96話 お腹の鳴らし方
「あの、皆さん?そろそろお昼になりますよ?」
どうやら、メイドさんが起こしに来てくれたようです。
…ですがまだ眠いです…。
「うーん…あと5分…。」
「そうですか?まぁ5分くらいなら、たいして変わらないですが…」
そして、5分後…
「あの、アリスさんは、あのまま放置していいんですか?」
「本人が、あと50分と言ってますし、放っておきましょう。」
「大丈夫ですわ。パンがなければケーキを食べればいいんですもの。」
「なるほど!つまり、おやつの時間まで我慢すればいいって事ですね!」
「…まぁ、なんか違うけど…それでいいや。」
さらに、50分後…
「うーん…なんか怠いです…。」
ちょっと寝過ぎましたかね?
「あれ!?誰もいない!?どこに行ったんでしょう?と言うか今は何時でしょう?」
私は窓の外を見て太陽の高さを確認します…
まだ少し暗い?じゃなくて雨が降ってますね。
これでは時間が分かりません。流石に物置だった部屋に時計はないですし…。
それに時計は大きくて、とても精密なので持ち運びには向きませんし、ものすごく高価ですから私も持ってません。
まぁ、買えない値段って訳じゃないんですが、時計ってアイテムボックスに入れると止まっちゃうんですよね…。あの時は、初めてアイテムボックスが不便だと思いました。
でも時間が分からないのは困るので、ここは私の持っている体内時計…そう、腹時計に聴いてみたいと思います。
うーん。若干お腹が空いてますかね?
『くーぅ』
…訂正します、凄くお腹が空いてるみたいですね。
しかし、ずいぶん恥ずかしい音がなりましたね。誰かに聞かれなくてよかったです。
でも、おかげで今のがだいたいの時間が分かりました、腹時計曰く昼過ぎみたいです。
これでお兄ちゃん達が居なかった理由も分かりました、おそらくお昼ご飯ですね。
「まったく、お兄ちゃんも起こしてくれればいいのに…。お姫様がベッドに寝ているんですから、起こし方も決まっているでしょうに…。」
それにしてもお腹が空きました。
今から食堂の方に行けば間に合うでしょうか?
………間に合うような気がします!
そうと決まれば善は急げです!
今ならまだパンの耳くらいは残っているかも知れません!
私はパジャマを脱ぎ捨て、ワンピースに着替えると、そのまま駆け出し部屋のドアを勢いよく開け…。
『どんっ!』
外に出たとたんに誰かとぶつかってしまいました。
「いたたたた…。うぅ…ごめんなさい…。」
「アリス起きたんだ、そんなに慌ててどうしたの?」
ぶつかったのはお兄ちゃんでした。知らない人じゃなくてよかったです。
「えっと、お腹が空いたんですけど、急げば皆のお昼に間に合うかと思って…。」
「えっと…大変申し上げにくいんですが…」
あー。
メイドさんのこの一言で全てを察しました。
「いえ、寝坊した私が悪いので気にしないで下さい。」
「ですが今、料理長がおやつを作っておりますので、もう少しの辛抱ですよ。」
「おやつ!?わーい!!」
おやつです!楽しみです!!
「これが本当の『パンがなければケーキを食べればいいじゃない』ってやつですわね。」
「なんと!ケーキなんですか!?」
「勿論、ケーキですよ。私がそう注文しましたので。」
「わーい!」
今日はポンコツメイドさんじゃないんですね!!
長いです…。
「お腹空きました…。」
『くーぅ…』
またお腹がなってしまいました…。恥ずかしいです…。
「頑張って下さい!3時まで後1時間くらいですから!」
「1時間…まだ半分しかたってないんですね…。」
「それにしても暇ですわね、外はこのお天気ですし…。」
「とりあえず、今日の出発は延期かな。領主さんも、もう1泊していきなって言ってたし。ここはお言葉に甘えようか。」
「そうですわね…って、お兄様は先程から何をなさってるんですの?」
お兄ちゃんは、さっきからずっとリボンちゃんと遊んでいます。
「いや、リボンちゃんの声を聞こうと頑張ってたんだけど、なかなかうまくいかなくてね…。」
「…本当に聞こうとしていた所にビックリですわ…。」
「それで…うまく行きそうなんですか?」
「うん!無理!」
はい、知ってました。
「でも、1つ気になった事ができてさ」
「「気になった事?」ですの?」
「うん…。猫ってさ…魔法使えるのかな?」
「「「えっ!?」」」
私とリッカちゃんだけじゃなく、メイドさんとも声がハモってしまいました。
「そんなの無理ですよ、だって猫は呪文が言えませんし。」
真っ先にそう口にしたのはメイドさんです。
「確かに呪文は言えませんが…そもそも呪文は要らないでしすし…それは解決できますね。」
「へっ?」
今度は誰もハモりませんでした。まぁ、当然ですが…。
「ちょっと見てて下さいね。」
そう言うと私は無詠唱で右手の上にファイヤーボールを作り出します。
「えっ!なんで!?呪文は??しかもそんなに速く…」
そして、左手の上にウォーターボールを作り出します。
「えっ!!えっ!?えっ??」
今度はその2つを合体させて煮えたぎるお湯を作り出します。
『ジュワー…』
あっという間に煮立つ水。
「凄い!そんなお湯の作り方が!!」
「…驚くのはそっちなんですのね…。」
果たしてリボンちゃんはチートキャラになれるのか!?




