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歪みきった征服ゲーム――見えない魔王を一緒に討伐しよう!  作者: 純白
【第二部】 第九章—— 共生契約
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237 自業自得

城戦が近づき、銀龍の刻印の大部隊は本サバへ戻り、防衛準備に入った。現在、ロシアサーバーの魔王制御室には二十数名しか残っていない。


「森にプレイヤー三名侵入!」監視役が叫ぶ。


「職業とレベルは!」六口は銀羽蜻蛉を飛ばしながら問い返す。


「バーサーカーが二人、もう一人は布装備で不明!」


「七隊、九隊、十隊、発進して迎撃!」


湖面が銀色に波打ち、無数の蜻蛉が羽ばたいて飛び立った。


三人はランタンを手に、広い馬車道を離れ、闇の中、腰の高さまである麦畑へ踏み込み、そのまま森へ向かった。


「おい……その情報、確かなんだろうな?ハゲグと幽語の森の間の林に、そんなデカいトンボなんていなかったはずだぞ?」狂戦士が前方の草を槍で払いながら言う。


「間違いない!数日前の深夜、この森で黒髪のゾンビに追われてさ、慌ててこの林に逃げ込んだんだ。あいつ、動きが鈍くて木に引っかかって、口の中でゴニョゴニョ何か喋ってた。隙を見て木々の間を抜けたら、墨みたいに黒い湖があって……中に指ほどの大きさの米みたいなものがびっしり生えてたんだ。ほら!」魔導士はリュックから透き通った大きな米粒を取り出した。


「これ……虫の卵?」女狂戦士は嫌そうに言い、大剣でランタンを遠ざけた。光に虫が寄ってくるのを避けるためだ。


「その通り!魔法アカデミーで鑑定してもらったら、銀羽蜻蛉の卵で、中に少量の高純度の魔力液が入ってるって!」魔導士は興奮気味に言う。


「高純度の魔力液だと?!今じゃ一本でほぼ80竜貨だぞ!銀羽蜻蛉って何だ、聞いたことないな。」狂戦士が問い詰める。


「大体腕くらいの大きさで、全身が銀色の装甲で覆われてる。あの夜、湖の周りはトンボの死骸だらけだった。体が丸まってて、力尽きたみたいだったな。」


「他のプレイヤーは知ってるの?」女狂戦士が聞く。


「分からない。この情報、もう広まり始めてるかも。黒邪翼が倒れた今、プレイヤーは自由に動けるし取引もできる。絶対に人が集まる。急がないと!」魔導士は焦るように言った。


三人は生い茂る暗い森へ踏み込む。視界はわずか三メートル。

木の幹の間を体をねじって進むしかなく、手や腕にはいくつも擦り傷ができた。


ジジ……


「聞こえたか?」狂戦士がぴたりと動きを止め、耳を澄ませる。


「すぐ前だ……早く……」魔導士は枝にローブを引っかけながら、必死に前へ進んだ。


ジジジジ~~~


「違う……来るぞ!」狂戦士が叫ぶ。


前方の森の隙間に、星のような銀光が瞬いた。次の瞬間、複数の銀羽蜻蛉が群れとなって襲いかかる!


「全滅したって言っただろ?!」狂戦士は驚き、すぐに槍を構えた。


「そんなの分かるかよ!」魔導士は孵化周期を見誤り、生きた虫族に遭遇するとは思ってもいなかった。


狂戦士は横薙ぎに斬り払う。しかし刃は硬い何かに弾かれ、カンカンと音を立てる。


「やばい!」想定外だった。銀羽蜻蛉の戦闘力は、予想をはるかに上回っていた。


「目を狙え!」六口が叫ぶと、蜻蛉の群れが一斉に襲いかかる。


「やめろぉ~!」

「うわあああああ!!!」


深夜の森に、凄惨な悲鳴が響き渡った。


涼しい風が、暗い麦畑を撫でる。波打つ草の中に、ひとりの女魔導士が現れた。


地面に伏せ、顔は蒼白。手にしていた薔薇水晶の杖は各所が砕け、肩には二本の矢が突き刺さっている。傷口には紫の血の筋が浮かび、重い毒に侵されていることが分かる。


ヒュッ――


揺れる麦の中から、一本の毒矢が放たれた!


女魔導士は間一髪で氷の盾を展開し、防ぎきる。カン、と音を立てて盾は砕け、雪のように崩れ落ちた。


「ナスティア様!!どこですか?!追手はもう全部始末しました!」カルロフの力強い声が広い麦畑に響き渡る。


ナスティアは呼び返そうとしたが、すぐに口を閉じた。もしこのカルロフが敵の夢葬者による変装だったら――。


背後の草むらから、サラリと擦れる音がした。


ナスティアは即座に振り向き、白の矢を放つ。しかし、そこには誰もいない。


「しまった!」ナスティアは息を呑む。放った光の矢で、自分の位置をさらしてしまった。


「急所スキャン!」「不浄の力!」影鬼が草むらから飛び出し、短剣を振り上げて突きかかる。


もう遅い。刃はすでに目の前まで迫っていた。


「影縛り。」


次の瞬間、麦畑から黒い縄が幾本も噴き出し、影鬼を絡め取って地面へ叩きつける。


「な、なんだこれは?!」影鬼は縛られたまま、ずるずると草むらへ引きずり込まれていく。


草が激しく揺れ、その中から声が響いた。

「呪われた黒王の双刺……まさかお前は?!」


やがて草むらは静まり返り、淡い光の粒が漂う。そこから、青髪の謎の男がゆっくりと姿を現した。


死の淵から間一髪で逃れたナスティアは、荒い息を吐きながら麦をかき分け、必死に身を隠した


「ふん……一撃で仕留められると思ったがな。やれやれ、腕が鈍ったか。」男は短剣を収め、体についた光の粒を払い落とした。


その場に立っているだけで、不気味な圧迫感を放っている。ナスティアは息を潜め、身動き一つできない。


「ナスティア様!どこですか?!」カルロフの声はすぐ近くまで迫っていた。ナスティアは慎重に麦をかき分けて覗き込み、魂喰大剣から立ちのぼる紫の邪気を確認する――偽装などできない、本物だ。


だがカルロフはどんどん近づいてくる。ナスティアは内心焦る。この青髪の男と鉢合わせたら――。


その瞬間、背筋が凍った。青髪の男が、音もなく消えていた。

「まずい……目を離すべきじゃなかった!」


すぐ隣の麦がふっと揺れる。気づけば、男はすぐ横に立っていた。


ナスティアは目を見開き、声も出ない。この距離では反撃など不可能。


「きゃあ!!」


「ナスティア様!!」カルロフは戦車のように麦畑を押し分けて突進してくる。しかし目にしたのは、青髪の男が穏やかにナスティアを支えている姿だった。


「相変わらず頭は成長してないな……カルロフ。」男は冷笑する。


「カスター?!なんでここに?」カルロフは驚きながらも、すぐに警戒を解いた。


「カスター……?」ナスティアはその名を知らない。


「ふん、知らないのも無理はない。恐怖の王、ヴラジーミルの副官――ナスティア様ともあろう者が、ギルドの隠密部なんて気にするわけがないからな。」カスターは嘲るように言う。


「隠密部は黒草原の決戦でチャイコフと一緒に逃げたはず……ってことは、お前は……反乱軍か?!」カルロフは咄嗟にカスターを突き飛ばした。


しかしカスターは幻のようにその場から消え、次の瞬間にはナスティアの背後に立っていた。


「今ここでナスティアを殺そうと思えば、何秒持つと思う?くくっ……」


「やってみろ!!」カルロフは激昂し、大剣を振り上げて斬りかかった。


「お前、本当に頭のネジが一本足りないな。もう殺気は隠してやってるのに、何を警戒してる?」カスターは白けた目でナスティアを放し、不機嫌そうに言った。


「あ……そっか!」カルロフはようやく気づき、ゆっくりと大剣を下ろした。

「なんでお前がここにいるんだ?」


「反乱軍には入ってない。むしろ自由を満喫して、あちこち遊び回ってただけだ。途中で伏兵の一隊がここで誰かを待ってるのを見かけてな、面白そうだから残って見てたら、獲物がナスティアだった。じわじわ追い詰めてるくせに、連携は穴だらけ。それでいて完璧に噛み合ってるつもりらしい。見てられなくて、つい手を出して殺してやっただけだ。」カスターは肩をすくめて笑った。


「失礼よ、カルロフ……」ナスティアは目で彼をたしなめた。


「どうしてこんな惨めなことになってる? 氷嵐の女が追い詰められて、危うく野垂れ死にするところだったとはな。哀れなもんだ。」カスターは冷笑しながら訊ねた。


「黒邪翼の残兵三十人を集めて、どこかでやり直そうと思っていたの。でも反乱軍が、城戦終了後に非戦闘エリアを出るのを待って襲いかかってきた。私たちは総崩れになって、最後はここまで逃げてきた。」ナスティアは暗い顔で言った。もう何も失うものはない。だから彼女は、カスターに隠さず話すことにした。


「что посеешь, то пожнешь(自業自得)」カスターは鼻で笑った。


「助けてくれてありがとう。正直、何も返せないわ。ここでお別れね。」ナスティアは軽く頭を下げ、カルロフとともに立ち去ろうとした。


「おい~」カスターが不意にナスティアを呼び止める。


「最近、あの森に銀羽蜻蛉が出る。あいつらの卵は高く売れるが、蜻蛉そのものもかなり強い。もし落ち着いてギルドを立て直せる場所を探してるなら、この森に行け。あの湖を見つけて、資源を独占して育てろ。」カスターは麦畑の中に立ったまま言った。風に揺れる暗殺者の外套が、彼の神秘性をいっそう際立たせていた。


「銀羽蜻蛉……まさか?!」ナスティアは、銀羽蜻蛉の群れが海賊を倒すのを助けてくれたことを思い出す。だが、戦艦がムー大陸の海域へ戻ったあと、あの群れは消えてしまった。

「どうして私を助けるの?」


「自業自得だ」カスターは微笑んだ。



こういう男は、味方でも敵でも本当に面倒なんですよね……

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