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歪みきった征服ゲーム――見えない魔王を一緒に討伐しよう!  作者: 純白
【第二部】 第九章—— 共生契約
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236 獅子のような殺気

竜狩り団は損傷した戦艦を操って竜尾湾りゅうびわんへ戻った。


ナスティアは上陸すると残存部隊を率い、休む間もなくプラムスへ引き返す。


だが、かつて繁栄を極めたプラムスの街は、すでに見る影もなかった。


血痕にまみれた城壁は砲撃で崩れ、弾痕だらけになっている。城内も瓦礫の山と化し、廃墟のあちこちから黒煙が立ちのぼっていた。


そして、城壁に掲げられていた黒邪翼のギルド旗は、もう消えていた――つまり、プラムスはすでに陥落していたのだ。


「間に合わなかったか…………」カルロフは変わり果てたプラムスを呆然と見つめた。


「…………」ナスティアは何も言わず、沈んだ表情で背を向ける。


「ナーナ!」城内から、親しげにその名を呼ぶ金髪ショートの女プレイヤーが駆け寄ってきた。その後ろには、整然と隊列を組んだ重装兵たちが続いている。


「ミノーヴァ……」ナスティアは振り返り、無表情のまま言った。


「わざとプラムスを明け渡したんでしょ?!」ミノーヴァは熱っぽくナスティアの両手をつかみ、問いかけた。


「まだ何か言いたいことがあるの……」


「黒邪翼のギルド倉庫、全部空にして、城戦に参加したプレイヤー全員に分配したの! これでこのサーバーの戦力は均衡を取り戻す。プレイヤーはやっと自由に発展できるようになるんだよ! これ、全部あたしたちの功績なんだよ!」ミノーヴァは興奮した様子でまくしたてた。まるで妹のように、ナスティアに認めてほしがっている。


「ふん……じゃあね……」ナスティアは冷笑を漏らし、黒邪翼の残党を連れて背を向けた。


「待って、ナーナ! 私のギルドに入らない? 経験のある管理役が必要なの! あなたはもう帰る場所がないんだし、いっそ私のギルドに入ればいいじゃない。そうすれば次の城戦で、またサーバーを統一できるよ!」


「頑張って……」ナスティアは振り返りもせず、自ら築き、自ら治め、そして最後には自ら失った都――プラムス中央要塞を後にした。



本サバ――


【システムメッセージ: バレンタインデーがもうすぐやってくるよ!


公式イベントとして、ワスティン舞踏会を開催します。


すべてのプレイヤーに舞踏会の招待状が一枚配布されます。招待する場合も、招待を受ける場合も、それぞれ招待状を一枚消費します。ぜひペアでご参加ください!


当日は豪華なプレゼントもご用意しています。もし参加したプレイヤーがベストカップルコンテストで優勝した場合、アイテム『蜜月の鍵』を獲得できます。


『蜜月の鍵』を使えば、期間限定一夜限り、二人だけのために用意された専用エリアを開くことができます。専用エリアの中では、プレイヤーはGM級の権限を得ます! モンスターの創造、都市の建設、そして何より、R-18け内容も制限されません。専用エリアでは、あなたのパートナーと――あるいは普段から気になっているNPCとさえ――デートできちゃうかも~。


めったにない機会ですので、ぜひ奮ってご参加ください! 舞踏会で皆さんに会えるのを楽しみにしています! ありがとうございました】


【システムメッセージ: 舞踏会の招待状 一枚獲得】


「うわあああああ!!」ムー大陸全土が歓声に包まれ、プレイヤーたちは一斉にその話題で持ちきりになった。


「えっ?! R-18け内容が制限されないの?!」柑々はその一文を聞いた瞬間、顔を真っ赤にし、背筋がひやりとした。


十人以上の男プレイヤーが、すでに招待状を手にして、よだれを垂らしそうな顔でじりじりと彼女へ迫ってくる。


「ま、待って……わ、私は……」柑々は青ざめ、美しい顔を引きつらせながら、そっと厨房の扉へ手を伸ばした。


「柑々様!!どうか俺とデートしてください!!」

「ダメだ!!俺とだ!ブラックパールの頃からずっと憧れてたんだ!!」

「てめぇ何様だ?!順番で言えば柑々様は俺と行くべきだろ!」

「バカか!女神を誘うのに順番なんて関係あるか!!」

「文句あんなら来いよ!!」


ドォン~~~


男たちは一斉に黒マントを羽織り、厨房で乱闘を始めた。皿や茶碗が飛び交い、まるで投げナイフのように互いに投げつけられる。


柑々が用意していたローストチキンや燻製魚は床に叩き落とされ、そのまま踏み荒らされた。


「ちょっと!!あんたたちいい加減にしなさいよ!!」柑々はついに堪忍袋の緒が切れ、分身をいくつも出して止めに入る。だが、増えた柑々を見た彼らはさらに興奮し、あちこちで破壊を始めた。


厨房が爆発寸前になった、その時――――


ドン!


木の扉が蹴り破られ、暴れていた男の一人が、蹴破られた扉とともに壁へと吹き飛ばされた。


「柑々様の言葉が聞こえないのか……持ち場に戻れ。」雨間刻は低く言い放った。その威圧に、他のプレイヤーたちは凍りつき、すぐに騒ぎを止めた。


「次は容赦しないからね!仕事に戻りなさい!」柑々は怒鳴りつけ、厨房はすぐに元の秩序を取り戻した。


柑々と雨間刻は管理室に入り、壊れた食材を確認しながら、代替メニューや狩りの手配について話し合う。


「ありがとう……でも、今日は当番じゃないよね?どうして外に行ってレベル上げとか、ドロップ狙いをしないの?」柑々は不思議そうに尋ねた。


「構わない。必要なものはもう揃っている。欲しいものは……手に入らない。」


「そ、そうなんだ……」柑々は慌てて忙しそうに振る舞い、話題を逸らそうとする。


「柑々様……」雨間刻の声が、ふと優しくなる。


「ん?」柑々は額に汗をにじませ、彼を直視できない。


雨間刻はそっと柑々の腕に手を添え、立ち上がらせた。


「な、なに?」柑々は視線を逸らし、机の上を意味もなく指でなぞる。


雨間刻は舞踏会の招待状を机の上に置いた。柑々はそれを見ないふりをしたまま、体が固まる。


「……俺のパートナーになってくれないか。」


「それは……」柑々は眉をひそめ、戸惑いながら雨間刻を見た。


彼はそれ以上何もせず、ただ静かに立ち、答えを待っている。


「わ、私……あなたの顔もちゃんと見たことないのに、いきなり……」柑々は荒道一狼をパートナーと決めていたため、二人が衝突するのを避けようと、必死に言い訳を並べた。


雨間刻は騎士が姫に跪くように膝をつき、両手で黒鋼の兜を外す。


さらり――黒い長髪が絹のように流れ落ちた。


白い肌、深紫の瞳、高く通った鼻筋、エルフのように整った顔立ち。


柑々は思いがけないその美しさに息を呑み、しばし見惚れる。

「かっこいい……」


荒道一狼の荒々しい外見とは対照的に、雨間刻はまるで気品ある貴族のようだった。


雨間刻は無表情のまま、誠実な眼差しで招待状を差し出す。


柑々の胸はドキドキと激しく鳴り、静まり返った部屋の中で自分の鼓動がはっきり聞こえる。頬は熱く、真っ赤に染まっていた。


彼女は招待状を見つめたまま、苦しい思考の渦に沈む――――


ガチャ、と扉が開く。


「ハニー~厨房でさ……」荒道一狼が入ってきた。そして、雨間刻が兜を外し、柑々の前で跪いているのを目にする。


一瞬――


「やったああああ!!これだよこれ!!」柑々は耳をつんざく歓声を上げ、雨間刻の招待状をひったくった。


荒道一狼は扉の外で二人を呆然と見つめていた。雨間刻は眉をひそめ、立ち上がる。


「さっきの厨房の騒ぎで招待状を落としちゃって……雨間くんが一緒に探してくれたんだけど、見つからなかったの! だからこれ、彼が譲ってくれたんだよ!」柑々は大げさな表情で、雨間刻の招待状を荒道一狼の前に差し出した。


「へぇ~そうなのか~?」荒道一狼は口元を歪め、目を細めて雨間刻を見る。


「そうそう~ほら、一言言って。」柑々は目で必死に訴え、雨間刻に合わせるよう促した。


雨間刻は暗い表情で頷く。


「ははっ!さすがザコ長だな!チャンスを捨てて、俺とハニーのデートを優先してくれるなんてよ!」荒道一狼は豪快に笑い、柑々の細い腰を抱き寄せた。


雨間刻は顔を背け、そのまま部屋を出ようとする。しかし、荒道一狼は肩を押さえた。


二人は視線をぶつけ合う。その眼には、獅子のような殺気が宿っていた。


「どけ。」雨間刻が言う。


「まぁ待てよ~ザコ長。お前、ハニーに招待状を渡したんだよな?」荒道一狼は笑みを浮かべたまま問う。


「……ああ。」


「ハニー、バッグ見せてくれ。」荒道一狼は大股で部屋に入り、ドンと扉を閉めた。


柑々は氷に閉じ込められたように震えながら、ゆっくりとバッグを取り出す。


「ご苦労。」荒道一狼はそれを受け取り、雨間刻に冷たい笑みを向けてから中を探り始めた。


柑々と雨間刻は目を合わせる。二人とも嫌な予感を感じていた。


「おっと!見つけたぞ!不用心だな、ハニー。」荒道一狼は大げさに言いながら、バッグの中から一通の招待状を取り出した。


「ま、待って……聞いて……それは……」柑々は震えながら言葉を絞り出す。


「シー……分かってる。ただの勘違いで落としたと思ったんだろ?」荒道一狼は微笑んだ。


「そ、そうそう!それ!」柑々は必死に頷く。


「ふん、ならいい。ザコ長……お前の招待状はもうハニーに渡したんだよな?」


雨間刻は肩をすくめ、無関係だという態度を取る。


「よし、それでいい。」荒道一狼は悪魔のような笑みを浮かべた。


【システムメッセージ: アイテム 舞踏会の招待状 を破壊します。(Y/N)】


Y。


ビリ……ビリ……


荒道一狼はその場で、雨間刻の招待状を引き裂いた。


雨間刻の胸に怒りが爆発する。


「ははっ!ご苦労だったな。余計な道具も人間も、全部排除しないとな?」荒道一狼は笑った。


「…………」雨間刻は何も言わない。


「じゃあなハニー、邪魔して悪かった。さっきは柑々を守ってくれてありがとな~ははは!」荒道一狼は豪快に笑い、部屋を出ていった。


柑々はすぐに鏡像を展開し、荒道一狼が隣の看板娘酒場を離れたことを確認する。

「ごめん……私……」


「気にするな……」雨間刻は兜をかぶり直し、冷たい声で言って部屋を出た。


荒れた部屋には、柑々だけが残された。


「はぁ……もう無理だよ……なんでいつも私なの……」



皆さんは、どちらを応援したくなりますか?(〃∀〃)

そして、この修羅場はまだ終わりません。今日はもう一話追加です。

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