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13

セフィルが作ってくれた土壁の後ろから、みんなを

見守る。誰か怪我した時、すぐに走って出られる様に

いっぱいのお薬も持った。

ジュン様が、みんなが凄く頑張ってくれてる!

私も絶対に役に立ちたい!

あっ!みんなの攻撃が当たった!すごい!!

いつでも動ける様にと、走り出せる格好のまま

右手に治癒、左手に解毒の薬を持って構える

メイラール。その時


"蝕毒の紫雲"


紫色の霧が、一気に広がる!ジュン様と近くにいた

ロナールが苦しそうに倒れた!

これは吸ってはダメ!

霧が来る直前に大きく息を吸い込み、呼吸を止める

メイラール。だか、霧に包まれ全身を痛みが襲う。

痛い、痛い!!これって肌からも浸透する毒!

でもこれなら・・・あった、これ!

大きなバックの中の綺麗に整頓された瓶の中から

1本を取り出し、布に解毒薬を染み込ませ

一気に飲み干し口に布を当てる。たったこれだけの

動きでも、肌が焼ける様な痛みが増した。

そのまま、じっと身体の激痛が引くのを待つ。

みんな、待ってて、動ける様になったらすぐに

飲ませてあげるから。

目の前で辛そうにしているセフィルとコッツ。

すぐそこなのに、この激痛だと途中で動けなくなる。

その時

「それは!ダメぇ!!ぐっ・・・ジュン!逃げて!!」

コッツが叫んだ!あんなに苦しそうなのに!

そんなに大変な事なんだ!!

敵の男の手から煙みたいなのが出てきた。

あれ?ジュン様にあれを触れさせちゃダメって事?

ジュン様は身動き取れなさそう、どうしたら・・・


女ってのはね、本当にどうしようもない生き物さ。

時には惚れた男の為に、迷惑と思っても行動しちまうし

平気で身体を張れちまう


ミラン店長、そうだよね?なら!!

「こんな痛みなんてーーー!!」

メイラールは、まだ残る全身の痛みを無理矢理堪えて

小瓶を4つ持ち走り出す。

すぐ目の前のセフィルの脇に小瓶をサッと置いて

「みんなで飲んで!」

と言い残し、走り出す。

ジュンの、目の前に向けて。


目の前で、メイの身体に薄白い煙が纏わりつく。

「あ・・・か、は・・・」

メイは、1、2度身体を痙攣させ、俺の方に

崩れる様に、倒れてきた。・・・何が、起きてる?

「・・・メイ?メイ!!」

目の前に倒れているメイを見て、頭が真っ白になった。

拘束の痛みも痺れも頭から消えていく。

拘束されたままの身体を、唯一動く左腕だけで

引きずり、メイの側まで行った。

「・・・メイ?メイ?」

横たわるメイに声をかけると、メイが

少しだけ目を開いた。

あんなに大きな目が、あんなに元気な目が

今はとてもか細く、弱く、開く。

「・・・ジュン様・・良かった、無事で・・・」

「メイ!!大丈夫!大丈夫だよ!!

すぐに助けるから!!」

メイは少しだけ、力無く口元を微笑ませ、俺の頬に

手を伸ばしてきた。

俺は、頬に添えられたメイの手に手を添える。

「・・・ジュン様・・・楽し、かった。

ジュン様との・・・毎日・・・

とっても・・キラキラ、してて・・

私、の、1番の、たからもの」

「メイ!!まだ終わらない!!

そんな事言わないでくれ!!

一緒にセジアまで帰るんだろ!!メイ!!!」

メイは、うっすらと開いた目から、涙を一筋こぼした。

あぁ・・・セジア・・・

店長、ごめんなさい・・・

ジュン様と、一緒に・・・帰りたかった・・・

メイは弱く優しく微笑み

「生き、て、ジュン様・・・

大好き・・・愛して、ます・・・」

俺の頬からその手が、落ちた・・・。

「・・・メイ?メイ?メイ!!

ダメだ!!死んじゃだめだ!!!

どうしたら、どうしたらいい!!!」

その時、拘束の魔法に抵抗して光る左手の指輪が

目に入る。そうだ!これも魔法なら!

「うぅぁあああああーーー!!!」

バチッバチバチィィ!!!

力を入れれば入れるほど食い込む拘束を、無理矢理

引きちぎった。

急いで右手で指輪を引き抜き、メイの落ちた左手に

付ける。・・・が、指輪が、光らない。

効果が出る時は必ず光った指輪、が。

「メイ!」

「メイ!!」

「メーイ!」

「メイラール!」

苦痛の中みんなが叫ぶ、けど・・・動かない。

顔は・・・青白く変わっていく・・・

呼吸も・・・してない。

「・・・メイ?今さっきまで、元気、だったじゃん。

笑ってたんだ、よ?

いつも、嬉しそうに・・・とても、楽しそうに。

・・・何で?」

「ジュン!メイは私が!」

メイラールから受け取った薬を飲んだセフィルが

コッツに残りの薬を渡し、真っ先に2人に駆け寄る。

「・・・・うん。お願い。安全な所で見てあげて。」

メイを両腕で抱え上げ、その場から離れ、土壁の所に

メイをそっと下ろした。


"・・・ち、邪魔をしおって。"


今、意識が戻ったみたいな反応をする流星のかけら。

今の魔法の影響、か?

・・・いや、そんな事はどうでもいい。

俺は、流星のかけらに向かって歩き出した。


"クックック。仲間が死んでずいぶんと消沈したもの

だな?消し炭になる苦痛を味わず死ねたのだ。

ありがたく思え。"


口元を歪め、嘲笑う様に言う流星のかけら。

この言葉に、俺は、一気に意識が闇に落ちる。

ドロドロとした感触。

ガザムとの時の感情、感覚。

俺は初めて、止める事なくこの感情に身を任せた。

一帯が強烈な殺意に包まれる。

俺の意識は、深く闇に落ちた。

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