イザベラ様は可愛い 時々男前
お読みいただきありがとうございます!
「さぁ早く戻りましょう」
救世主、いや未来の王妃様であるイザベラ様はすっと私の腕を取った。
「明日の外国語の授業に備えなければなりませんので、これで。殿下、イーデン様、ごきげんよう」
「彼女と同じクラスなのか?」
「はい、1クラスですわ。ワッペンをアルトリリー様も付けていらっしゃいましてよ」
クラスは成績順に割り振られていて、1~5クラスまであり、生徒がどのクラスか分かるように小さなワッペンを制服につけるルールになっている。私とイザベラ様は1、殿下が来てから空気と化していたイーデン様は2、殿下は……4というワッペンをつけている筈なのだが、制服のどこにも見当たらない。校則違反では?
「では、ごきげんよう」
イザベラ様は綺麗な笑みを浮かべると強い力で私の腕を引く。私はされるがままに付いていく。
「ふぅ、追って来ていないわね」
「ありがとうございます」
「偶々図書館に向かっていたら殿下とあなたがいたから驚いたわ。もう1人の殿下と違って愛想はいいけど頭は良くないから、彼にはあまり近づかない方がいいわよ」
「は、はい」
凄いです、イザベラ様。言いにくいことをサラリと。
「それにイーデン・バイエルにも気を付けた方がいいわ。兄と一緒で女性関係が派手だから。あなたは婚約者のいない最高位のご令嬢なのよ。嫡男でない令息達から見たら超優良物件よ」
おおー、イーデン様はバイエル伯爵家でしたね。バイツェルでもヴィッツェルでもなかったです。
「はい、気を付けます」
この廊下ではカエルがいないから投げれませんからねぇ。木登りで逃げるわけにもいかないし。
「ところで、エイドリアン様があなたの婚約者候補だというウワサが流れているわ」
「あらまぁそうですか」
私に関するウワサ、流れすぎではありませんか? アベルや庭師のハンスがお呼びでない求婚者を駆除するために流したんでしょうか? 確かに姿絵は届いていましたけれども。
それとも学園でエイドリアンがちょいちょい話しかけてくるからでしょうか。
「ウワサが本当なら都合がいいわ」
「え?」
「だって、あなたと婚約するかもしれないなら他のご令嬢達は迂闊にエイドリアン様に近付けないわ。エイドリアン様がフリーなら女性全員が敵だけれど、ウワサが本当なら敵はあなた1人よ」
イザベラ様は物騒なことを口にしながらイイ笑顔です。発言が男前ですよね、もう未来の王妃様にふさわしいと思います。
「王妃にも王子妃にもなりたくないわよ! 婚約破棄に向けてあがいてやるんだから!」
「はぁ……私はエイドリアンが不幸にならないならどっちでもいいです。ついでに言うとマラカイト侯爵家から兄弟全員の姿絵は届いていますが、うちは父が恋愛結婚至上主義なので」
イザベラ様、入学前まではやたらしつこい人だなぁと思っていましたが、可愛い方ですね。
好きな人が同じ学園にいるということでブレーキがかからないのでしょうか。
「殿下は手ごわそうですが、頑張ってくださいませ。今の所、センスが悪い事といつも不機嫌なことくらしか欠点がありません」
「やっぱりブタのインク壺はあり得ないわよね……つい1つ腹いせに割ってしまったわ」
やっぱり割ってましたか……
「仕方がない事かと思います……あ、イザベラ様、ちょうど課題で分からないところがあるので一緒にお勉強しましょう。イザベラ様は外国語がお得意ですから」
「いいですけれども。その代わり、エイドリアン様のことを教えてくださいませ」
「まぁ。最近は積極的にエイドリアンに話しかけているそうではありませんか」
そう切り返すとイザベラ様の顔が赤く染まります。私にはまったくもって分かりませんが、これが恋をした表情なのでしょうね。
「私は幼馴染としてエイドリアンの味方なので」
「エイドリアン様と幼馴染だなんて羨ましいわ」
「もし相思相愛になれば、幼馴染よりももっと色んなあんなことやこんなことも知れますよ」
「なっ……」
イザベラ様は何を想像したのかまた真っ赤になっています。イザベラ様をからかうのは面白いですね。
図書館に戻ると、ティアはなんと、寝ていました。ヨダレを垂らして。
イザベラ様があきれ果ててお説教をしていましたが、外国語の課題はイザベラ様のおかげで早く終わったので良かったです。
ブックマーク・評価が増えていて嬉しいです。
ありがとうございます!




