 純白
【第二部】 第三十五章——狡兎良狗
337/450

336 遅れて届いた便箋

「くそおおおおおおおおおおおお!!」


カスターが殺されたのを見て、ニーナとカルロフは応戦した!


六口弥生は一足飛びにナスティアと一樹の間へ入り込み、片手で彼女を地面に押さえつけた。


「Kanatheonのために……死んでもらうわ……」


「だめだ!!!」一樹は激昂して怒りの雷を呼び出したが、そのすべてが外れた。


彼は愛する少女が目の前で六口弥生に処刑されようとするのを、ただ見ていることしかできなかった。


六口弥生が指に力を込め、ナスティアを切り刻もうとした瞬間――


【しばらくお待ちください――――】


六口弥生の視界が暗転した。再び目を開けた時、彼女は本サーバーの大聖堂、聖嬰室にいた。


【システムメッセージ: あなたはギルドから除外されました】


【システムメッセージ: 魔王プレイヤー資格を失いました】


【システムメッセージ: ワスティン大聖堂聖嬰室へ転送されました】


六口弥生は胸の奥が冷え、震えながらギルド画面を開いた。


【システムメッセージ: あなたはどのギルドにも加入していません】


彼女は黙って腕を下ろし、大聖堂の外へ歩いて、ムー大陸の月光を見つめた。


「まさか……最後がこんな形になるなんてね……」六口弥生は淡く笑った。


【システムメッセージ: フレンド 六口弥生 オフライン】


彼女は黒い影となって、ムー大陸の上から静かに消えた。


……


【システムメッセージ: 六口弥生 がギルドから除外されました】


「嘘だろ……六口……」六口弥生が宙に消えたのを見て、彼女がギルドから除外されたと知った一同は大きな衝撃を受けた。


「彼女は暴走した……怒りが収まったら、また戻せばいい」ニフェトは怒りで顔を真っ赤にしながら、ギルド画面を閉じた。


「………………」


誰もが動きを止め、静まり返った。


「あなたたち、すぐに放しなさい」ニフェトはカミコと松美を指さし、厳しく言った。


二人は呆然としたまま、カルロフとニーナを放した。


「あなたは自由よ、ナスティア。私たちとは、もうこれで終わりよ」ニフェトは眉をひそめて言った。


「でも、あなたは……」ナスティアはまだ恐怖から抜け切れず、ためらいながら言った。


「早く行きなさい。私の気が変わる前に」ニフェトは聖杖を掲げ、ナスティアを脅すように向けた。


ナスティアは一樹と視線を交わした。一樹はすぐに彼女の意図を理解し、黙ってうなずいた。

「俺はここに残らなきゃならない………さよなら、ナスティア」


Kanatheonの全員が、瞬く間にナスティアへ敵意を向けた。


加奈は六口弥生がギルドから除外されたことに強い不満を抱き、魔法杖を握りしめて怒鳴った。

「ここにあなたの居場所はない!」


「早く行け。この先のことは、もっと複雑になる」一樹は急いで三人を押し出した。


「また会えますか、一樹さん?」ナスティアは名残惜しそうに涙を流した。


「会えない……永遠にさよならだ、ナスティア」一樹はこらえきれず、大粒の涙をこぼした。


カルロフはニーナとナスティアを引き連れ、階段を駆け下り、虫族の間を抜けて去っていった。


黒い転送門に再び波紋が広がる――真子が重い足取りで現れた。


「ナスティアは?」真子の第一声は仲間への挨拶ではなく、ナスティアの姿を探すものだった。


「行ったわ。何日も姿を消して、何をしていたの?」ニフェトはこのタイミングで真子が現れるとは思わず、驚いて尋ねた。


真子は誰とも目を合わせず、黙ってニフェトの前まで歩き、一通の手紙を差し出した。

「さよなら」


【システムメッセージ: 真子 ギルドを脱退しました】


「………」一同は真子が消えていくのを見送った。


Kanatheonがロシアサーバーに侵攻した時の勢いは、すっかり消え失せていた。現場には重苦しい空気だけが漂っていた。


ニフェトとアンドリアは一緒に真子の手紙を開き、それが六口弥生の筆跡だと気づいた。


【私は、うまく気持ちを伝えられる人間ではありません。だから真子の手を借りて、この手紙を渡します。


あなたたちと出会えたことは、本当に幸せでした。私はみんなの、本物の温かさに触れることができました。


あなたたちとギルドを組み、このゲームをクリアして、それから次のゲームを一緒に遊び、老いるまで友情を続けていく。そんなことを、私は夢見ていました。


けれど現実は、それを許してくれません……私は海外へ移住することになりました。みんなとは遠く離れ、もう会えなくなってしまいます。


この日が来ることは分かっていました。でも早すぎました。私は離れたくなくて、出発の引き延ばしを重ねました。どうか、私がなぜ焦るようになったのか、あなたたちに早く成長してほしかったのか、早く独り立ちしてほしくて強硬な手段に出たのか、そしてあなたたちを傷つけてしまったのか、理解してくれると嬉しいです。


私は愛する人と離れるのが怖くて、ずっとわざと自分を閉ざしていました。


でも、あなたたちの熱意は私に拒ませてくれませんでした。私は気づけば心を開いていました。


Kanatheonの一人一人を、私は忘れません。そして、あなたたちの副長でいられたことを誇りに思います。


私のわがままを許してください。もし自分の口で別れを告げたら、きっと離れられなくなります。


最後まで、冷たい私のままでいさせてください。


いつか縁があれば、また会いましょう。


皆さんの無事を祈っています。


Kanatheon副長


六口弥生】


「なんてこと……」ニフェトは途中まで読んだ時点で、涙が堰を切ったように溢れ出し、胸にぽっかりと穴が空いたような感覚に襲われた。


【密書 宛先(六口弥生): 六口! ごめんなさい。早く戻ってきて、直接謝らせて!】


【システムメッセージ: フレンド 六口弥生 オフライン】


【密書 宛先(六口弥生): 冗談でしょ!? 直接謝らせてよ!】


【システムメッセージ: フレンド 六口弥生 オフライン】


【システムメッセージ: フレンド 六口弥生 オフライン】


【システムメッセージ: フレンド 六口弥生 オフライン】


【システムメッセージ: フレンド 六口弥生 オフライン】


「いや……いやだ!!! 六口!! ごめんなさい!!」ニフェトは崩れ落ちるように泣き叫んだ。


六口弥生の手紙はメンバーたちの間で回し読みされ、全員が沈痛な表情になった。


一樹はようやく理解した。六口が背負おうとしていたものを、自分は何一つ理解していなかったのだ。


「泣いてばかりいないで………私たちはちゃんと彼女の意志を継ぎましょう。ロシアサーバーをきっちり攻め落として、掲示板で私たちの戦果を見せてあげるのよ!」アンドリアはニフェトを支え起こした。


「私はもう、過ちを重ねない……六口、あなたを失望させたりしない!」ニフェトは悔恨の涙を拭い、その瞳に冷徹な光を宿した。


「出陣よ。今この瞬間から……ロシアプレイヤーを全員殺しなさい!」アンドリアは一声笑い、同盟軍は整然とグズ砦から歩み出て、周辺のロシア軍の掃討を開始した。

……


本サーバー、魔都制御室――


「彼らは異世界への門を開いた。大半のプレイヤーがグズ砦へ向かっている」


「よし。三日後に攻城戦が始まる。我々の内通者は何人いる?」


「二百人近くです。腕に布を巻いて目印にします」


「よし……驚かせてやろう」ドイツサーバーの指揮官は、掌の上に浮かぶ七つの神殿のキーストーンを見つめ、自信ありげに笑った。


それが彼女なりの、不器用な愛の形だったのかもしれない……


次章、終焉の序曲!


【本日は、以前お約束していた通り二話分を追加更新いたします!皆さんにお楽しみいただければ幸いです。もし気に入っていただけましたら、ぜひブックマーク登録や感想をよろしくお願いいたします!】

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