75話 名前の決め方
うーん…。
今日は寒いですね…。それに、なんかベッドが硬いような…。
私が目を覚ますと目の前には見慣れた天井がありました。
そしてそのまま横を向くと、見えたのは青いペンギンさん…ではなくベットの足…。
どうやらベットから落ちてしまって、そのまま気づかないで寝ていたようです。
寝相には自信があったんですがね…。
あぁ…そう言えば崖から落ちる夢を見たような気がします。
窓の外を見ると太陽が登って数時間立っているようなので、とりあえずお兄ちゃんを起こしましょう。
おや?今日はペンギンさんはうさぎさんを抱き枕にしていませんね?いつもならどちらかが枕にされているのですが?
でも、ペンギンさんは今日は何か黒い毛玉のような物を抱いてますね?でも、こんな黒いぬいぐるみなんて持っていたでしょうか?
すると、その毛玉がもぞもぞと動き出し私と目が逢いました…。
「………。」
「にゃぁ?」
「な、な、なんですかこれは!?」
なんでお兄ちゃんが猫さんを抱いて寝てるんですか!?ずるいです!!
じゃなくて!
とりあえず、お兄ちゃんを起こしましょう。
「お兄ちゃん、起きてください」ゆっさゆっさ
「ううん…。アリス、おはよ…う?」
お兄ちゃんは猫さんを見て困惑しているようです。
「お兄ちゃん、おはようございます」
「……大変だ、元から小さかったアリスが更に小さく…?」
「私はこっちです!そして、ちっちゃくないです!!」
お兄ちゃんは私と猫さんを見比べています。
「!!アリスが二人!?」
「なんでそうなるんですか!!」
「まぁ、冗談はさておき…。」
冗談ですよね?本気じゃないですよね??
「この猫はどこから拾って来たの?」
「えっ?私じゃないですよ?お兄ちゃんじゃないんですか?」
「俺は知らないぞ?」
となると怪しいのは一人で…その怪しいうさぎさんはベットの上で暢気に寝ています。
そして、お兄ちゃんは猫さんをうさぎさんの顔の上に乗せます。
すると、うさぎさんがもがき始めました。
そして、うさぎさんが目を覚ますと…。
「あら、猫さんおはようございますわ。だめじゃないですか、ちゃんとお兄様のご機嫌を取らない…と…。」
おまわりさんコイツです!
「リッカちゃん、この猫どうしたの?」
「はい…昨日の夜に海岸にあった廃屋の中でお腹空かせていたので…つい…。」
つい拐って来たんですね?
「昨日の夜?」
「はい…眠れなかったのでお散歩でもと思いまして…。」
「まぁ、あれだけ寝てればねぇ…それで、この猫どうするの?」
「えーと…飼ってもいいですか?」
リッカちゃんが訴えかけるような目でお兄ちゃんを見つめます。
猫さんも、お兄ちゃんのお膝の上から見上げます。
「それは俺じゃなくて家主に聞きなよ?」
「家主?」
そう言って2人は私の方を見ました。
いえ、訂正します。2人と1匹でした。
私の返す言葉は当然…。
「ちゃんと面倒を見るんですよ?」
「はいですわ!」
と、リッカちゃんは満面の笑みで答えます。
いいお返事ですね、ついでに頭も撫でてあげましょう。
「名前は決まってるんですか?」
「お兄様、何かいい名前はありますか?」
「ここで俺に振られてもなぁ…黒猫で有名どころだと…。ジジとかウィズとかヤマトとか?後はフィリックス?」
「…とりあえず、お兄ちゃんのネーミングセンスは皆無だと分かりました…。」
「えっと、男の子ではなく女の子なのでもう少し可愛らしいお名前にしていただけると…」
「うーん、女の子かぁ、難しいな。あと知ってるのはルナとかミオとかメラルーとか?」
「…アリスさん、ここは女の子同士、2人で決めませんこと?」
「そうですね、猫さんもその方がいいかも知れません!」
「にゃあ!にゃあ!!」
「猫さんもその方がいいって言ってますし。」
「そう…かなぁ?」
「「そうです!」わ!」
「まぁ、そう言う事にしておこう。」
「にゃぁ…。」
「あれ?なんか猫さんの元気がありませんね?」
「ほんとですわね、お腹でも空いたのでしょうか?」
「名前も大事だけど、とりあえず俺達もご飯にしないか?」
「賛成です、腹が減っては何とやらと言いますしね」
「にゃあ!」
「ふふっ、それじゃ準備しますわね。」
そして、リッカちゃんは、お兄ちゃんのお膝で寛ぐ猫さんの頭を撫でてから台所の方に消えて行きました。
そう言えば私、まだ猫さんを撫でていないです!
私はそっと猫さんに手を近付けると…
黙ってお兄ちゃんのお膝から逃げ出す猫さん…
そのまま、お兄ちゃんの背中の後ろに隠れました。
「そんな…私、何か猫さんに嫌われる事しましたか!?」
「うーん?分からないけど、アリスの格好が問題なんじゃない?」
「私の格好?」
今の私はパジャマを着ています。つまり黒猫です。
なるほど…そう言う事でしたか…。
私はさっそくパジャマを脱いで、いつものワンピースに着替えます。これなら大丈夫なはず!!
私は、お兄ちゃんの後ろに隠れていた猫さんにそっと近づきます。
すると、今度は猫さんはお兄ちゃんのお膝の上に…。
「なんでですか!私が何をしたんですか!」
「何をしたのさ?」
「まだ、なにもしてないですよ!」
「まだ?」
「これならもしません…たぶん…。」
そして、私はお兄ちゃんに猫さんを渡される事により、ようやく猫さんをこの手に抱く事ができました。
猫さんは唸りながら怒っていますが、おとなしくしています…。
本当に私が何をしたんでしょう?




