第二幕 第二十四場
おっぱい村の外にある森の近くでは、コルベスをはじめとする猟師達、それに猟犬達が集まり今後の対策を検討していた。
「狼の奴らなかなか姿を現しませんね」猟師の一人が言った。
「俺たちに恐れをなして逃げたんじゃねえ」猟犬の一匹が言った。
「油断するなよ。相手は狡猾な狼」コルベスが注意を喚起する。「それに相手の親玉はあのビッグウルフだ。何か企んでいるかもしれない」
「なんだあれは?」とある猟師が森の方角を指差した。
一同が顔を向けると、森からこちらに向かって白いもこもことした物体がたくさん近づいてくる。猟師達が警戒し猟銃を構えた。猟犬達も身構える。しかし白い物体が近づくにつれて、その正体がヒツジだと判明すると、みなは警戒を解いた。
「なんだヒツジじゃねえか」猟犬がぼやくようにして言った。「おどかしやがって」
別の猟犬が安堵のため息をついた。「まったくだよ。やれやれ」
「おいヒツジども。こんなところで何してやがる」コルベスが大声で言った。「ご主人とでもはぐれて道に迷ったのか」
ヒツジ達は何も答えず、無言でこちらに向かってくる。それもスピードを上げて。
「おかしいな」コルベスはヒツジ達の群れに目を凝らし、そしてある事に気がつく。普段は白い顔と白い手足のヒツジのはずなのに、なぜか真っ黒になっている。
ヒツジ達がさらにスピードをあげて向かってくる。
違和感を感じたコルベスは猟銃を構え再び目を凝らす。真っ黒なヒツジの顔から突き出た口にはたくさんの牙がついていた。「全員猟銃を構えろ! あれはヒツジじゃない! ヒツジの毛をかぶった狼だ!」引き金を引いた。
猟銃の発砲音を聞いた狼達は、ヒツジの毛を脱ぎ捨て全力で走り出した。
猟師達はあわてて発砲するも、狙いが定まっていないため狼達にはあたらない。猟師達は急いで弾を込め直す。だが狼達はその隙を逃さない。すぐさま猟師達に襲いかかった。
一人の猟師が狼に足を噛み付かれ、その場に倒れ込む。「助けてくれ!」
すぐさまコルベスが駆けつけ狼の横っ腹に蹴りを食らわせた。
ふっとばされた狼は呻きながら悪態をつく。「クソッタレの人間どもめ」
「猟犬達は狼をおさえろ! 猟師達はその間に発砲準備を!」コルベスがそう叫んだ次の瞬間、視界の隅に巨大な黒い影をとらえ、とっさに伏せた。黒い影はコルベスの頭上を凄まじい早さでよぎっていく。コルベスが黒い影に目をやると、そこにいたのは巨大狼ビッグウルフだった。
「やるじゃねえか人間」ビッグウルフはコルベスをにらみつけた。「さあ遊ぼうぜ」




