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"うぐっ!"
ロナールのチャクラムは額に、ヤムの矢は右肩
コッツの光弾は右腕に着弾!
それぞれ影は抑えているものの、薄くなっていた為
少なからずダメージを入れてくれた!
意識がダメージに向いてる、チャンス!
前に出ようとした瞬間、俺側に厚くなっていた影を
更に増やし、大量の影で壁を作られた、クソ!
その隙に距離を取る流星のかけら。
詠唱くるか!集中!
"・・・なるほどな。まさか、こんな程度の攻撃が
余に苦痛を与えるとはな。"
影を介したとはいえ、みんなの攻撃が届いた部分から
流血と煙が出ていた。
"どうやら、光槍の苦痛は余が思っていたよりも
深刻に刻まれたようだ。
無意識に、貴様の攻撃に対して必要以上に影衣を
動かしてしまっている。
その結果が、これか・・・"
流星のかけらは自身を顧みている。
・・・冷静に分析してやがる。もう少し
慌ててくれたら助かるのに。
考えさせる隙を与えちゃダメか!
離れた距離を詰めようと動こうとした途端、俺の動きを
意識していたのか、一瞬の呟きに合わせて
"八の光矢"
の言葉と共に、8本の光る物が俺に向かって
放たれた!
「くっ!!」
真っ直ぐに飛んできた数本を避けるが、曲線を描き
左右からも飛んで来る!
こんなもん全部捌けない!
顔をガントレットで咄嗟にカバーすると、左腕、右肩
右脇、右足に着弾!
「くぅあ!」
やばい、光弾と違って一点に鋭い痛み!が、4ヶ所!
光弾の焼く、という痛みと違って穿つっていう痛み。
魔法なだけに、指輪は効果が出てくれたみたい。
強く輝いている。そのおかげか、何とかまだ
立てていた。
"なるほどな。妙に抵抗力が高いと思っていたが。
自身の精神力の強さに併せて、その左手の指輪は
抗魔の指輪、か。余計な物を。"
くっそ、色々見定められている。
どんどん不利になっていくぞ。痛みを堪えて
前に動き出す!流星のかけらの右側から攻撃しようと
した瞬間、左からチャクラムが3ヶ所に
流星のかけらを襲う!
"ヌッ!"
すげータイミングだ!ロナール!
大きく躱そうとする流星のかけらに対して、その先に
ダガーを放つ!影がそれを止めた。
動きを止めず、そのまま発勁を!
"それはさせん!"
言葉と同時にダガーをわざわざ手で影から引き抜いた!
前回はあんなにも刺さったまま気にしてなかったのに!
「くっ!そ!」
もう一歩足りない!
再び距離を取られた。詠唱に対して集中する。
"・・・クックッ、なるほどなるほど?そうか。"
再び、不敵な笑みを浮かべる流星のかけら。
何だ、嫌な予感がする。
"あの、光槍の苦痛を思い出すたびに、貴様を真っ先に
殺すと思っていたのだが・・・"
流星のかけらの視線が・・・俺以外の方へと向かれた。
まずい、標的を俺から変更する気か!
気付くと同時に、詠唱を紡ぐ流星のかけら。させない!
走り出し詠唱を止めるべくロングステップの突き!
影が止める!そのまま、シアのステップに繋げて
右脇を斬りに行く、これも影で止められた!
そのまま流星のかけらの右頭部に向けて左回し蹴りを!
同時にロナール達は左側に狙いを定める。
"一歩遅かったな。
蝕毒の紫雲"
途端に眠らせる時の様な霧が一気に周りを包む!
これは、やばい!
可能な限り吸い込まず息を止めたが、身体の外からも
激痛が走る!周りを見ると、みんなが口を抑え、喉を
抑えてへたり込んでいた。
"クハハハ!これならば、姿を眩ませている盗賊にも
届くであろう?"
笑いながら、さも面白い物を見る様に苦しむロナールを
見下ろす流星のかけら。
声を上げたくても霧が晴れるまでは口も開けられない!
ウンディーネの水の膜が無かったら、吸い込んだ一瞬で
命を落としてたかも!
苦しみながら、セフィルは周りを見る。
何とかみんな生きてる!良かった!
でもこのままじゃ・・・全身の痛みで身動き取れない。
"ふむ、思ったよりも効果が出ていないのは、そこの
エルフの精霊魔法によるものか。
ならば、そのエルフから殺して魔法の効果を
消すとしよう。"
言った途端、ニヤニヤと笑いながらセフィルに向かって
歩き出した!詠唱を紡ぎ始める。
「・・・っ、くっそ!」
無理矢理に全身痛む身体を動かして、流星のかけらの前に立ちはだかる。
"クックッ。
この魔法、貴様なら躱す事は容易だろうが、後ろの
蝕毒に侵されておるエルフはどうかな?
雷蛇の縛"
言葉と同時に、流星のかけらの手で弾けていた雷が
まるで細い紐の様に真っ直ぐに伸びてきた!
躱せる速度だけど躱せばセフィルに直撃する。
くそ!
俺はガントレットを顔の前に出し姿勢を低くして
雷を受けた。途端に来る強烈な痺れと痛み!
それに合わせて、当たった左腕から雷が絡まる様に
身体を伝う。受ける為に上げていた左腕を通過し
右腕と胴、両足が蛇に巻かれる様に拘束された!
「ぐ、あああぁぁぁー!!!」
ひたすらに雷に撃たれ続ける様な痛みに併せて
身体を拘束されている!
痺れと痛みで力が入らない!
拘束が更にキツくなっていく。
"クハハハ!
貴様は蝕毒でも身動き取りおると思っておったからな。
確実に、拘束させてもらった。"
「くっ・・・そ・・・」
確かに痺れと痛みが強烈過ぎて、拘束に抗えない。
まずい、かなりまずい!
"さて、どうするか、色々と考えてたのだがな?
今の貴様なら消し炭にする事は容易だ。
それも一興と思うたが・・・やめた。"
「どういう・・・ことだ・・・」
俺の出した言葉に驚きの表情をする流星のかけら。
"蝕毒に侵され、雷蛇で縛られてもまだ口を動かすか!
やはり大した精神力よ"
口元をニヤリとさせ、言葉を続ける流星のかけら。
"抗魔の指輪があるとはいえ、これだけの魔法抵抗力を
発揮する精神力を持つ器。
これはやはり、消すのはちと惜しい。
そこでの、今から一つ珍しい魔法を見せよう。
これは、古い魔法書から見つけた魔法でな。
生ける屍を作る過程の魔法だ。肉体はかけらも
破壊する事なく魂のみを消す。
今のこの肉体は、余を身につけた途端に魂が
耐えられなくなり消滅したが、貴様にそのまま
余を身につけさせても、前の魔術師と
同様に永年と抵抗され続けられそうだからな。"
そう言うと、先程の様な高速な言葉ではなく
ゆったりと言葉を紡ぐ様に呪文を唱え始めた。
「・・・!!それは!ダメぇ!!ぐっっ・・」
コッツが蝕毒に喉をやられると分かっても声を上げた!
「ジュン!逃げて!!」
何だ!何が来る!?
"クックック、魔術師よ。それは無理というものだ。
魂絶の詔"
言葉と共に、薄白い煙の様な物が緩やかに
俺に伸びて来る。
「逃げて!!
っぐ、それに触れると魂が消えて死んじゃう!!」
コッツが必死に叫ぶ。
くっそ!もがく!けど、痛みと痺れは我慢出来るけど
拘束が!!
唯一動く左腕で何とか引き剥がそうとするが
びくともしない。く、やばいもう目の前!!
「く!!ちくしょー!!」
煙が・・・俺に触れる・・・直前。
俺の目の前に人が立ちはだかった。
両手をいっぱいに広げたその背中は、長く滑らかに
流れる柔らかな赤い髪を揺らしていた。
いつも、俺が、守らなきゃって思ってた背中・・・。




