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トイレ

友人の家に泊まりに来た時のこと。

夜中、尿意に襲われて一階のトイレへと降りていった。

階段を降りてすぐのところにあるトイレに明かりは(とも)っていなかったが、いつもの癖でノックをした。


トン、トン、トン


するとドアの向こう側から応答があった。


トン、トン


友人からは、たまに祖母が暗闇のトイレで用を足していることがあると聞いた気がする。

まさしくコレか。良かった、癖でノックをしておいて。


一安心し、トイレから出て来るのを待つ。

すると廊下の明かりが付いた。


「何やってるのアンタ」


そう聞いてきたのは友人の母であった。

夜中に暗闇の中、トイレの前でじっとしていたので不審に思ったらしい。


尿意に目が覚めた事と、おそらく友人の祖母がトイレに入っているであろうことを説明すると、友人の母が怪訝な顔をする。


「誰も入ってないでしょ、真っ暗なんだから」


そういってトイレのドアを開けると、そこには静かに暗闇だけがあった。


こちらが呆然としているのを尻目に、友人の母はほらねと言うが、しばらくトイレに入る気分にはならなかった。

そもそもこの家は、何か不気味な雰囲気が強すぎる。


これ以降、友人の家で泊まることはなかった。


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