78話 閑話 続 猫の飼い方(リボン視点)
女の子がお屋敷の中に入ると真っ直ぐどこかに向かっているようです。
向かった先には大きく綺麗な水溜まりがありました。
ここまでくれば分かります、恐らくこの女の子は私の事を綺麗にしようとしています。
女の子は私に水…ではなく、温かいお湯をかけて洗ってくれています。
私は水が最初は苦手でしたが今は平気です。雨に打たれれば濡れますし、魚を獲る時なんかは全身がずぶ濡れになります。
その後に乾かすのは大変ですが、濡れる事自体に抵抗はありません。
女の子は私を洗い終えると、タオルで体を拭いた後、温かい風を吹かせているようです。
すると濡れてぺたんこになっていた毛がみるみる乾いていきます。
この女の子はこんな事もできるんですね。
私が洗い終わった自分の体を見ると、今までとは比べ物にならないくらいツヤツヤしていました。
これでは私が毛繕いする必要がありませんね。
そして、女の子は私の首に何かを巻いています。
「ふふっ、真っ赤なリボンがお似合いですわよ。」
これは恐らく私のお母さんが首に巻いていたのと似たような物でしょう、どんな意味があるのかは分かりませんが、お母さんは似合っていたような気がします。
綺麗にされた私は再び女の子に連れられどこかに連れて行かれます。
どうやら今度は階段を登るようです。
階段を登った先のドアを開けるとそこには2人の人?が寝ていました。
1人は青くて、もう1人は黒いです。
女の子は黒い方の人をどかしそのまま床に落とし、そのスペースに私を寝かせました。
この黒い方は私より扱いが酷いので、恐らく…そう言う事なのでしょう…。
「いいですこと?そのまま朝までおとなしくしているんですのよ?あなたの未来が掛かってるんですからね?」
何を言ってるのか分かりませんが、とりあえず適当に返事しておきましょう。
「にゃあ?」
「しー、ですわ!」
ん?何か違ったでしょうか?
「にゃあ!」
「はい。いいお返事ですわ。」
どうやらこれでいいみたいです。
「これで準備は万全ですわ、あとは朝を待つだけですわね。…うまくいくと良いのですが…。」
そして、何やら白い物に着替えた女の子もベットに入ると。
「それでは、うまく行く事を願って…。おやすみなさいですわ。」
何かを呟いて眠ってしまいました。
そして、たった今気が付いたのですが…。私の横で寝いている青いお兄さん…。
メチャクチャカッコいいじゃないですか!!
あぁ、この人なら私、抱っこされてもいいです。
すると、そのお兄さんの手がもぞもぞと動き出したと思うと、反応の遅れた私はその手に捕まり、そのまま抱き寄せられました。
この人、私の考えている事が分かるんでしょうか?
でも、抱っこはそうじゃありません。
いや、これはこれで良いのですが…。
そして、久しぶりの温もりに包まれた為か、安心した私もすぐに夢の中に落ちてしまいました。
朝
私はここに寝ていた黒い人が動き出した気配に目を覚まします。
そして、黒い人と目が逢います。
「………。」
とりあえずあいさつくらいしておきましょうか?
「にゃぁ?」
「な、な、なんですかこれは!?」
そして、突然キーキーと騒ぎ出す黒い人。やっぱり子供のようです、キーキー五月蝿いので子供は嫌いです。
「お兄ちゃん、起きてください」
えっ?待って下さい、まだ心の準備が…!!
「ううん…。アリス、おはよ…う?」
あぁぁ、目が逢ってしまいました。とりあえず…カッコいいですね…。
「お兄ちゃん、おはようございます」
「……大変だ、元から小さかったアリスが更に小さく…?」
「私はこっちです!そして、ちっちゃくないです!!」
何か、2人ともかなり混乱してるみたいです。
「!!アリスが二人!?」
「なんでそうなるんですか!!」
「まぁ、冗談はさておき…。」
「この猫はどこから拾って来たの?」
「えっ?私じゃないですよ?お兄ちゃんじゃないんですか?」
「俺は知らないぞ?」
何かこの黒い人が攻められてるように感じます。
すると何を思ったのか、お兄さんは昨日の女の子の顔の上に私を乗せました。
女の子は苦しそうにもがいています。
そして、女の子が目を覚まします。
「あら、猫さんおはようございますわ。だめじゃないですか、ちゃんとお兄様のご機嫌を取らない…と…。」
なんで私が怒られたのでしょう?
「リッカちゃん、この猫どうしたの?」
「はい…昨日の夜に海岸にあった廃屋の中でお腹空かせていたので…つい…。」
女の子がお兄さんに責められている隙を見計らい、私はお兄さんのお膝の上に陣取ります。
これは猫の特権ってやつです!
しかし、これで、このお屋敷の序列がはっきりしました。
『青>白>私>越えられない壁>黒』の順ですね。
「昨日の夜?」
「はい…眠れなかったのでお散歩でもと思いまして…。」
「まぁ、あれだけ寝てればねぇ…それで、この猫どうするの?」
「えーと…飼ってもいいですか?」
これは当然の事ながら私の事について話しているのでしょう。
「それは俺じゃなくて家主に聞きなよ?」
「家主?」
すると突然2人は黒い人の方を見ました。
私も吊られてそちらを見ます…。
「ちゃんと面倒を見るんですよ?」
「はいですわ!」
黒い人がしたっぱのくせにデカい態度を取ってます。
これだから子供は嫌いです。




