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最強ダンジョンの最弱ダンジョンマスター  作者: 蓮華


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03

※本作中の挿絵・画像は自動生成AIによるものです。

イメージや雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。


なお、キャラクターの容姿や髪型、衣装などは

作中の描写と多少異なる場合があります。

あらかじめご了承ください。

管理画面に表示された数値を眺めているうちに、ふと妙なことに気がついた。


「……ん? ちょっと待てよ」


俺の魔力は無限。

対して、ダンジョンコアは魔力を吸収し、DPへ変換する能力を持っている。

だったら――


「俺の魔力をコアに流せば、DPに変換できるんじゃね?」


考えてみれば、実に単純な話だ。

俺は触れていたコアへ、試しに魔力を流し込んでみた。


すると、青白い結晶の内部に光が満ち、目の前の管理画面に変化が現れた。


魔力変換処理

成功


「……お?」


数字が増えた。


1,500から1,600へ。

さらに1,700。

そして1,800。


しかも、一秒ごとに100DPずつ増えている。


「……できた……」


俺は思わず目を見開いた。


「やば!!! チートじゃん!」


毎秒100DP。

つまり一分で6,000DP。十分もあれば60,000DPだ。


今まで1,500DPしかなかったことが馬鹿らしく思えるほどの増加速度だった。

しかも、俺自身の魔力は無限。

供給する魔力が尽きる心配もない。


これなら、少なくともDP不足で迷宮の拡張を諦める必要はなくなりそうだ。


『……マスター』


コアの声が響いた。


『DPが増えています。たくさんです』


どこか驚いたような、幼い報告だった。


「ハハッ……すげぇな、これ!」


思わず笑みがこぼれた。


先ほどまで異世界召喚に途方に暮れていたというのに、今はまるでゲームの裏技を発見したような気分だった。


そういえば、コアのレベルが上がれば魔力の変換効率も向上するはず。

レベルが上がるごとに処理能力が増し、知能も成長する。

そして、その成長には条件がある。


――迷宮の支配領域内で、外来生命が死亡すること。


ダンジョン自身が生み出した魔物では駄目だ。

外から入ってきた生命の死亡が、コアの成長につながる。


頭に流れ込んできた知識が、その仕組みを教えてくれる。


「……なるほどなぁ」


無限の魔力に、DPの大量獲得。

そして、育てるほどに能力が広がっていくダンジョンコア。

まだ何もない洞窟だが、できることを想像すると、自然に気持ちが高揚してきた。


気づけば俺は、この異世界に来て初めて、心からわくわくしていた。


……いや。

単純に、楽しくなってきたのだ。




それからしばらく、俺はコアに魔力を流し続けていた。

目の前の管理画面では、一秒ごとに100DPずつ数字が増え続けている。


最初こそ面白がって眺めていたものの、さすがに飽きてきた。


「……はぁ……」


どのくらい経ったのだろうか……

三十分? いや、一時間くらいか?


時計もないので正確な時間は分からないが、いい加減うんざりしていた。

何しろ、ずっとコアに手を当てたままなのだ。


魔力は無限だから疲れない。

だが、だからといって、いつまでも同じ姿勢でいられるかというと話は別だ。

これでは、せっかくDPを大量に稼げても、ろくに身動きが取れない。


「……なぁ~、コア」


『はい、マスター』


「俺とお前って、魂が繋がってるんだよな?」


『はい。繋がっています』


「だったらさ、わざわざ触らなくても、俺の魔力をDPに変換できない?」


そもそも、ダンジョンマスターとコアは魂で接続されている。

迷宮の管理権限も、その接続を通じて与えられている。

ならば、魔力だって同じように変換出来るのではないだろうか?


俺は試しにコアから手を放してみた。


すると――。


「……あ」


管理画面の数字が増えた。

さらに一秒後、また100DP。


手を離しているにもかかわらず、変換処理は何事もなかったように続いていた。


『……マスター。魔力、届いています』


「……できるんだ」


あまりにもあっさり成功してしまった。


つまり、魂の接続を通じて魔力変換が出来る、コアに直接触れる必要はないということだ。

これなら、ずっと水晶に張りついている必要もない。

少なくとも、今のように同じ部屋にいる限り、魔力供給を続けながら別のことができるわけだ。


「……勝ったな」


俺は思わず、にやりと笑った。


無限の魔力。

毎秒100DPの変換。

そして、接触不要の魔力供給のDP変換。


どうやら、この世界でのダンジョンマスター生活は、思っていたよりずっと面白くなりそうだ。


どうせなら、楽をして生きたい。

勇者だの魔王だの、そんなものは正直どうでもよかった。


せっかく異世界に来たのだ。

危険を冒してまで何かを成し遂げるより、好きなことをして、のんびり暮らしたい。


「……できれば、働きたくないよなぁ」


俺はコア室の岩壁にもたれながら、そんなことを考えていた。


もっとも、何もない洞窟で寝起きする生活が理想というわけでもない。

どうせなら、立派な屋敷でも建てて、美味いものを食べて、気ままに暮らしたいものだ。


「さてと……どうしたものか……」


あれこれ考えているうちに、かなりの時間が経っていたらしい。

ふと管理画面を開き、DPの残高を確認する。


「……おおっ!?」


そこに表示されていた数字を見て、思わず声が出た。


1,081,500DP。


どうやら、魔力の変換を始めてから三時間ほど経過していたようだ。


毎秒100DP。

恐るべし……


それだけでも十分に凄まじいのだが、実際に七桁もの数字を目にすると、なかなか壮観だった。


「ハハッ……こりゃいい」


これだけあれば、かなりのことができそうだ。

しかし、今の迷宮は地下にある小さな洞窟。


せっかく自由に暮らすなら、コアの性能も上げないと効率が悪い。

俺は考えをまとめ、コアへ声をかけた。


「よし、全DPを使って、地表を領域支配下に置いてくれ」


『はい、マスター』


即座に返答があった。


『地表を広げます。……計算します』


管理画面が切り替わり、地表領域の拡張に必要なDPと、その面積が表示される。


『約十万八千平方メートルです』


「……ん?」


思わず、その数字を見直した。

十万八千平方メートル?

いまいち規模が想像できない。


すると、画面には洞窟の入口を中心とした、円形の範囲図が現れた。


『入口から、周りへ約百八十五メートルです』


なるほど。直径にすると、三百七十メートルほどか。

思っていた以上に広い。


管理画面には、続けて領域拡張の実行処理が表示された。


地下のコアから、既存の迷宮空間を伝って地表へと魔力が流れていく。

それは大地を掘り返すものでも、森を焼き払うものでもなかった。


洞窟の入口が開いた岩棚を起点に、周囲の地表が次々とダンジョンの支配領域へ組み込まれていく。


風化した石壁。

草木の生い茂る斜面。

古い採石跡と、その周囲に広がる森の一角。


それらが、ひと続きの領域として登録されていった。


『……できました、マスター』


コアの声とともに、管理画面が更新された。


新たに取得した地表の情報が、管理画面へ映し出された。


岩棚の外には、風化した石壁と草木の生い茂る斜面が広がっている。

さらにその先には、背の高い木々が密集していた。


どうやら、迷宮の入口は森の近くにあるらしい。


『マスター。外が見えます』


『岩と、木がたくさんあります。ここまで、私の領域です』


「……へぇ~」


外に何があるのか、これで少しは分かるようになった。


とはいえ、支配したのは地表だけ。

木々も岩場も元のままで、建物や防衛設備ができたわけではない。


なんせ、一日で自然魔力流入のDP変換が、2,880DP。

領域内で生命が死ねば、コアの成長にもつながる。

まさにウハウハだな。


とはいえ、魔物や冒険者が来ても困る。


今のダンジョンには防衛設備もなければ、まともな戦力もない。

いくら俺自身の魔力が無限でも、戦闘経験なんてものはないのだから……


「……とりあえず、入口をなんとかするか……」


俺は管理画面に映し出された迷宮の構造図を眺めた。

地表の支配領域はかなり広くなったが、地下へ通じる入口は無防備なまま。


そこで、DPが500貯まったところでコアに命じた。


「入口を最小まで狭めてくれ」


『はい、マスター』


画面に500DPの消費が表示される。


地表の監視映像では、洞窟の入口を囲む岩盤がゆっくりと変形し、開口部が小さくなっていった。

やがて、人間はおろか、犬や猫でも通れそうにないほどの隙間だけが残った。


「……完全には塞げないのか?」


『はい。入口がなくなると、迷宮が眠ってしまいます』


「ふーん……そういうものなのか」


どうやら、ダンジョンには外界へ通じる経路が必要らしい。

まあ、ネズミ程度しか通れないぐらいなら、当面は十分だろう。


もっとも、小動物や虫が入ってくる可能性は残っているが……

それなら、もう一つ対策しておくべきだな。


俺は再びDPが貯まるのを待ち、残高が5,000に達したところで召喚一覧を開いた。


「……リビングアーマー、か」


金属鎧そのものが魔力によって動く、いわゆる魔法生命体だ。

単純な命令に従い、食事も睡眠も必要としない。

侵入してきた動物を排除したりするには都合がいい。


ゴブリンという選択肢もあったが……。


「……なんか、嫌なんだよなぁ」


理由は自分でもよく分からない。

とにかく、今はリビングアーマーの方がいい。


「コア、リビングアーマーを一体召喚してくれ。侵入してきた動物の駆除を任せたい」


『はい、マスター。4,000DPです』


原初コアでは中級魔物の召喚費用に補正がかかるらしい。

それでも、今の俺には十分支払えるDPだった。


承認すると、連絡通路の床に青白い魔法陣が浮かび上がった。

光が集まり、金属の輪郭を形作っていく。


最初に脚部、続いて胴体、両腕、兜。

やがて、鈍い銀灰色の全身鎧が完成した。


全高は二メートル近いだろうか。

分厚い胸甲と頑丈な四肢を備えた、いかにも重装兵といった姿。


兜の隙間には人間の顔などなく、内部には暗い空洞が広がっている。

金属の足音を響かせて一歩踏み出したリビングアーマーは、コア部屋の前の部屋で待機した。



挿絵(By みてみん)



『召喚できました』


「おお……ちゃんと動くんだな」


入口を狭めたことで、大型の侵入者は通りにくい。

万が一、小動物が内部へ入り込んでも、こいつが対処してくれる。


もちろん、強力な魔法や採掘道具で入口を破壊されれば別だろうが、今はそこまで考えても仕方がない。


「よし、これで少しは安心できるな」


ひとまず防衛の目処が立ったところで、俺は周囲を見渡した。

相変わらず、岩だらけのコア室である。

椅子もなければ、ベッドもない。


「……さすがに、ここで寝るのは嫌だな」


そう思い、500DPを使って大きなソファーを製作した。


柔らかい座面と広い肘掛けを備えた、ゆったりと身体を横たえられる大型のソファー。

装飾のない落ち着いた色合いで、寝心地も悪くなさそう。


何もなかった洞窟の中に、突然ソファーが一つ。

なんとも奇妙な光景だが、今さら気にする必要もない。


俺はさっそくソファーへ身体を預けた。

柔らかなクッションが背中を受け止める。

岩盤に寝転がっていたときとは大違いだ。


「……ああ、いいな、これ……」


異世界へ召喚されてからというもの、まともに休んでいなかったことを思い出す。

頭の中では色々と考えていたものの、身体を休められる場所ができると、急に眠気が押し寄せてきた。


「……なあ、コア」


『はい、マスター』


「ちょっと寝る。何かあったら教えてくれ」


『はい。なにかあれば、知らせします』


コアは定位置に静止したまま、迷宮内部と地表の支配領域の監視を続けていた。


連絡通路にはリビングアーマーが一体。

入口はネズミ一匹が通れる程度まで狭まっている。

完璧とは言えないが、少なくとも最初よりはずっと安全になったはずだ。


「……さて、おやすみ……」


俺はソファーに横たわり、ゆっくりと目を閉じた。

青白いコアの光が、静まり返った洞窟を淡く照らしていた。


ここまで読んで頂き、ありがとうございます。


本作に登場するイラストは、自動生成AIによるものです。

物語そのものを補足する「正解のビジュアル」ではなく、

あくまでイメージや雰囲気を楽しむための要素として見て頂ければ幸いです。


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