220 「…着きました」
魔都の制御室は混乱に包まれていた。
「意識リンクが切れた!?何が起きたの!?」
ニフェトたちは蜂群の視界しか持たない。海蛇の襲撃時も、ぐちゃぐちゃに乱れた映像が見えただけで、何も分からないまま全滅した。
「私が見てくる!」
二号艦にいたアンドリアは、待つのをやめて甲板へ飛び出した。
「なんてこと……」
「この怪物は……!?」
海蛇が再び現れ、ちょうど皮膜を広げて二号艦のマスト上の水夫へ向けた。
「うわあああ!!」
ドンッ――
二号艦は海蛇に巻き付かれ、そのままゆっくりと海底へ引きずり込まれていく。
魔都の大広間は水を打ったように静まり返った。あの悪魔のような姿が、誰の頭からも離れない。
モニターは真っ黒になり、隅に二つの視界だけが残る。
「これで……残ってるのは……俺たちだけ……」
セランがどもりながら言った。
彼とブラミィはずっと旗艦にいて襲撃を受けておらず、唯一生き残った水蛍蜂部隊となっていた。
「セラン、操作可能な働き蜂は何体いる?」
ニフェトが尋ねる。
「一体だけ……俺とブラミィが持ってるのはほとんど普通の働き蜂で、魂憑の機能がない」
セランはプレッシャーを感じながらも、少しだけ真面目に答えた。
「なら……お願い」
ニフェトは仲間を信じるしかなかった。重責を託す。
「任せてください。皆を失望させません」
ブラミィは淡々と言った。その言葉は不思議と頼もしく響いた。
「で……出た……」
松美が息を切らして制御室へ飛び込んできた。
「お、ログインしたのか?」
六口弥生が笑う。
「魔……魔王が出た!!!!」
松美は叫んだ。
大広間は再び完全な静寂に包まれた。
……
「三週間後、ゲームはどう変わる?私たちは魔王城を通ってロシアサーバーに入る必要がある。その時、他サーバーのプレイヤーは魔都を防衛するはず。つまり、実質的に攻城戦をしなければ入れないのか?」
警備担当の加奈が即座に状況を整理し、問いかけた。
【理解は正しい。簡略攻略:本サバの魔王を撃破しなければ、他サーバーへの侵攻は続行できない。注意、四週間連続で侵攻中サーバーの魔都制御室に戻り巣を管理できなかった場合、魔王資格は剥奪され、巣はAIにより管理される】
月子(月子)が答えた。
「はあ!?じゃあ、集めた資源はどうなるんだ!?」
六口が驚いて尋ねる。
【異サーバーで収集した資源――魔力の欠片、鉱石、消耗品、装備などはすべて異空間GMルームに保管される。各サーバーに専用の異空間が存在し、本サバの魔都を再び攻略すれば回収可能となる。再度巣を構築する際、それらの資源を使用して発展できる】
月子(月子)が説明した。
「なるほど……無駄にはならないわけか。じゃあ、今は資源収集を優先するべき?蓄積できるなら安定するし」
ニフェトが提案する。
「月子(月子)、神殿のキーストーンは蓄積できるのか?」
六口はただ一つの点に集中していた――今、探索する価値があるのかどうか。
「あっ、そうか! もし神殿のキーストーンが持ち運べないなら、キーストーン探しと資源集めの時間配分を両立させないといけないんだ」
アンドリアははっとして、六口の意図を理解した。
【ヒントを一つ消費して、神殿のキーストーンの情報を聞きますか?】
月子(月子)が微笑んで尋ねた。
【システムメッセージ: 質問――隠しアイテム 神殿のキーストーンの情報。(Y/N)】
六口は悩ましげにため息をつき、アンドリアとニフェトも頷いて賛成した。やはり神殿のキーストーンはそれほど重要なのだ。
Y。
【アイテム・神殿のキーストーンは保持したまま、他サーバーへ持ち込むことが可能です。それは……】
月子(月子)が説明を始めた瞬間、説明の途中で、場内は歓声に包まれた。沈んでいた士気が一気に持ち直す。
「静かに!」
六口は月子(月子)の説明に全集中し、皆へ黙るよう命じた。
【それは異世界への転送門を開き、あなた方の本体キャラクターを他サーバーへ転送するためのものです。もし侵攻先サーバーの神殿のキーストーンがすでにプレイヤーに所持されている場合、魔王陣営はそのプレイヤーを撃破すれば、自前のキーストーンで転送門を開くことができます。まだプレイヤーに所持されていない場合は、気にする必要はありません。以上が神殿のキーストーンの使用方法です】
月子(月子)がようやく説明を終え、広間の全員は一気に腑に落ちた。
「誰か簡単にまとめてくれない? 長々しい設定を聞くと頭が痛くなるんだけど」
加奈はうんざりした様子で言った。
「一つ、三週間後に本サバの魔王を倒す。
二つ、キーストーンは持ち運べる、だから早く手に入れる。
三つ、同盟相手以外でキーストーンを持ってるプレイヤーは皆殺し。以上!」
アンドリアは得意げにまとめた。
「よし、情報収集の速度を上げましょ~」
そう言ってニフェトは振り返り、モニターに映る海岸の景色を見つめた。
幾層にも重なった真っ赤な雲の下には、一つの大きな孤島があった。
カシスジュースみたいに深紅の海。
奇怪な形をした赤い爪のような樹々。
黒い砂浜――。
「アンドリア様、龍血島に着きました……」
ブラミィの緊張した声が広間に響いた。
…
本サバ――
グズの城の南にある森の細い山道では、荷馬車の隊列が道端の茂みに横転し、荷物は散乱し、人間の衛兵の死体が何体も血まみれのまま地面に転がっていた。
ぬかるみには大きな穴が掘られ、荷馬車には血痕がつき、車輪の一部は焼け焦げている。激しい戦闘があったのは明らかだった。
「…………」
重装甲をまとった雨間刻は馬車のそばにしゃがみ込み、痕跡を探っていた。
「雨間様……」
隣の聖職者が肩を叩く。
道の先には、上半身裸で筋骨隆々の銀髪の大男が立っていた。
「また盗人が来たか……」
銀髪の男は笑みを浮かべ、ボンッと両拳に火を灯しながら、ゆっくりと二人へ歩いてくる。
...
竜血島では、一体どんな冒険が待ち受けていると思う?(ง ˙ω˙)ว




