第二幕 第五場
おっぱい村の外の森では、巨乳娘エルゼが道に迷っていた。そのエルゼを草木の陰に隠れながら跡をつける黒い影が複数。それはお腹をすかした狼達だった。
「うまそうな小娘だ」狼が小声で言った。
「まったく今日はついているぜ」別の狼が言った。「こんな獲物にありつけるなんてよ」
「もう我慢できねえ」興奮をおさえきれない狼が言った。「もういいだろ。襲っちまおうぜ」
「おい狼どもよ」突然背後から声がかけられた。
狼達は不意をつかれた事に驚き、いっせいに後ろを振り向く。するとそこには黒いローブにとんがり帽子姿の小さな女の子がいた。それは幼女ザンネだった。
「お主らに聞きたい」ザンネは言った。「ここらへんにおっぱい村があると聞いた——」
「ガキンチョかよ」狼がザンネの言葉を遮った。「脅かしやがって」つばを吐き捨てる。
「やっぱり人間ってのはよう、男よりも女」別の狼がよだれを垂らす。「それも年が若ければ若いほどうまいんだぜ。さぞかしこのお嬢ちゃんは美味なんだろうな」
「残念だがわらわは人間ではない魔女だ」ザンネは不適な笑みを浮かべる。「それも百年以上もの時を生きる崇高な存在だ。それがわかったらおっぱい村への道を教えるんだな」
狼達が盛大に笑う。「おいおいこのお嬢ちゃんは百年以上もいきる魔女だとよ」
「おー怖い怖い」とある狼がおどけて立ちションのふりをする。「しょんべんちびりそうだぜ」
ザンネは狼達に両手の手のひらを向けた。「ブリックレーブリット」その瞬間ザンネの手のひらの先にロウソクのような小さな炎がいくつも現れた。そしてそれは一瞬で巨大な火の玉となり、狼達に向かって飛んでいった。
火の玉に射抜かれた狼達が火だるまとなり次々と地面に倒れるなか、一匹の狼が地面をのたうち回る事で火を消し止め、かろうじて生き延びた。
「もう一度訊くぞ」ザンネが生き延びた狼を見下ろす。「おっぱい村はどこにある?」
瀕死の狼はおっぱい村の方角を指し示す。「あ、あそこ……です……」
「そうかそうか。素直でよろしい」ザンネは指し示された方角へと行ってしまう。
ザンネの姿が森の木々で見えなくなると、二足歩行で歩く巨大な狼が仲間の狼達を引き連れてやってきた。
巨大な狼は凄惨な現場を見て怒りだす。「誰だ! こんなことをしたのは。許せねえ」
「……ビッグウルフの……兄貴……」瀕死の狼がか細い声で言った。
ビッグウルフと呼ばれた巨大な狼が瀕死の狼に駆け寄る。「いったい誰の仕業だ」
「やつは……おっぱい村に……」そこで瀕死の狼は息絶えた。
ビッグウルフは吠えた。「おっぱい村の奴らの仕業だな! 絶対に許さんぞ人間どもめ!」




