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第二幕 第二十五場

 おっぱい村の広場から少し離れた場所では、金持ちのヒルデブラントが再び用水路にかかる橋の上で暗鬱な表情をうかべていた。その目には涙が浮かんでいる。


「貧乏人どもが金持ちの僕をひがみやがって。投票用紙を無理矢理奪って破り捨てるなんて人間のする事かよ」ヒルデブラントはそう愚痴ると叫ぶ。「ちくしょう! ちくしょう! どうせ優勝は決まってるんだよ、あの腐れ爆乳女にな!」


「どうしたのかね大声なんか出して」そう言ってヒルデブラントに声をかけたのは、白ひげを生やした老人だった。「何かいやな事でもあったのかね」


 ヒルデブラントが老人に顔を向けた。「……なんだ。うちに来た物乞いじゃないか。あなたには関係のない話です。ほっておいてください」


「そう邪険に扱わなくてもよいではないか。何があったのか私に教えてくれないかね」老人はしたり顔になった。「ひょっとしてお前さんの金がなくなってしまったのではないか?」


 ヒルデブラントは驚き顔になった。「どうしてそれを知っている?」


「私は勘が鋭いんだ」老人はヒゲをなでながら笑った。「きっとお前さんの強欲に怒りを覚えた神様が、罰を与えたんだろうさ」


「いやそれは違う」ヒルデブラントはすぐさま否定した。「妻のトゥルーデの仕業だ」


「へ?」老人の笑いが止まった。


「あいつは僕の金を男に全額貢ぎやがった。おかげで僕は貧乏人さ」


「え、ええ?」老人は予想もしていなかった返答に戸惑いを見せた。「ちょっと待っておくれ。お前さんの金は、お前さんの妻が全額男に貢いだというのか。あんなにあったお金を」


「ああ、そうだ。そうじゃなきゃ説明がつかない」


「さすがにそれはおかしいだろ。きっとお前さんの妻はバレない程度の金を男に貢いでいたのでは? 残りの金はきっと神様がお前さんの強欲に怒って——」


「神様がこんなへんぴな村にくるはずがない」ヒルデブラントは言いきった。「その証拠に僕の妻は牧師と浮気している。しかも神聖な教会で破廉恥な行為をはたらいている」


「なんじゃと!」老人が怒声を発した。「それは許せん!」


「ああ許せない!」ヒルデブラントも怒声を発した。「僕も許せない!」


「おい、今すぐ牧師のところに案内しなさい。そいつを罰してやらなければならない」


「ああ、いいとも。あの牧師はまだ教会にいるはずだ」


「よし行くぞ。そして罰してやろうではないか」


「ああ、やってやろう。目にもの見せてやってくれ」


 いつのまにか意気投合した二人は、牧師に会いに教会へと向かって行った。

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