93話 松明の燃やし方
「これでよしっと」
私はメイドさんと2人で無事に白い布を大量購入する事ができました。
「これで後は帰るだけですね」
「はい、では帰りましょう!」
そう言うとメイドさんは来た方とは逆方向に歩き出しました。
「あれ?帰り道はこっちじゃないんですか?」
「だいぶ遅くなってしまいましたので…こっちの方が近道なんです。」
「そうなんですか?」
地元の人が言う事なのでそれが正しいのでしょう、そして、そのままメイドさんに手を引かれ歩く事30分…
辺りはどんどん暗くなり、道はどんどん狭くなり…。
「アリスさん」
「なんですか?」
「ここは…どこでしょう?」
「…お屋敷までの近道ではない事だけは分かります」
まぁ、途中から。おかしいな?とは思っていましたよ…。
そして、暗い中こんな道を歩いていると現れるのが…。
「お前ら、怪我したくなかったら有り金全部置いてきな!」
まぁ、ゴロツキが現れる訳で…。
「ひぃぃぃ!!」
そう言いながら、メイドさんは私の後ろに隠れました。
殆ど隠れられていませんが…。
「ちょっとメイドさん!こんな道通ったら、どうなるかくらい分かりますよね!?」
「はい、この後すぐに心優しい方が現れて助けてくれます、そして、その後お食事奢ってもらえます!!」
あぁ、頭の中はお花畑でしたか…。それは下心のある男性達がトラブルに巻き込まれた女性を見て、これ幸いと助けに入るパターンですね。そして、その流れでお食事に誘う所までがセットですね。この人、見た目だけはいいですから…。
「………誰も来ないですけど?」
「おかしいですね?いつもならそろそろくるんですが」
「いつもって…。」
こんな事が日常茶飯事なんですか…。
こうなると考えられる事は3つ
①,今までは偶然近くに下心のあるヒーローがいただけ、今回は運がなかった。
②,私、と言うお邪魔虫がいるので今回はヒーローが来ない。
③,今回のヒーローは私、メイドさんのピンチは私が救う。
そして、誰も来ないって事は②か③
そして、結果的に③
そして、①でもある
まぁ、ピンチを救うまではいいんですが、その後がめんどくさいんですよね…主にゴロツキの処理が…。
かといって逃げるのも良くないですよね、勝てないならまだしも。他の人にも迷惑がかかってしまいます。
まぁ、後処理はメイドさんに任せましょう。
安定の丸投げです。
「メイドさん、大丈夫です。相手はたったの5人です、ここは2人で力を合わせ突破しましょう!」
「はっ!そうですね。1人づつ確実に倒して行けば勝てない相手ではありませんね!!」
なぜかメイドさんがやる気になっていますね?何か秘策でもあるのでしょうか?
「出でよ炎、火球と成りて…」
おぉ、このメイドさん魔法が使えるみたいです!
…それにしても…。
魔法の呪文を久し振りに聞いた気がします、お兄ちゃんと一緒だと呪文なんて聞きませんからね。
「まずい!こいつ魔法使いだ!急いで潰せ!!」
そして、ゴロツキ5人がナイフを手にメイドさんに向かって走り出しましたが、そうはさせません。
私はカボチャくらいの大きさの石をアイテムボックスから取り出しゴロツキの足元に置きます。もう安易に頭の上に落とすなんて事はしません、死んでしまったら寝覚めが悪いですしね。
すると…。
「ズザザーッ!」
「どんがらがっしゃーん!」
っと盛大に転んだゴロツキさん達…ちょっとやり過ぎたでしょうか?
「ファイヤーボール!」
そして、メイドさんの攻撃が炸裂!
頭頂部にマッチくらいの火が襲いかかります!
でも、呪文の割には大した攻撃じゃないですね?少し火力を増強しましょうか。
と言う事で、いい感じの上昇気流でそよ風を起こします、するとあっという間にマッチだった炎が松明になり、薄暗い路地を明るく照らします。
1人だけだと可哀想なので全員に同じ魔法をお見舞いておきましょう!
「熱い!水!!熱い!!!」
今度は慌てて起き上がった松明が元気よく走り回っています。
「そろそろ良いでしょうか?」
たっぷりと頭頂部を焼いた後、私は水球を作り松明に被せます。
すると、あっという間に炎が消え、一瞬安堵の表情が見えたと思ったら今度は口を抑えながらもがき始めました。
松明を襲った水球は火が消えた後もゴロツキの顔から放れる事はありません。
そして、5人目が倒れた時に魔法を解除しました。
すると突然、後ろから声をかけられました。
「なんだ?なんの騒ぎだ?」
現れたのはどこからどう見ても冒険者の男性、こちらも5人。
ちょうどいい…いえ、ちょっと現れるのが遅かったですが…。
今回はこの人達に助けてもらいましょう!
「はい、メイドさんと一緒にお屋敷までの帰路を歩いていた所、こちらの方々に襲われました。お得意の魔法でメイドさんがゴロツキを撃退したまでは良かったのですが、非力な女性と子供、運ぶのに往生していた所、心優しい冒険者の方々に出会った次第でございます。」
「心優しい冒険者?」
「はい!良かったですねメイドさん、こちらの方々が手伝ってくれるそうですよ!」
「えっ、そうなんですか?わぁ、ありがとうございます!」
メイドさんが先頭にいた冒険者の手を取り、上目遣いでお礼を言っています。
これは確信犯ですね…。
ついでに、手柄を全てメイドさんに押し付ける事にも成功したようです。
当然、こちらも確信犯です。
今回調べて分かったんですが「目覚めが悪い」って言うのは間違った使い方で、「寝覚めが悪い」って言うのが正しい使い方なんですね。
1つ賢くなりましたw
皆さんも注意して下さいね




