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歪みきった征服ゲーム――見えない魔王を一緒に討伐しよう!  作者: 純白
【第二部】 第十五章——悪魔の贈り物
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264 幻想が瓦解する瞬間

「ヴァシリ様! ギルド塔前の大通りに黒い旗が現れました!」衛兵が反乱軍のギルドホールに駆け込んできた。


「黒い旗だと? ミノーヴァに忠誠を誓う連中は、もう全員始末したはずだが」


「黒い竜の翼の紋章です! 先頭は緑のローブの女魔導士……黒邪翼の連中です!」


「黒邪翼……緑ローブの女魔導士……ナスティアか。死にに来たか! ははは! 全員ついて来い!」ヴァシリの号令で、五十人以上が一斉にプラムス高塔の下層へ駆け下りた。


塔の門が重々しく開き、ヴァシリは部隊を率いてナスティアの前に立った。

「勇気があるのか、それともただの馬鹿か? 十人にも満たない人数でここに戻ってくるとはな」


「ミノーヴァに会わせて。サーバーの存亡に関わる情報があるの」ナスティアは眉を寄せて言った。


「簡単に信じると思うか、ナスティア?」ヴァシリは問い返した。


ナスティアは薔薇水晶の杖を掲げ、それをバッグに収めて敵意がないことを示した。ヴァシリは眉を上げ、他の仲間たちを見回した。


「これはサーバーの命運に関わる、極めて重要な話よ。どうしてもミノーヴァに会う必要がある」ナスティアは強く言い切った。


「実は……ミノーヴァ様は先日、暗殺者に襲われてな。今は療養中だ。話の内容を簡単に聞かせてくれれば、私から伝えてやろうか?」ヴァシリは反乱の事実を隠し、作り笑いで言った。


「ミノーヴァが暗殺……やっぱり起こっていた……」ナスティアは迷い、不安が胸に広がった。

...


かつて黒邪翼のものだったギルドホールは、今や見る影もない。


ナスティアは壁に掛けられた数メートルもあるムー大陸の地図を見つめた。そこには、かすかに自分の筆跡が残っている。この地図はヴラジーミルと共に自ら描いたものだった。ダンジョンの位置、ワールドボス、さらには鉱山に至るまで、すべてが一目で分かる。


「魔王があなたに接触し……自分の陣営に引き込もうとした。だからあなたは幽語の森からプラムスへ戻り、内戦を止めさせて、魔都を共同で攻めようとしている……?」ヴァシリは十指を組み、顎に当てて考え込んだ。


「そうよ。ミノーヴァに会わせてもらえる?」


「慌てるな……ナスティア。まずは私の疑念を消してもらおう。」


「私は危険を冒して戻ってきたのであって、あなたみたいなザコと雑談しに来たんじゃない。さっさとミノーヴァを呼びなさい!」

ナスティアは堪忍袋の緒が切れ、怒りに任せて机を叩き、怒鳴った。


「落ち着け……ナスティア。大声を出しても何も変わらないだろう。」ヴァシリは苦笑した。


「ミノーヴァはどうなったの?」


「正直に言おう。ミノーヴァ様は反乱軍があなたを追撃することを必死に止めていた。その結果、一部の過激派に暗殺されかけたが、幸い我々が反乱者を退けた。ミノーヴァ様はもう使者とは会わないと決め、すべての案件は私が受け、彼女へ報告することになっている。」

ヴァシリは厳しい顔で言った。老練な眼差しが、その言葉に説得力を与えていた。


「反乱軍が反乱軍を討つとは、面白いな。」黒邪翼のメンバーが嘲笑した。


「どうやら、あなたはプラムスを立派に治めているようね。商店街は閑散、プレイヤーは四散、王都に特色はなく、ギルドの力は少しずつ衰え、最後は他のギルドに倒される。そして私たちのサーバーは、終わりのない攻城戦の輪廻に落ちる。」ナスティアは皮肉った。


「それが自由の代償だ。誰もが自分に責任を持ち、自分のためだけに責任を負う。ずっと特権階級にいたあなたには、自由の尊さなど分からない。当時の新米たちの生活がどれほど退屈で苦しかったか知っているか? ログアウトしたまま戻ってこなかった者も多かった。」ヴァシリは不満げに反論した。


「だから私たちは魔王に実力で遅れを取ったのよ、井の中の蛙ね。まだ質問があるなら手短にして。」

ナスティアは耐え切れず、足を組み、腕を胸の前で交差させ、防御を固めるような態度を取った。


「なぜ我々を助ける?」ヴァシリは再び、深く老練な眼差しでナスティアの魂を貫くように問いかけた。


ナスティアの胸がきゅっと痛み、込み上げる思いで顔を上げた。

「結局、私たちは同じサーバーの仲間だから。ロシアサーバーを立て直すこともヴラジの遺志だった……あなたたちを憎んでいても……私はそのすべてを裏切れない……」


ヴァシリはナスティアを見つめ、思わず鼻で笑った。表情には軽蔑が浮かんでいた。

「もっと正直になれ、ナスティア! もう少しましな嘘を考えられないのか? はははははは!」


他の反乱軍も忍び笑いを漏らした。


「どういう意味?! 私はここまで頭を下げて説明してきたのよ。事の重大さを分かっているの?!」ナスティアは怒りに震えながら立ち上がり、ヴァシリを指差して罵った。


「なんて立派な口実だ。ヴラジがそこまでサーバーを思っていたなら、自分の経験値を分け与え、黒邪翼のギルド倉庫を開放して、プレイヤーたちが必要な装備を自由に持っていけるようにするべきだっただろう!」

ヴァシリも立ち上がって言い返し、二人はデスクを挟んで睨み合った。


「ふざけないで! ヴラジが私たちのサーバーのためにどれほど犠牲を払ったか、あなたに分かるの?! 人の尻を追いかけて得だけ拾う雑魚のくせに!」

ナスティアは怒りで拳を強く握りしめ、大広間の気温が急激に上がった。


「図星を突かれたか? サーバーの名を盾に他のプレイヤーを搾取し、実際は自分を王に仕立て上げただけだ! 当時はサーバーの名誉を理由に他サーバーへ侵攻し、今度はサーバーの存亡を理由に自分の命を守らせる。お前もずいぶん甘いな、ナスティア!」

ヴァシリは怒鳴り、ドンと一枚の木札を机に叩きつけた。


ナスティアは身を乗り出してそれを見た。顔色が一気に青ざめる―――「Настя  предателем  ловушка」(ナスティア 裏切り者 罠)


「ナスティア 裏切り者 罠。読めないなら教えてやろうか? 幽語の森の木にこれが刻まれていたと報告が相次いでいる。どうやらお前は魔王と組んで、ずいぶん人を殺したらしいなぁ~偉大なるナスティア様!」

ヴァシリはわざとらしい口調で挑発した。


「違う! 私はそんな約束してない……他の連中に濡れ衣を着せられただけよ!」

ナスティアは激昂して叫んだ。


「誰にだ? お前を暗殺しに幽語の森へ向かった連中か? 答えろよ、偉大なるナスティア!」


「ミノーヴァ……ミノーヴァに会わせて……」

ナスティアは声を震わせた。


「いや、お前は誰にも会えない……もう誰にもな!」

ヴァシリは邪悪に笑い、ゆっくりと近衛兵の後ろへ下がった。


「どういう意味よ?! ヴァシリ! ミノーヴァに会わせなさい!」

ナスティアは背後に手を回し、いつでも薔薇水晶の杖を抜けるよう構えた。


「なぜなら……俺は……反乱軍だからな。情報、感謝するぜ。はは!」

ヴァシリは高笑いしながら、勢いよく手を振り上げた。


「ナスティア様!!」

部下が叫ぶ。彼女の後頭部に赤い光が止まっているのを見て、すぐに飛び込んだ。


パンッ!


飛び込んだ部下の頭部が撃ち抜かれ、その返り血でナスティアの半身が赤く染まった


時間が凍りついたように止まる。壁一面に、無数のスコープの赤い光が浮かび上がった。


ヒュッ――パパパパパパパパパパパパパパ!


すべての窓が一瞬で粉砕され、室内は血肉が飛び散る地獄と化した。


反乱軍の大口径弾に撃たれた者は、瞬時に身体が砕け散る。


ナスティアは本能的にしゃがみ込んだ。頭の中が真っ白になる。


仲間たちの、ようやく修復したばかりの装甲が蜂の巣のように撃ち抜かれ、穴という穴から血が溢れ出し、やがて光の粒となって消えていく。


無表情のまま涙が溢れ、呆然と顔を上げた。


カルロフはマントを翻し、魂喰の大剣を振り回す。他の三人も敵の盾壁へ突っ込み、必死に斬りかかる。


砕けた木片が舞い、火花が散る。すべての光景がスローモーションのように流れ、世界の音が消えていく。


ナスティアが守ろうとしたすべてが……逆に彼女のすべてを喰い尽くしていく……


白い閃光が走る。


ドン!!


室内の温度が一気に氷点下へと落ち、床に霜が張り始めた。


「全員殺す!!」

ナスティアは幻光を放つ薔薇水晶の杖を抜き、咆哮した。


「ナスティア様……落ち着いてください!」

カルロフは、彼女がここで敵と心中する覚悟を決めたと悟った。


「対魔加護を使え! ここで足止めすれば、狙撃で仕留められる!」

ヴァシリが叫び、反乱軍は一斉に抗魔ポーションを飲み干した。


「消えろ! このクズどもが!!」

ナスティアは狂ったように叫び、巨大な魔法陣を展開した。


その瞬間、狙撃手たちはすでに次弾の装填を終え、引き金を引こうとしていた………


プツッ――


現場にむせ返るような煙が立ちこめ、狙撃手の視界を遮った。


ナスティアが白い魔砲を放とうとした瞬間、右から異様な力が叩きつけられ、魔砲の軌道が逸れ、城壁上に潜んでいた狙撃手数名を吹き飛ばした。


「落ち着け!ナスティア!右側の城壁の狙撃手は全部始末した!窓から一緒に逃げるぞ!」

マスクを着けたカスターが煙の中でナスティアの手を掴み、焦って叫んだ。


「いや!私は殺す……!」

ナスティアは激しくもがき、獣のように咆哮した。


【システムメッセージ: カルロフ パーティーから離脱】


「スタンブロー!」


ドン。


カルロフは苦渋の決断を下し、ナスティアの首筋を打って気絶させた


「全員は連れて行けない!」

カスターはナスティアを抱えたまま、他の仲間を背負って逃げることができない。


「ロープがある!竜尾湾の樹皮で作ったやつだ、めちゃくちゃ丈夫だ!」

カルロフはすぐにロープを取り出した。


煙が薄れ始め、反乱軍が迫ってくる。


「固定できる場所が必要だ……!」

カスターは焦りながら周囲を見回す。


部屋には砕けた木片しかなく、固定できるものは何もない。


ガキン!


一人の狂戦士が両手剣を床の石に突き刺し、ロープをそこに引っかけた。


「行けぇ!!」

狂戦士は叫び、狂信状態のまま素手で前方の反乱軍へ飛び込んだ。


煙の中で、すぐに血しぶきがいくつも弾けた。


「行くぞ!」

カスターはナスティアを背に縛りつけ、ロープを掴んで滑り降りる。カルロフと最後に生き残った魔導士も続いて脱出した。


狂戦士の最後の姿は、ただの一筋の光の粒となって………




反乱軍があまりに残酷なのか、それともナスティアが甘すぎるのか……。まったく、困ったものですね……


次回、超展開を約束します!

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