↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見えない魔王——歪みきった征服ゲーム  作者: 純白
【第二部】 第三十五章——狡兎良狗
336/450

335 堕落の始まり

「あなたはわざと戦火を煽って、黒獅子ギルドを一気に殲滅するつもりだったのでしょう?」ナスティアは歯を食いしばって言った。


「私は協定どおりに動いただけよ。反抗する者だけを殺す」六口弥生は唇を尖らせて肩をすくめ、無実そうな顔をした。


「早くグズの城を片づけましょう……」ニフェトは眉をひそめて言った。


「いいえ……まだ終わっていないことがあるわ……」六口弥生が手を振ると、キティはカスターを下ろした。


「だめ! あなたはカスターを殺さない!」ナスティアはすぐに彼の前へ立ちはだかった。


「お嬢ちゃん……私の足を踏んでるよ」キティがナスティアの耳元でそっと言った。


ナスティアは驚いて飛び上がり、慌てて旅の靴を引いた。


キティは微笑み、一歩後ろへ下がった。


敵側の幹部がここまで冷静に振る舞うことが、さらにナスティアへ圧力をかけていた。


「その『殺さない』を定義してくれる? 私は殺せるし、殺す力もあるし、殺したいと思っている。あなたは何を根拠に、私にカスターを見逃せと言うの?」六口弥生は冷笑して問い返した。


ナスティアは言葉に詰まり、口ごもった。


「六口……もうそのくらいで……」ニフェトが割って入った。


六口弥生はニフェトとアンドリアを鋭く指さした。

「私に尋問を任せると同意したでしょう。今さら邪魔しないで!」


二人は六口の気迫に圧され、一時言葉を失った。


六口弥生はゆっくりと腕を組み、どうでもよさそうにナスティアを見た。

「彼は私を奇襲した時点で、自分の選択をした。今はその結果を受けるだけ。あなたが彼のそばに立ちふさがるなら、まとめて殺すわ」


「ナスティア様の髪一本にでも触れたら、あなたの身体を粉々に砕きます……」ニーナはナスティアの背後へ立ち、全身から不吉な黒い魔力を放って六口弥生を威嚇した。


「あら……護の魔女。私があなたを忘れると思う? あなたたちに会わせたい友人を連れてきたわ」六口弥生は微笑み、手を叩いた。


群衆の中から聖光が弾けた。


ニーナの身体は一瞬で力を失い、魔力は聖光に押し返され続け、最下級の魔法すら使えなくなった。


一体、どれほど圧倒的な神力だというのか。ギルドの枢機団すら、容易く凌駕していく。


金衣をまとったソフィアがゆっくりと歩み出た。その手には、ナスティアが見たこともない白宝石の十字聖杖が握られていた。


「紹介しましょう。私たちのサーバーの教皇よ」六口弥生は芝居がかった仕草で頭を下げた。


「神聖術・無垢!」ソフィアはカルロフへ手のひらを向けた。


神光がカルロフの身体を貫いた――カラン、カラン……魂喰の大剣が音を立てて地面に落ち、もうカルロフの腕に絡みついてはいなかった!


【システムメッセージ: 伝説の大剣・魂喰 の呪いが解除されました】


【システムメッセージ: 武器 伝説の大剣・魂喰 の装備が解除されました】


カルロフは驚きと喜びに満ち、何もなくなった右手を軽くつまんで確かめた。


彼が身をかがめて大剣を拾おうとした瞬間、黒い縄に後ろへ引かれた。


「何をする?!」


カルロフは慌てて黒い縄をつかみ、強く引いた。松美はひと跳びで彼の背後へ回り込み、膝裏を蹴って跪かせると、短剣を後ろ首へ突きつけた。


「うっ…………」


ニーナは慌てて手のひらを開き、ソフィアの神力に抗おうとした。だが次の瞬間、数十面の鏡の盾に包囲された。少しでも軽率に動けば、爆撃されて死ぬ。


「どういうつもり?!」ナスティアは激怒して問い詰めた。


「私は前から警告したはずだ……彼女はどんな口実でも作って、お前を殺そうとする」カスターはようやく意識を取り戻し、ゆっくりと地面から身を起こした。


「私たちは協定を結んだでしょう!」ナスティアは六口弥生を指さして怒鳴った。


本サーバー軍は一斉に六口弥生を見つめ、その視線が彼女に計り知れない圧力を与えた。


彼女には、その視線を黙らせるだけの絶対的な権限があった。今問われているのは、その決意があるかどうか――本物の悪魔になる覚悟があるかどうかだった。


「六口、この茶番をやめろ!」一樹はナスティアのそばへ駆け寄り、六口を怒りに満ちた目で睨んだ。


「さっきの彼女の黒獅子軍への影響力、見たでしょう? 私たちは本来、彼らを一網打尽にできたのよ」六口弥生は一樹へ言い返した。


「関係ない。今日、彼女は死なせない!」一樹は自分の身体でナスティアをかばった。


「松美、カミコ、放しなさい!」ニフェトは二人に退くよう命じた。


「退かないで! これはロシアサーバーの指導者を消す、最高の機会なのよ!」六口弥生は激怒し、二人にカルロフとニーナへの脅しを続けるよう命じた。


松美とカミコは板挟みになり、仕方なく二人を拘束し続けた。


「根絶やしにする必要はないわ、六口。私たちにはロシアサーバーに勝てる力がある。彼らを恐れる必要がどこにあるの?」ニフェトは強く割って入った。


「恐れる必要がどこにあるですって?! さっき私がカスターを警戒していなければ、もう死んでいたのよ! それに、魔都は何度も襲われている。彼らに反抗する力がないと、あなたは言い切れるの!?」六口弥生はニフェトと真正面から怒鳴り合った。


「アンドリア! あなたも何か言って!」ニフェトは六口弥生を説得しきれず、アンドリアに助けを求めた。


「彼女は正しいわ。さっきロシアサーバーの主力を一網打尽にしていれば、彼らはおそらく二度と反抗できなかった。あなたの望む平和は、それで達成されていたはずよ」アンドリアは眉をひそめ、不本意ながら六口弥生の意見を認めた。


「ナスティアがいなければ、俺たちはどうやって神殿のキーストーンを手に入れたんだ? どうやってグズが転送門だと知ったんだ?! 彼女は俺たちを騙さず、誠実に協力してくれた。勝つためなら、俺たちは約束を破る卑怯者になってもいいのか?!」一樹は矢継ぎ早に言い放ち、怒りを六口弥生へ叩きつけた。


「松美、カミコ!!! 早く放しなさい!!!」ニフェトは憤然と怒鳴った。


「正直に私の考えを言います。ニフェト、論理的に分析すれば、彼らを皆殺しにすることがこちらの利益を最大化します」カミコは眉をひそめて言った。


「ひひっ、何を怖がってるんだよ……認められたいのか? ははははは!」カスターは六口弥生の心の守りの弱点を見抜き、彼女が迷っている理由を理解した――彼女は仲間に嫌われるのを恐れている。


その揺れる眼差しは、まさに孤独を恐れる者の目だった。


六口弥生は怒りで全身を微震させ、カスターを睨みつけた。


「こんなに多くの奴に嫌われてるんだ。大人しく引っ込んで、面子を残したほうがいいんじゃないか?」カスターはさらに追い打ちをかけた。


「少し黙っていて」ナスティアは彼に耳打ちした。


「彼女はすぐに折れる。その隙に逃げるぞ」カスターはすでに影粉を一握り取り出していた。ナスティアはすぐにうなずいた。


「あなたに私たちの何が分かるの?! 黙りなさい!」六口弥生は怒鳴った。


「冷静になれ……今ここで俺たちを殺したら、お前の立場が悪くなるぞ。こんなに大勢に嫌われて、どの面下げて? こんなに大勢に嫌われて、楽しいか? ゲームでも嫌われるなんて、人生失敗しすぎだろ。もしかして現実では友達がいないから、ゲームの世界で友達を探してるのか? 図星か? はははは! ただの負け犬――」カスターの笑いはどんどん度を越していき、突然、パシンと音がした。


六口弥生は突然、触手めいた血管を解き放ち、カスターの口内へ強引にねじ込んだ。


一樹とナスティアは愕然としたが、血管を切るための刃物がなかった。


六口弥生はカスターを強引に手前へ引き寄せ、その顔面を片手で鷲掴みにした。


「あなたはなかなか賢い……けれど、見誤ったわ。私の覚悟は、あなたの想像なんか遥かに超えている……」六口弥生は感情の消え失せた冷徹な目でカスターを見つめ、低く言った。


「私たちは、いる階層が違うのよ……」彼女はそのまま、彼の頭部を握り潰した。


【システムメッセージ: フレンド カスター HP残り0%】


「いやああああああああああああああああああ!!!」ナスティアはそれを見て崩れ落ちるように泣き叫び、薔薇水晶の杖を抜いて狂ったように吠えた。

……



六口は、やはり手を下したか……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。