88話 改変の仕方
ーーーその頃、王宮にてーーー
「嵐は…去ったか?」
「ええ、…一応は。現在正確な被害状況の確認中です。」
「そうか…」
「ですが、有利な位置からの迎撃と的確な避難指示のおかげで人的被害は最小限に抑えられたかと。」
「そうか、それは不幸中の幸いだな」
「しかし、街の方は…ご覧の有り様で…。」
「………。」
「田畑は8割が壊滅、今期の収穫は絶望的。王宮内の備蓄と討伐された魔物を合わせても、このままでは全員が冬を越えるのは難しいかと…。」
「今から作付をしては間に合わんのか?」
「米は間に合いません。野菜は物によります、しかし全ての畑を耕す所からとなると冬までに収穫が間に合うのは、気候に恵まれても4割程でしょう」
「今、『このままでは』と言ったな?つまり何かいい策があると言う事か?」
「さすが、鋭いですね。勿論、考えておりますよ。」
「ほう、話を聞こうじゃないか。」
ーーーその頃、領主邸ーーー
「報告します」
「見つかったか!?」
「いえ…それが…。」
「…そうか…。」
「ですが、物資の輸送を任せた御者の者と行動している可能性が高いと思われます。」
「なんだと!?それは、先代…つまり親父と一緒にいると言う事か!?」
「あくまで可能性の話ですが、昨日の朝、北門を出て行った者は、例の冒険者達と大型の荷馬車が1台だそうです。荷馬車の方が先に町を出たそうですが、クレーターを大きく迂回した場合、真っ直ぐ進んだ冒険者達と反対側で出会した可能性がない訳ではありません。私は大人の足でも、とても到達できないような場所まで追ってから追跡をもう1人に任せ報告の為に戻って来たので、恐らく間違いないかと。」
「…つまり、親父に追い付かないと行けない訳か…しかし、それではピーケの街までに追い付かないだろうな…。親父はオークを売ったら物資を買ってとんぼ返りし、早ければ明後日の昼には帰って来るだろう。冒険者達はどうするか分からんが親父と一緒に帰って来るとは考えにくい。」
「ですね…しかし冒険者達が直ぐにピーケを出立する事も考えにくいと思います。ピーケから先に進むとなると、次の大きな街は馬車でも4日はかかります。なので最低でも1日は準備の為に滞在するはずです、それにピーケはそれなりに大きな街です、観光もするでしょうし1日で出立する事も考えにくいです、恐らく3~4日は滞在するでしょう。」
「なるほど、つまりそれまでに見つければいいと。」
「はい。」
「…ところで…。」
「なんでしょう?」
「そのもう1人は冒険者の特徴を知っているのか?」
「………あっ……。」
ーーーその頃、普通にアリス視点ーーー
「それじゃ、後は頼んだぞ。」
「はい、お任せください」
私達は今、ピーケの冒険者ギルドに来ています。
ギルドでは私達を見た途端に受付のお姉さんが慌てて立ち上がり、急いでギルマスを呼び出してくれました。そして、他の冒険者達の順番など無視して真っ先に対応して貰いました。
ピーケの街門でもおじさんの顔を見るとカードも確認せず素通りさせて貰えましたが、いいのでしょうか?
門番さんや、ギルマスの反応を見るにこのおじさんは、もしかして偉い人なのでしょうか?
でも、とてもそんな人には見えないですね、単に職業柄顔が広いだけなのでしょう。
「それじゃ、これが盗賊の討伐報酬だ、約束通り3割引いてある」
「ありがとうございます、それにしても事実を改変するのが上手なんですね。」
そうです、このおじさん凄いんです。盗賊を倒したのを反対側から来た冒険者達だと説明して、連れて行けない分を運んで来たと説明したんです。事実をでっち上げてストーリーが大幅に改変されてますが、誰もが納得するストーリーに変わってます。少なくとも『私達が倒した』より信憑性は遥かに高いと思います。
「まぁ、職業柄あれくらいはね。」
おぉ、流石です!やはり伝説の商人か何かなんでしょうか!?
「それと、君たちに頼みがあるんだが、良いだろうか?」
「頼みですか?」
「あぁ、特に君ね。」
おじさんが指差す先にいたのは…。
「私ですか?」
はい、私と言うのは私です。
「君たちは冒険者なのだろう?ならネスまでの帰り道、俺の護衛をして貰いたい。更に君にはアイテムボックスによる荷物の運搬も頼みたい。
知っているかもしれないが、今ネスの町は増えすぎたオークによって畑が荒らされて食料が不足しているんだ。まぁ、先日の作戦によってオークは討伐されて被害の拡大は防げたけど、隕石の衝突で予定していた量のオークが手に入れる事が出来なかったんだ。まぁ、もし隕石が衝突していなかったら更に甚大な被害が出ていたとは思うけどね。」
そして、3人で相談した結果。おじさんの依頼を受ける事になりました。
…まぁ、半分くらい私達のせい。と言う結論に至ったからなんですけどね。
別に急ぐ旅ではありませんし。
正月休み中に書き貯めを作りたかった
しかし現状は更新を守るのがやっと…




