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アルトリリーVS第1王子 再び

お読みいただきありがとうございます。

さて、学園の入学式を3日後に控えた今日。


「お嬢様、お顔に不機嫌さが全開でございます」


倉庫のキャンバスの悪戯以降、落ち込んでいてやっと復活したアベルが苦笑しています。

怒られるより目の前で落ち込まれる方が出来心で悪戯した人間って反省するんですよね、はい。

今後は画材には手を出さず、ベッドにカエルくらいでやめておこうと思います。ハンスに何か面白い悪戯がないか一緒に考えてもらいましょう。画材以外で。


「お嬢様?」


「これが不機嫌にならずにいれる?」


「美しいお顔が台無しですよ。お気持ちは分かりますが。断れませんからね」


「えぇ。うちはしがない公爵家ですから」


「まぁまぁ」


「お嬢様、お客様が到着されたと庭師から連絡が入りました」


アベルとブツブツ言っていると、エイミーが言いに来ました。


「招かれざる客と言ってちょうだいな」


「はい、お嬢様! えーと……招かれざるお客様が2名おこしになられました」


「嫌だけど分かったわ」


2人に苦笑されながら重い重い腰を上げる。




「堅苦しい挨拶はいらない。ついでに言葉も。今は王子として来ているわけではないし、私が無理を言って訪ねてきたのだから」


「本音を言えば来ないで欲しかったです」


目の前には殿下。そう、あのアイザックとかいう第1王子。相変わらずそこはかとなく偉そうなので、初っ端から不敬をかましてしまった。先日も来た従者は後ろで胃のあたりをさすっている。この人、別の所に就職した方がいいんじゃないかしら。


「そのように本音で言ってくれると、逆に助かるな」


不敬をぶちかましたのに、第1王子は真顔でそんなことを言ってくる。


「それでご用件は? 手紙ではダメと書かれていたのでこうして仕方なく場を設けているのですが」


「あぁ、ベラに入学祝で贈り物をしたいのだが、何が良いのか皆目見当がつかなくてな。お前に相談しようと思ったんだ」


うわぁ迷惑。


「イザベラ様の好きな物は知りません。殿下の方が詳しいのでは?」


「いや、恥ずかしいことに知らない」


「……えーと。小さい頃から知り合いなんじゃないんですか?」


「そうだが、イザベラに興味を持ったことがなくてな。全く覚えがない。お前に言われてイザベラをもっと思いやらねばと思ったのだが……」


それで入学式3日前に入学祝なんですね。もうちょっと早く贈っても良かったと思いますが。


「……今まで贈り物をしたことは?」


最低という言葉はすんでで呑み込む。


「今まではヘンリーに選ばせていた」


後ろの従者がペコリとお辞儀をする。彼はヘンリーという名前らしい。


「流行のお菓子や花束をレヴィアス公爵令嬢の誕生日に贈っていただけですね……」


ヘンリーはおどおどしながら口を開く。


「装飾品や手紙はないのですか?」


「ございません……手紙はつけた方が良いと思ったのですが偽造するわけにいかないので……。

しかしレヴィアス公爵令嬢は小さい頃から婚約者候補の筆頭でいらしたので、婚約者候補の方々の中でも彼女にのみ誕生日に贈っておりました」


ヘンリーは顔色を悪くしながら言う。まぁね、この第1王子は贈り物の選択も丸投げなら手紙も書かないですよね。こんな男イヤだわぁ。こんな男に付き合えるのなんて今まで耐えてきたイザベラ様くらいでは?


「では小さな装飾品か、学園で使えるものなどにされてはいかがでしょうか?」


「口調がやけに丁寧になったな」


怒りが冷め、段々と冷静になってきたので令嬢口調が戻ってきたのに、王子はなぜか不服そうにする。


「髪飾り、インク壺、ペンなどはどうですか?」


「インク壺とペンか。学園で使えそうだな」


「はい、明日か明後日にでも贈れば間に合います。消耗品ですし、邪魔になることもないかと」


「良い案を貰った。感謝する」


「手紙も必ずつけてくださいね」


「……何を書けばいいのかわからない……ヘンリー、どう思う?」


王子は従者に意見を求めた。ヘタレすぎる。大丈夫なのか、こんなのが王子で。お城の教育係たちは何をしていたんでしょう。


「入学おめでとうは書いた方が良いと思います」


そりゃそうだ、と言いたくなる模範回答をヘンリーがする。


「急に贈り物と長文の手紙がきても驚くと思いますので、手紙は短めで良いのでは。入学おめでとうと学園でもよろしくのような挨拶くらいで。殿下の直筆でないといけませんが」


「……わかった」


「では頑張ってくださいませ」


「いや、待ってくれ」


礼をしてさっさと帰ってもらおうとすると引き留められる。思わずティアのように舌打ちしたくなるがやめておく。


「明日、城に商人を呼ぶから一緒に贈り物を選んでくれないか?」


「断固拒否します」


「……もちろん、タダでとは言わない……」


部屋の隅に控えているアベルをちらりと見ると笑いを堪えているのが分かる。


「あのですね。婚約者からの贈り物が他の女性の見立てというのはどうかと思います。バレたら心証も悪いので、選ぶ際は側妃様に助言を求めた方が良いと思います。家族ならセーフです」


「そうなのか……」


「そうです。では、頑張ってくださいませ」


今度こそ帰っていただきました。

やれやれ肩がこりました。全く、ティアの所の温泉に行かないといけませんね。


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