第二幕 第十五場
おっぱい村の広場にある舞台裏のテントでは、村長の娘である猫耳娘のマリィーが女中であるグレーテルを激しく罵っていた。
「ちょっと聞いてるのグレーテル!」マリィーはがなり立てる。「なんであんたがおっぱいコンテストに参加してるのよ!」
「先ほども言いましたがお嬢様」グレーテルは平然としている。「村長様には許可を得ております。なんら問題はありません」
「問題あるわよ! あんたが出場したら私はどうなるのよ!」
「と言いますと?」
「私の優勝が」マリィーはそこで口を閉じる。「……いえ、何でもない」
グレーテルは微かな笑みを口元に浮かべた。「もしかしてお嬢様。私がおっぱいコンテストに参加する事によって、ご自身の優勝が揺らぐとお考えなのですね」
「ふざけんじゃないわよ、この馬鹿!」マリィーはグレーテルに平手打ちを食らわす。
グレーテルは深々と頭を下げた。「大変失礼しましたお嬢様」地面に向けられた顔には満面の笑みが広がっていた。
「いいグレーテル」マリィーは咳き込みながら言った。「あんまり調子乗らないでよね」
「咳き込んでますけど大丈夫ですかお嬢様。怒鳴ってばかりいますと体に毒ですよ」
「うるさい馬鹿」マリィーはテーブルの上を指差す。そこには赤色の液体で満たされたコップが置かれている。それは幼女ザンネが配合した香水だった。「あのニオイがキツいのよ。あんたあれどうにかしないさい」そう言い捨ててテントから出て行く。
グレーテルはテーブルに置かれたコップを手にとり、ニオイを嗅いだ。「……このニオイがキツい? なんともないけれど。そういえば他にも誰かニオイがキツいと——」
「ああ、グレーテルさんここにいたんですね」そう言って猟師がテントの中に入ってきた。
「あら、猟師さん。何かあったのですか?」
「ええ、じつは」猟師は声をひそめる。「村の外でエルゼを発見したんですよ。この広場にいるエルゼとは瓜二つの」
グレーテルはすぐさま状況を理解した。「なるほど。どちらかのエルゼが偽物で、今回の事件の犯人、もしくは関係者ってことね」
「おそらくは。それで村長さんが広場にいるエルゼを連れてこいと」
「わかりました。すぐにエルゼを村長様の屋敷へ連れて行きましょ」
グレーテルと猟師は広場にいるエルゼを村長の屋敷へと連行するため、テントを後にした。




