77話 閑話 猫の飼い方(リボン視点)
7000文字近くあった文を2000文字程度で無理矢理区切り、3分割して投稿しています。
話の繋ぎが不自然になってしまうかもしれませんがご了承下さい。
吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかない。…訳ではない。
いや、名前が無いってのは本当だけど、どこで生まれたのかは分かる、だってここだもの。
まぁ、ここって言うのは正確な場所ではないんだけどね。
そう言うここは船の中、つまり私は航行中の船の中で生まれたって事。
草の上、水の中、土の下、と生き物が生まれてくる場所は多々あるけれど、海の上で生まれてくるのはかなりのレアケースだと思う。
私は5匹兄妹の一番下で生まれて、意地悪なお兄ちゃん達に囲まれて、どうにか生きてきました。
そんなある日のこと、私達の乗っていたこの船が嵐に巻き込まれました。
私は荒れ狂う波や、吹き付ける風に抗う事が出来ず嵐の海に投げ出され、気が付いた時には、この島の砂浜に打ち上げられていました。
あの嵐の海に投げ出されて助かったのは奇跡だと思いますが、問題なのはこれから先の事でした。
この島は私の可愛い足でも3時間もあれば1周できるような小さな島でした。
幸いにもこの島には川があり、私より強い魔物や動物などはいないようで、私が狩られる心配はないようですが、それと同時に私が駆る事ができる動物もいませんでした。
私は浅瀬の岩場に取り残された魚を捕まえたり油断した鳥を捕まえたりしてどうにか生きてきましたが、充分な量の食べ物を獲る事はできませんでした。
私は、いよいよ動く事ができなくなり塒にしていた廃屋の机の下で蹲っていると、突然廃屋の扉が倒れました。
私はあの扉は利用していませんでしたが、だいぶ風通しが良くなってしまいました、夜を過ごすのがいっそう辛くなりそうです。
すると壊れた扉の方から何者かの気配を感じました。
私は壊れた扉の方を見つめます、すると光る棒のような物を持った人間が入ってきました。
私は息を潜めてその人物を見つめます。
しかし、その人物はすでにこちらに気が付いているようで、真っ直ぐこちらに向かってきます。
そして、その人物と目が逢いました。
その人はどうやら小さな女の子のようです。
私は子供は好きではありません、キーキーと五月蝿いし扱いも乱暴です。
しかし、その女の子は私に近づき、そのまま私を抱き上げると、すごく残念な顔をしました。
その女の子はすぐに私を下ろすと何か考え事をしているようです。
「猫さんのご飯と言えばお魚でしょうか?あとは…カリカリとかでしょうか?」
何を言っているのかは分かりませんが、女の子はどこからかお皿を取り出し、その上にお魚を置きました。
「猫さん、ご飯ですわよ?」
私にとっては数日振りにのご馳走です。
くれるんですよね?食べていいんですよね?
では、この女の子の気が変わらないうちに…
いただきます!
ガツガツ
「ふふっ、そんなに慌てなくてもお魚は逃げませんわよ?逃げ出しそうなほど新鮮ではありますが。」
モグモグ
ごっくん
美味しい!
久しぶりに食べたまともな食事です、食べ慣れたお魚です、マズいはずがありません。
私は女の子の事を感謝の眼差しで見つめました。
「うぐぅ、その目は…仕方ないですね、もう1匹だけですわよ?」
すると何を勘違いしたのか、その女の子はもう1匹、今度は違うお魚を差し出しました。
まだくれるんでしょうか?
…どうやらくれるみたいです。
そして私は2匹目のお魚も綺麗に平らげ、久しぶりの満腹感を味わいました。
私はその女の子に体を擦り付け感謝を現します。
すると女の子が手を差し出して来ました。
これはさっきと同じで私を抱っこしようとしているのでしょう。
しかし、お魚を食べて元気になった今の私なら避ける事ができます。
私は抱っこが苦手なのです。
私は女の子の手をすり抜けて腕を踏み台にして肩に乗り首に巻き付きます。
この位置なら目線も高くなり、比較的安定しています。
そして、付いて行く事の意思表示もできます。
女の子は少し考えるような仕草をすると、どこかに歩き始めました。
方角的には川の方に向かっているようです。と言うか私が作った獣道をそのまま辿っているようです。
この川がなければ、私がこの女の子に逢う事はなかったでしょう…。
そして、今の私には今までの事がどうでも良くなるような物が、私の目の前をふよふよと浮いています。
それは、金色で細長いバネのような物で、私の目を釘付けにしたまま目を離させてはくれません。
私は衝動を押さえきれず、それに攻撃をしてみました。
するとそれは、ふよふよとまるで嫌がるかのように揺れています。
効いているのでしょうか?
よく分からなかったのでもう一回攻撃をしてみます。
すると先ほどと同じような反応を示しました。
楽しくなってきた私は夢中で更なる攻撃を仕掛けます。
ぴしぴし
ふよふよ
ぴしぴし
ふよふよ
私が夢中でそれに攻撃をしているうちに女の子が目的地についたようです。
どこは私が塒にしていた廃屋とは違って新しく、立派なお屋敷でした。
…でも、こんな所にこんなお屋敷あったでしょうか?




