第二幕 第五十二場
村長の屋敷の地下室では、女中グレーテルと爆乳女イルゼビルが背中合わせに立っている。再び自分たちを襲撃しようと、闇に身を隠した猫耳娘マリィーを警戒していた。
二人があたりを注意しながら、一歩ずつゆっくりと前進する。すると天井から二人の間にマリィーが降ってきた。
マリィーは着地するやいなや、すぐさま空中に飛び、膝を折り曲げた。そしてグレーテルの背中に向かって折り畳んだ足を勢いよく解き放つ。
グレーテルは蹴飛ばされ、マリィーはその反動でイルゼビルに向かって飛んでいく。
マリィーは身をよじると腕を伸ばし、背後からイルゼビルの肩を掴んだ。そして素早く腕を折り畳み、その勢いでイルゼビルを床へと叩き付けた。
グレーテルはうつぶせに倒れ、イルゼビルはあおむけに倒れた。
マリィーがイルゼビルにのしかかり、両手両足をおさえた。口を大きく開け、イルゼビルに噛み付こうとしたその時、なぜか急にマリィーは咳き込みだした。マリィーは胸をおさえると、さらに激しく咳き込みだす。
両手が自由になったイルゼビルはすぐさま上体を起こし、その勢いでマリィーを突き飛ばした。そして今度はイルゼビルがマリィーにかぶさるようにしてのしかかる。魔法の香水がしみ込んだ肌着を、爆乳ごとマリィーの顔面に押し付ける。
「やっと捕まえたよ」イルゼビルが言った。
マリィーは悲鳴のような雄叫びをあげた。するとマリィーの体から煙が立ちあがる。
「いったいこれは何事?」グレーテルが駆け寄る。
立ち上った煙が晴れると、そこにはマリィーではなく一匹の白猫の姿があった。
イルゼビルは体を起こすと、白猫の首根っこをつまみ上げた。「なんだいこれは?」
「まさかお嬢様の正体が猫だったとは」グレーテルは冷笑すると素足をワインの水たまりにつけた。「あらやだ濡れてしまったわ」わざとらしくそう言うと、ワインのしたたる生足を白猫の鼻先へと近づけた。「ねえ、お嬢様。なめてきれいにしてくれるかしら。動物のようにね」
白猫はきょろきょろとあたりを見回すと、おびえるような鳴き声をあげた。
「お仕置きの時間だよ」イルゼビルが楽しげに微笑んだ。「子猫ちゃん」




