第二幕 第六場
おっぱい村の外の平野に大きな川が流れていた。その川沿いにヤギ達を連れて歩く男の姿が一人、それは馬鹿なハンスだった。そこへ白いひげを生やした老人がやってくる。
「そこの若者よ」老人は言った。「おっぱい村に行きたいのだが、道を教えてくれないかね」
「じいさん、運が良かったな」ハンスは親指を立てた。「俺はおっぱい村の住人のハンスだ。俺が連れて行ってやるよ」
「ちょっと待てよハンス」ヤギが言った。「こんなクソジジイほっとけよ」
「そうだそうだ」別のヤギが賛同する。「さっさと俺たちをうまい草の生えてる場所に連れて行け。こんなよぼよぼのじいさんにかまうんじゃねえ」
「なんて口の悪いヤギどもだ」老人は眉をひそめた。
「すまんなじいさん」ハンスは謝った。「うちのヤギ達はちょっと口が悪くて」
「ちょっとどころじゃないぞ」老人はヤギを指差す。「こいつらは人間をなめているに違いない。しかってやらねば」
「まあまあ落ち着いて」ハンスはそう言うと屈み、老人に背を向ける。「それよりもじいさん。乗りな。俺がひとっぱしりでおっぱい村に連れて行ってやる」
「おお、なんと親切な。ありがたい」老人はハンスの背中に乗った。
「ふざけんなハンス。俺たちを放っておくつもりか」ヤギが怒りだした。
「大丈夫すぐ戻ってくるよ。それまで待ってろよ」ハンスは走り出して行ってしまった。
取り残されたヤギ達がわめいていると、そこへ巨乳娘エルゼが現れる。
「よかったやっと帰ってこれたわ。ごめんねヒツジさん待たせちゃって」エルゼはヤギに向かって言った。「あれれ? ヒツジさんいつのまに毛を切ったの?」
ヤギ達がお互いに顔を見合すと、意地の悪い笑みを浮かべた。
「デカチチさん」ヤギは言った。「俺たちあんまりにも暑かったから毛を脱いだのさ」
「ええ!」その言葉にエルゼは驚く。「ヒツジさんの毛って脱げたんだ」
「そうだよ知らなかったのかい」別のヤギが言った。
「うん。知らなかったわ」
「でもヒツジの毛が高く売れるのは知っているだろう?」
「うん。知っているわ」
「そんな大事な俺たちの毛が川に落ちてしまったんだ。ほら見て」ヤギは川を指し示した。そこには川のみなもに映る白い雲があった。「大変だ。早くしないと流されてしまうよ」
「あらやだ大変」エルゼは川に飛び込み、必死に雲をかき集めようと奮闘する。
ヤギ達はエルゼの滑稽な姿を見て大笑いした。「あのバカ。騙されてやんの」




