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クズ、異世界でもクズになる  作者: しすは
第1章

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【第五話】クズ、サキュバスに出会う

俺が意識を取り戻したのは、あの路地裏の自宅での惨劇から実に1週間が経った後のことだった。

どういうわけか、目覚めた場所は薄暗い洞窟の中だった。

あの赤髪のガキ、ずいぶんと威勢よく俺の頭を叩き潰してくれたものだ。

しかし、この俺が一瞬で殺されるなんてな。まあ、あの時はおもちゃの家族をいたぶるお遊びに夢中で、無防備だったしな。考えても仕方のないことか。次からはもっと狡猾に立ち回って、あの生意気な男の四肢を一本ずつもぎ取り、じっくり喰ってやる算段でも立てるとしよう。

俺は頭部が完全に再生していることを確認し、下劣なあざ笑いを浮かべて立ち上がった。

まずは現状を把握するため、この見知らぬ周囲の探索を始めることにした。

目の前に現れる魔物を片っ端から屠り、その肉を貪り喰いながら歩き続けること数日。

どうやらここは迷宮と呼ばれる場所らしい。

なぜそんなことを知っているかと言えば、道中で出会って殺した冒険者が、死ぬ前に親切に教えてくれたからだ。

あぁ、もちろん、その情報の対価として、そいつの肉は美味しく残さずいただいてやったよ。命乞いで泣き叫ぶ顔があまりにも不細工で反吐が出そうだったから、顔面を踏み潰してきれいにしてからな。

その冒険者の死体を漁った際、面白いものを手に入れた。

鑑定の魔導書。これを使用すると、自身のステータスや所持しているスキル、その詳細を本として視覚化して見ることができるらしい。

俺は生物を喰らうたびにその能力を奪い取れる性質があるみたいだからな。現状を把握するにはもってこいの機能だ。

さっそく、その鑑定機能を使ってみることにした。

鑑定発動。

呟くと同時に、俺の目の前に淡く発光する一冊の本が現れた。

ページをめくると、そこには俺がこれまでに獲得したスキルや称号がずらりと書き連ねられていた。

今、俺の手元にある主なスキルは4つ。

肉喰。

騎士の加護。

サイコスパイス。

物理的にもシステム的にも完全にバグっていて、文字化けして何が書いてあるかさっぱり読めない変なのが混じっている。

まあいい。俺は気を取り著して、それぞれのスキルの詳細に目を向けた。

肉喰。

喰らった対象のスキルを完全に我が物とし、自身の能力として定着させる。

これは俺がいつも愛用しているお馴染みのメインスキルだ。非常に使い勝手が良い。

騎士の加護。

騎士道精神に則った高潔な行為、すなわち弱者救済や正義の行動を行うほど、自身の肉体に凄まじい身体強化を与える。

なるほど、あの最初の女騎士から奪ったやつか。思い出すだけでヨダレが出る。しかしこのスキル……チッ、なんだよ、正義の味方の真似事をしなきゃ発動しないのかよ。最高にヘドが出るほど面倒なスキルだな。

だが、見方を変えればこれほど使い勝手のいい道具もない。強くなるバフを得るためだけなら、いくらでも弱者を助けるフリをして、おめでたい偽善者の英雄様を演じてやればいいわけだ。存分に信用させてから、後でどん底に突き落として喰う時のスパイスにもなるしな。

サイコスパイス。

捕食対象が抱く負の感情、すなわち恐怖、絶望、怨嗟が強ければ強いほど、肉の旨味が極限まで跳ね上がり、自身のステータスを永続的に上昇させる。

あはは、なるほどな。だからあの調味料の男の前で、ガキと女が肉片になるまでじっくり絶望させてから喰った時、あんなに脳が溶けるほど美味くて力が湧いてきたわけだ。やっぱり俺の調理法、あの絶望の下ごしらえは最高に正しかったんだな。これから出会う奴らには、もっともっとエグい拷問をして、たっぷり泣き叫ばせてから喰ってやるよ。

最後のスキルは、詳細もバグってて全く読めない。使えないゴミスキルか。まあいいや、気にしないでおこう。

自分の能力の正しい活かし方を理解した俺は、満面の笑みで本を閉じた。

このまま、奪った地図を頼りにこの迷宮を脱出するとしよう。

次に出会う人間どもをどう弄び、どんな悲鳴を上げさせて極上のディナーに仕上げてやろうか。そんなことばかりを考えながら迷宮の奥へと足を進めていた、その時だった。

「あれおー? おじさん、私の住処で何やってるのー?」

背後から、ひどく甘ったるく、脳の髄まで溶かすような淫らな声が降ってきた。

驚いて振り返ると、そこにいたのは、前世の知識で言うところのサキュバス。

小さな体で極めて綺麗な美貌を持った魔物の少女だった。

その身体を見た瞬間、俺の脳内は新しいドス黒いアイデアと、最悪の食欲で満たされた。

クズ度増やしすぎたかな?

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