72話 幻想的な風景の眺め方
千早は関係ない
静かな波の音が聞こえて私は目を覚ましました。
今日もペンギンさんのもふもふの青い腕に抱かれていました。
…よし!二度寝しよう!おやすみなさい。
………。
……………。
おかしいですね?いつもなら、このあたりでうさぎさんがペンギンさんを起こすはずなんですが?
まぁ、うさぎさんも、たまには寝坊するのかも知れません。
まぁ、なにはともあれ…おやすみなさい。
「アリス起きて、そろそろ出ないと暗くなる前に次の島に着かなくなっちゃうよ?」
「ふえ…?もう朝…?」
「…もうすぐ昼だよ?」
「えっ!?もうお昼!?」
やってしまいました…これじゃおはようのキスすらできません……じゃなくて!
今日こそはシールド魔法を改良して海に入っても大丈夫な水着を作って水遊びを楽しもうと思っていたのに…。
「それなら次の島にでも出来るよ?」
「えっ?なんで私の考えていた事が分かるんですか!?」
「いや、声に出てたけど?」
「ソデスカ…」
「そんな事より早くご飯食べて出発するよ!」
「それじゃしゅっぱーつ」
私達、朝ご飯?を胃の中に掻き込み、昨日と同じように、お兄ちゃんに抱きつき空中へ浮き上がります、そしてお兄ちゃんが南から暖かい風を吹かせます。昨日は気が付きませんでしたがなかなか強力な風を吹かせてるみたいです、恐らく地上で受けたら立ってられないと思います。
私達はどんどん加速して、さっきまでいた島はあっという間に見えなくなりました。
その後は、流石は海の上とでも言いましょうか。特に変わった出来事もなく…と言うか暇で…
そして西の空が夕焼けに染まり、暗くなり始めた所でようやく次の島に到着しました。
この島は昨日泊まった島とは違いちゃんと山や川があるくらいには広いみたいです。
それでも人の気配はありませんが…。
「はぁ、やっと着いた…疲れた…。」
ただ浮いて、お兄ちゃんに抱きついていただけの私達と違って、お兄ちゃんはお疲れのようです。
「んん…?やっと着きましたの?」
リッカちゃんはお兄ちゃんに抱きついたまま寝ていたんですね、どうりでさっきから静かだと思いました…。
「うん、着いたよ。」
そう言ってリッカちゃんの頭を撫でています。
なんで寝ていただけのリッカちゃんが頭を撫でられて必死で睡魔と戦いながら、お兄ちゃんの話し相手を努めていた私には何もないんですか!ずるいです!!
「じゃぁ、完全に暗くなる前に家を出せそうな場所を探そう!」
しかし、なかなか家を出せそうな平らな場所が見当たらず辺りは完全に暗くなってしまいました。
私達は、そろそろ魔法で明かりを出そうと思っていると、目の前をふわふわと淡い光が横切りました。
「えっ!?」
今のはなんでしょう!?
私は横切った光を目で追いかけます。
その光は時折点滅を繰返しながらふわふわと飛んでいるようです。
分からない事はとりあえずお兄ちゃんに聞くのが一番です、さっそく聞いてみます。
「お兄ちゃんお兄ちゃん!あの光は何ですか!?」
「え?ああ。あれは言霊と言って、行き場を失くした死者の魂が漂う光となって…」
「ひぃぃぃ!!」
私は怖くなり、思わずリッカちゃんに抱きつきました。
「お兄様…嘘はいけませんわよ?」
「えっ?嘘なんですか?」
「ええ、言霊は死者の魂ではなく力を持った言葉の事…。つまり…魔法ですわ!」
「なんだ、魔法だったんですね。びっくりして損しました。」
「何でも魔法で片付くのは便利だねぇ…流石は異世界。」
「まぁ、あの光は魔法ではありませんが。」
「へっ?じゃぁ…やっぱり…。」
今度は、お兄ちゃんに抱きつきます。
「あれはホタルだよ」
「あれはホタルですわ」
お兄ちゃんとリッカちゃんの声がハモりました。
「ホタル?」
なんか最近どこかで聞いたような名前ですね?
うーんと…。どこで聞いたんでしたっけ?思い出せませんね。
「川の方にたくさんいるよ、ほら。」
お兄ちゃんが指差す方向には先程の光がたくさん漂っています。
「あれがホタルですか?」
私は吸い寄せられるように光の舞っている方に歩き出します。
近づくにつれ、次第に川のせせらぎが聞こえてくるようになりました。
そしてたどり着いた川ではたくさんのホタルが視界いっぱいに飛んでいました。
「キレイです…」
「だね、俺も初めて見たよ。」
「私もですわ…。」
そして、私達は暫くその幻想的な風景に見とれていました。
明日は今度こそ休みます。
毎日更新のタグも外しておきます。
(執筆の神様が降りてこない限り…。)




