ティターニア教
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「お嬢様、堂々とされてやしたね」
ただいまティアのところに向かっております。
アベルは倉庫に行ったあと落ち込んで使い物にならなかったので、庭師のハンスが付いてきてくれています。
「そう?いきなり殿下が訪問なんて何の嫌がらせかと思ったわ」
「不敬になるかと思ってヒヤヒヤしやした」
ほとんど不敬だったんだけどね。困ったらお父様に頼ろうと甘いことを考えていましたが、意外にも第一王子が早く引いてくれて助かりました。
ティアは新しく管理することになった孤児院にいるそうです。さ、早いとこ報告しないといけませんね。
「おかねはすばらしい!」
「声が小さいわよ!もう1回!」
「おかねはすばらしい!」
「よし、次は?」
「けいやくしょは、よくよむ!」
「そうよ、はい、もう1回」
「けいやくしょは、よくよむ!」
「はい、次」
「いいはなしにはすぐにとびつかない!」
「そうよ、その調子!」
孤児院の中では5人の子供達を前にティアが熱血指導をしています。
「お嬢様、あれは一体……新しい宗教ですかい?」
「ティターニア教かもね……」
熱血指導といっても、子供一人一人に言葉を叫ぶように促しているだけなのですが。叫んでいる内容はティアの口癖です。叫びがひと段落すると、やっとティアがこちらに気付きました。
「アリー、どうしたの? 急ぎ?」
「うん、そうなの。えっと、ティアは何してたの?」
「アリーみたいに私も孤児院を管理しようと思ってね。権利をやっと手に入れたのよ。優秀な子は大きくなったらうちで働いてもらえるし、従業員面接と教育を兼ねて一石二鳥よ。さっきのは商売の常識よ」
ティアがぐへへと笑っています。悪い顔です。
「それは良いわね。ところでティアのところに誰か訪ねてこなかった?」
「うーん、留守にしている時間が長いから。たとえ訪ねてきても会えないわね。どうかした?」
ティアに早速、第一王子が訪ねてきたことを話す。
「へぇー。じゃあやっぱり婚約破棄は難しいかな」
「そのようね」
「まぁそこまでバレてるなら大人しくしている方が良さそうね。あぁ毎年2週間最高級の部屋が予約で埋まると思ったのに……」
ティアの頭の中で数字が弾き出されるのが見えるようです。ぶら下げられた人参を諦めていなかったようです。
「とりあえず、学園に入っても大人しくしといた方がいいわね。もしかしたら王子がイザベラ様に優しくなって関係が改善するかもしれないし」
「その可能性もあるわね。学園といえばティアはマナーとダンスは大丈夫なの? 入学式の次の日にある試験の成績が悪いと中間テストや期末テストでいい成績を取るまで選択授業は取れないのよ?」
「う……それは……何とかなるわよ」
「ダメよ。普段できてないのに試験の時にできるわけないわ。マナーの先生はうんと厳しい先生なんだから」
「ダンスは何とかなるわ。体を動かすのは好きだし」
「前もティアのお父様の足を踏んでたじゃないの。まずいわよ、経営学の授業受けれないわ。ティア、ちょうどいいわ、ここで子供達と一緒にマナーとダンスの特訓よ!」
「えー」
その日は突然の王子の訪問を忘れるほど、ティアとマナーとダンスの特訓を致しました。やっと紅茶を飲むときに小指を立てるのをやめてくれました。
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