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歪みきった征服ゲーム――見えない魔王を一緒に討伐しよう!  作者: 純白
【第二部】 第六章——怒れる海の巨獣
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219 血海の氷舞姫

ドンッ、サラサラサラサラ。


ドンッ、サラサラ。


上空には淡い青空に白い雲が二つ浮かび、下には深い海が鮮やかな紺青に広がっている。遠くの波しぶきがきらきらと光を反射し、海面はまるで輝くサファイアのように美しい。戦艦は風を受けて進み、透き通る青の海を白い航跡で切り裂いていく。


艦隊はやがて水流の穏やかな竜尾湾を離れ、波は次第に荒れ始めた。


ナスティアは船室の中で沈んだ表情をしていた。これは賭けだと分かっている。たとえ運よく竜玉を手に入れても、城戦が始まる前に秘薬へと精製し、ヴラジに飲ませなければならない。時間はあまりにも少ない。


「ナスティア様、反乱軍の奇襲に備えて増員しますか?」

水夫が尋ねた。


「必要ない。ミノーヴァと反乱軍の主力はハゲグで城戦の準備をしている。私がこのタイミングで海に出るなんて、想像もしていないはず」

ナスティアは答えた。


「ナスティア様……今回の上陸は、本当に危険ですね……」

水夫は不安げに言った。


「言いたいことがあるなら、はっきり言いなさい」


「龍血島は龍族の拠点だと聞いています。もし連携して攻撃されたら……」


「心配しすぎよ、同志」

ナスティアは苦笑した。


「戦術を教えてください。上陸してからじゃ、もう練習する時間がありません」

水夫は焦って言った。


「無事に上陸できたら、そのとき考えましょう」

ナスティアはかすかに笑った。


涼しい風が頬を撫で、誰も言葉を発せなかった。


出航から二時間、竜尾湾の輪郭はすでに水平線の彼方へ消えていた。


パタン――一匹の水蛍蜂が甲板に落ち、六本の脚を痙攣させる。


「かみこ!!!」六口はすぐにそばへ飛び寄り、慌てて声をかけた。


「う……うぅ……すごく……気持ち悪い……吐きそう……」


「そうだ、初めて船に乗ったんだ」

ニフェトはようやく気づいた。


「どうする?バッグが使えない、応急処置もできない……」

六口は眉をひそめた。


「大丈夫……少し……横に……な/な/な/な/な/な」

かみこが言いかけた瞬間、全員の通信にラグった。この現象は大量のデータ転送時にしか起きない――


ドンッ!!


船体が激しく揺れた刹那、かみこと六口を含む四隊の水蛍蜂は同時に意識を失った。


最後尾の戦艦の左舷に巨大な穴が開き、冷たい海水が一気に流れ込む。


カンカンカンカン!水夫たちはすぐに警報鐘を打ち鳴らした。


「うわああ!!逃げろ!!」

船内では悲鳴があちこちから上がる。


静寂だった艦隊は一瞬で騒音の渦に包まれ、断末魔と木材が砕ける音が混ざり合い、地獄のような音楽を奏で始めた。


「何が起きた?!」

先頭の旗艦にいたナスティアが甲板へ駆け上がり、後方を確認する。


「三号艦が襲撃されました……海蛇です!」

水夫は震える声で報告した。


甲板に、一瞬の静寂が落ちる……。


「狙撃手、配置につけ!両舷の砲、装填!見張りは何をしていた?!」


ザバッ――。

太い巨木のような海蛇が海面を突き破って現れた。全身は深い青の艶やかな鱗に覆われ、腹は淡い黄白色。巨大な頭部が三号艦に突っ込み、内部を破壊し尽くす。船体はほぼ空洞化し、三十名近いプレイヤーが跡形もなく消えた。


右舷の海面から、二十メートル近い尾が突如そびえ立つ。それはまるで突然現れた高層建築のようだった……そしてゆっくりと倒れ込む。


ドゴォン!!

尾が戦艦に叩きつけられ、船体に深くめり込んだ。


海蛇は頭を引き抜き、正面をさらす。尖った三角形の頭部から紫色の舌が伸び、歯の隙間から海水が滝のように流れ落ちる。砲弾のような黒い瞳が、三号艦の甲板に立ち尽くすプレイヤーたちを見下ろしていた。


やがて大きく口を開き、両頬が扇状に広がり、血管の浮き出た膜が震える。まるで古代の獣のように威嚇の咆哮を放った。


「シャァァァァァァ――!!」


「うわああああ!!」

三号艦のプレイヤーたちは戦意を完全に失い、次々と海へ飛び込んで逃げ出した。


「撃て!!」


二号艦と一号艦がようやく転舵を終え、三号艦へ向けて一斉砲撃を開始する。


一部の砲弾は海蛇の滑る鱗に弾かれ、火花を散らした。だが残りは確実に命中し、蛇体に傷を刻む。血が飛び散り、三号艦の甲板は濃い赤に染まり、強烈な臭気が立ち込めた。


「グルルルルル……!」

海蛇は振り返り、襟膜を広げて二号艦の水夫たちを威嚇する。彼らは小動物のように震え、冷や汗を拭った。


「狙撃手、目を狙え!撃て!!」

ナスティアの号令とともに、銃弾が一斉に海蛇の眼へと集中する。海蛇は苦痛に顔を背け、そのまま水中へ潜り込むと同時に尾で三号艦を締め上げ、強引に海へ引きずり込もうとした。


「すぐに救命筏を降ろせ!水面の負傷者を救助しろ!その後、全速離脱だ!!」

二号艦の艦長が命令を下した。


三号艦は太い蛇体に絡め取られ、どう足掻いても逃れられない。沈むのは時間の問題だった。


「助けてくれ!たす――!」

海面では多くの者が手を振り、必死に叫んでいる。


その瞬間、外側にいた水夫たちが見えない力に引きずり込まれ、声を上げる暇もなく水中へ消えた。その場所には泡だけが残る。


やがて白い泡の中から、濃い血と大量の光粒が浮かび上がる。しかしプレイヤーの姿はどこにもなかった。


「尖鰭ザメだ!水から上がれ、早く!!」

救命筏の上のプレイヤーが叫び、周囲の海面に無数に浮かぶサメの背びれを指差した。


「うわああ!!」

水夫たちは我先にと二号艦の救命筏へ泳ぎ出す。


四十人が三十五人に、三十五人が三十人に減り、海面は一瞬で静まり返った。


「ナスティア様、すぐに撤退を!」

副長が叫ぶ。


「黙れ!この戦力でどうやって龍を狩るつもりだ?さっさと負傷者を回収しろ、無駄口を叩くな!」

ナスティアは怒鳴りつけた。


その時、三号艦はすでに海蛇に引きずられ、海中へと完全に沈んでいた。


「三十分だ!海蛇は一度攻撃した後、三十分は浮上しない!今のうちに救助しろ!」

副長が二号艦へ向けて叫ぶ。


「でも……来るぞ!!」

救命筏のプレイヤーが北側の海面を指して叫んだ。


それは波ではなかった。鉤槍を手にしたナーガたちの群れだった。


ナーガの下半身は長い蛇尾で泳ぎに適し、上半身には二本のたくましい腕が生え、細長い槍を握りしめている。


狙撃手たちがすぐに発砲し、ナーガを撃ち抜く。


青い海は瞬く間に金色の弾幕に覆われ、無数の水柱が立ち上がった。それでもナーガたちは次々と押し寄せ、数の力で迫ってくる。


「待て、何をする!?ナスティア様!!」

髭の副長が必死に飛び出し、船縁にしがみついて腕を伸ばす。しかしその手は空を掴んだ。


ナスティアはそのまま、広い海へと舞い降りた。


白いローブを翻し、まるで天から舞い降りるかのようにゆっくりと落ちていく。


チリン――澄んだ鈴の音。


チリン、チリン、チリン、チリンチリンチリンチリンチリンチリンチリン。


一歩ごとに花が咲くように、ナスティアは海面を駆け始めた。


足を踏み出すたび、水面に氷の波紋が広がり、氷の花の道が伸びていく。救命筏とナーガの間で急停止し、冷たい霧を弾けさせた。薔薇水晶の杖を高く掲げて一回転し、チンと音を立てて海面に突き刺すと、足元に氷塊が形成され、身体を持ち上げる。


海上のプレイヤーたちはその光景に呆然とし、逃げることすら忘れていた。


「さっさと船に上がれ、この馬鹿ども!ギルマスが時間を稼いでくれてるんだぞ!!」

二号艦の艦長が怒鳴りつける。


ナーガたちは即座に標的をナスティアへ切り替えた。


「ふぅ……」

ナスティアは薔薇水晶の杖を後ろへ引き、力を溜める。鷹のような鋭い目で距離を見極めた。


ナーガたちは左右に散開し、巨大な網のように包囲する。光を反射する鱗がはっきりと見える距離まで迫っていた。


「……ふん」

ナスティアの目が鋭く光り、右腕に力を込めて薔薇水晶の杖を突き出す――


海面から突如、氷の巨龍の頭部が出現し、ナーガたちへと襲いかかった。通過した水面は一瞬で凍りつき、白い氷の道が伸びていく。


ナーガたちはそれを見て左右へ散開した。


「おおおおお!!」

ナスティアが鋭い叫びを上げる。右腕に力を込め、薔薇水晶の杖を振り下ろすように突き刺すと、氷の龍頭が大きく口を開き、海面へ噛みついた。


ドンッ!!

海面が爆ぜ、白い氷霧が大きく広がる。広範囲の海面とナーガたちが一瞬で凍りついた。


ダダダダダッ――二号艦の狙撃手たちが援護射撃を行い、動けなくなった敵を次々と撃ち抜いていく。


「ナスティア様、早く船へ!負傷者は全員回収済みです!」

救命筏の隊長が叫ぶ。


しかし、一部のナーガは水中に潜り、氷結を逃れていた。次の瞬間、水面から飛び出し、高速で迫ってくる。


「私から離れて!!」

ナスティアは叫び、再び薔薇水晶の杖を振る。頭上にパチパチと弾ける雷雲が生まれた。


「急げ!!全力で漕げ!!」

隊長が船員に怒鳴る。


怪物たちが一斉に跳び上がり、槍を突き出して襲いかかる。


「超圧落雷!!」

薔薇水晶の杖を掲げた瞬間、雷雲と杖の先端を結ぶ白い線が走った。


ブゥン……バチバチバチバチバチ!!

ドォン!!


極太の純白の雷が一直線に落ちる。海面には銀色の電流が走り、無数の電弧が這い回った。強烈な閃光が視界を奪う。


「…………」


再び視界が戻ったとき、怪物はすべて消えていた。ナスティアは海の中で浮き沈みし、周囲の海水は赤く染まっている。


血に濡れた左手をかろうじて持ち上げて振ると、救命筏がすぐに彼女を回収し、二号艦へ運び込んだ。


「げほっ……げほげほっ」


「ふざけるな!!左舷の見張りを任せたのに寝ていただと!?」

二号艦の艦長が水夫に怒鳴り散らす。


「な……何が……?」

ナスティアは魔力を大量に消耗し、意識がぼやけていた。


「配置通りなら、三号艦が右舷、二号艦が左舷、旗艦が前方を監視するはずだった!三号艦の左舷が襲われたのに、こいつは警報も出さずに眠っていたんだ!」

艦長は顔を真っ赤にして怒る。


「今は……責任を追及している場合じゃない。持ち場に戻りなさい」

ナスティアはめまいに耐えながら言った。


「ありがとうございます!」

見張りは慌ててマストへ登っていった。


「ナスティア様、それでどうやって統率を取るおつもりですか!?」

艦長は不満を隠さず言う。


「時間がない。全員聞け、二号艦は放棄する。物資を旗艦へ移せ。海蛇が二号艦を喰らっている隙に、この海域から離脱する」

全身ずぶ濡れのナスティアは海水を吐きながら命じた。


乗員たちは即座に動き出す。


「え!?なんで皆、旗艦に……!?」

職務を怠った見張りが気づいたとき、二号艦にはすでに彼一人しか残っていなかった。


その手足に突如、刺すような冷気が走る。全身が一瞬で凍りつき、マストに縛り付けられたように動けなくなる。


「しっかり……任務を果たしなさい」

ナスティアは冷たい視線を向け、静かに薔薇水晶の杖を下ろした。


「出航!!全・速・離・脱!!」

副長が怒号を上げる。旗艦は戦場を離れ、見張りの叫びはやがて遠くへ消えていった。


「副長、被害報告を……」

ナスティアは首を振って金髪の水気を払う。水滴をまとった顔はきらめき、どこか精霊のような気高さを帯びていた。木樽に腰掛けて身なりを整えるその姿は、周囲の屈強な男たちを圧倒する威厳に満ちている。


「失ったのは五十一名、物資は二割。主に淡水です。生存者はおよそ百五十名」

副長が報告した。


「……そう。海賊にも注意して……少し休む……」

ナスティアはゆっくりと船長室へ戻っていった。

...



ナスティア様、強くて美しい……。好きになっちゃった。 (ㅅ´ ˘ `)♡


今日も一話追加します!

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