第二幕 第八場
おっぱい村のとある場所に大きな家が建っていた。大理石の白壁にいくつものステンドグラスの窓がはめ込まれている。建物の両端には二つの尖塔が伸びており、それはまるでお城のようだった。外観同様家の中もお城を意識したような作りで、吹き抜けの玄関広間には光輝くシャンデリアが吊り下げられている。
そんな豪華な家の玄関広間では、一人の男が踊るかのようにくるくるまわっている。まるでその男には見えないダンスパートナーが見えているかのようだった。その男は金持ちのヒルデブラントだった。
「ああ楽しみだ」ヒルデブラントは踊りながら言った。「猟師コルベスの娘。実にいい、すばらしい。妻の爆乳に飽きた頃に現れた貧乳娘。まさかこの僕がこんなにも興味を引かれるとは思わなかったよ。どうやら僕の本質は貧乳好きだったみたいだ。胸がなければないほどいい」
家の玄関がノックされる。
ヒルデブラントはそれを無視し踊り続ける。「ああ、君とこうして踊りたい。早く祭りが終わらないかな。そうすれば君は僕の者だ。君の貧乳をじっくりと愛でられる。もう妻の爆乳では僕の心は満たせない。あんなものは脂肪細胞のグロテスクな固まり過ぎない」
再び家の玄関がノックされる。
「ああ、貧乳娘よ」ヒルデブラントはなおも踊り続ける。「その胸の成長を永遠に止めてくれ。いつまでもすばらしい貧乳でいてほしい。そのためにはどうすればいい? そうか簡単なことだ。栄養のある食事を与えなければいい。女中として働いたとしてもおいしい食事は与えず、水とパンだけを与えよう。そうやっていつまでもやせっぽちでいてもらおう」そこで足を止め天井を仰ぎ見る。「だから栄養不足で死んだとしても、それはそれで仕方がないよね。だって貧乳を維持するためだからね」ゆがんだ笑みを浮かべ、舌なめずりをする。
三たび家の玄関がノックされた。
「さっきからいったい誰です。僕の至福の時間を邪魔をするのは」
ヒルデブラントは怒り心頭といった様子で玄関に向かうと、勢いよくドアを開いた。するとそこにいたのは白ヒゲの老人だった。
「誰ですかあなたは? いったい何のようです」
老人はにっこりと笑う。「私はこの村についたばかりの観光客です。おっぱい祭りを楽しみにきたのですが、どうにもお腹がすいてしまい困ってるのです。見たところあなたはお金持ちのようだ。どうか私に食べ物を分け与えてくれませんか」
「物乞いですか」ヒルデブラントは蔑みの視線を投げた。「悪いけどあなたに分け与えるものはありません。他をあたってください」言い終えると力強くドアを閉めた。
ヒルデブラントは広間へ戻ると再び踊り始めた。




